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初めてVRMMOっぽいことをした話

「実際問題、ああいった手合いの対処方法を何か考えた方がいいのかもしれない」

「……そうだな。いつも俺がいるというわけでもないし、俺でも殺さなければ守り切れない相手というのもいるだろう」


何とか廃墟まで逃げ切った僕たちはそんな会話をしながら奥へと入っていった。

ここからは僕も存分に戦うことができる。と言っても、今の僕は普通に戦力にならないからここでもソアラに助けられるだろうけどね。


廃墟に入ると聞いていた通りアンデッド系の魔物であるゾンビが現れた。

「そういえば、ゾンビに回復魔法を撃つとどうなるの?」

「……回復量の10%のダメージが入るらしい」

何気ない疑問を口にしてみると、どこから仕入れた情報なのかソアラがすぐに答えてくれた。

現状僕の使える魔法はプチヒールとフラッシュだけだ。一応、ゾンビにプチヒールを使ってみたが、大して効いている様子はなかった。

むしろそれでこちらを認識してしまい「ヴー」と声と腕を上げて走ってきた。

ゾンビだけど普通に走るんだな。


「……俺が」

「いや、初めての戦闘だから一人でやりたい。危なくなったら助けて」

「……わかった」


こちらに向かって疾走してくるゾンビに向かって僕はハイキックを食らわせた。

修道服の下はロングスカートのような形状になっているため、僕のアバターの足が一瞬だけ露出する。

ゾンビはそれで勢いがそがれたが、痛みはないのかあげていた腕を僕に向けて振り下ろしてきた。僕は大きく後ろに飛んでそれを回避する。

だけどゾンビはそれに追いすがるように前に飛んできた。


ひぃっ!! ゾンビが特段嫌いとか怖いってわけじゃないけど、このグロテスクな見た目のやつがこっちに向かって飛んでくるとさすがに怖い。

僕はとっさに腕を前に出してガードする。


すると、ゾンビがその腕を大きくひっかいた。引っかかれた腕がびりびりと痺れる。


僕のHPが大きく削れる。僕はプチヒールを唱えた。このプチヒールという魔法は本当に微量しかHPが回復しない代わりに、ほとんどの魔法に設定されている詠唱時間という名の待機時間が存在しない。

そのため、こうしてとっさに回復ができるし、低レベルの少ないHPだと結構助かったりするのだ。

一応、一度使ったら3秒は使えないという制約もある。


ゾンビの攻撃で体力が2割削られたけど、プチヒールで1割回復した。結果、まだ僕のHPは9割残っている。

ガードの上からだったから軽傷で済んだけど、これがクリーンヒットしたらかなり痛いだろうなと感じながら、僕はゾンビの顔面をぶん殴った。

大きな衝撃でゾンビがよろける。僕はその隙を見逃さずに追撃。よろけていたところに追撃をもらったゾンビは後ろに倒れる。

だが、まだ倒せていない。

すぐに起き上がろうとしているが、そうはさせない。僕は倒れているゾンビを足で踏みつけて動きを止める。

ゾンビはもがくように足をひっかく。そのたびにHPが少しずつ削られていく。

僕が足でガシガシとゾンビが起き上がらないように蹴りつけていると、ゾンビがもう倒れそうな感じがした。

そのタイミングで僕はゾンビに向けてプチヒールを掛けた。


すると、ゾンビは「ア“ァ”」という断末魔をあげながら昇天していった。


戦闘終了である。


「よしっ、初戦闘で見事な勝利」

「……割と危なかったがな」

「あ、ソアラどうだった? 僕なりに頑張ってみたんだけど」

「……いろいろアドバイスはあるが、ひとまず聞きたいのがレティ、君、武器は?」

「うん、武器、武器ね」


言えない。僕もアンデッド相手なら縛り関係なく戦えると舞い上がって買ってくるのを忘れていたなんて。

そして道中にそれを思い出して自分は魔法職だからと自分に言い訳をしていたなんて。


「今日はなしの方向で行こうかなって思って」

不思議がるソアラは適当に誤魔化した。

そんなこんなで初戦闘を勝利で終わらせることができた僕は、今の戦闘中に密かにアンロックされていたスキルの取得をする。

今回覚えたのは『信仰魔法:慈母神Ⅰ』だ。それに伴って『生命回帰』と『癒しの加護』、『回復魔法効果上昇Ⅰ』を習得した。

時折、スキルの横についている数字はそのスキルの熟練度だ。そのスキルの効果が発揮されるたびに熟練度が上がって隣に書かれている数字が上がっていく。そして同時に効果値も上がっていくのだそうだ。


「よしっ、これで僕もそれなりに強くなった」

「……準備はできたみたいだな。なら、そろそろ先に進むか?」

「うん!」


僕とソアラは二人で協力しながら廃墟の奥へと進む。

ソアラが前衛で敵を押さえつけて、僕が後ろから魔法で敵を攻撃していくのだ。

先ほど手に入れた魔法の『生命回帰』は、失われているHPを大きく回復させる魔法だ。

その上、アンデッド特攻という特性がついているおかげで、通常ならアンデッド系の魔物に回復魔法を使用した時に与えるダメージは回復量の10%とされているのだけれど、『生命回帰』では回復量そのままのダメージを与えることができたのだ。

先ほど、試しにゾンビに使用してみたところ、ゾンビのHPが8割も削れたから本当にそれなりの火力だ。

これによって僕はアンデッドに対してそれなりの攻撃力を得ることができているから、足手まといにはなってないと思う。

逆に、ソアラの物理攻撃はアンデッドには効果が薄めだった。

通常攻撃はソアラが強いからかそれなりに入っているが、状態異常攻撃に関してはほとんど効果がなかった。

かろうじて麻痺がゾンビに入ったくらいだ。それ以外の状態異常である毒や衰弱等は一切効果をなさなかったのだ。


まとめると、僕はアンデッド相手に火力が出しやすく、ソアラはその逆だったので僕たちは役割分担をして先に進むことになったのだ。


この廃墟というマップは中心部に近づくにつれて強い敵が出てくるつくりになっているらしく、初めはゾンビやスケルトンと言った弱い敵ばかりだったが、次第にゾンビウォリアーやスケルトンメイジのようなものが出てくるようになり、それなりに進むとリビングメイルと言った動く鎧の敵も出てくるようになった。


「このリビングメイルってぱっと見ソアラと似ているよね。……ねぇソアラ、その鎧の中身、ちゃんと入っているよね?」

初めてリビングメイルを倒したとき、そんなことを聞いてみた。


「……ちゃんと入っているぞ」

すると今まで一度も外すことのなかった兜を取ってその顔を見せてくれた。

その顔は、昔まだ目が見えていたころみた彼の面影を残しつつも、男らしく成長した宗方。 

ただ、どこか青白い。

「おぉ、本当だ。ってか、ソアラ顔色悪くない? 具合悪いなら一旦休む?」

「……これは種族的なものだ。だから気にするな」

「そういえば、ソアラってなんの種族を選んだの? ちなみに僕は見ての通り人間」

「……ダンピールだ」

「ダンピール? ってなに?」

「……人間と吸血鬼のハーフ…らしい」

「へぇ」


そんなこんなで意外なソアラの種族が判明したりしながら、僕たちは廃墟の中心部を目指した。

途中から明らかに僕のレベルより圧倒的に適正レベルが高いやつが出てき始めたけど、そこは前衛が優秀だから割と余裕で進むことができている。

そんなこんなで迫りくるアンデッドたちを浄化しながら、僕たちはぐいぐいと廃墟の中心部に近づいていく。そして明らかな格上を倒しまくっているからかレベルが上がる上がる。


ここに来た時にはまだレベル5だった僕だけど、今はもうすでにレベルが19まで上がっているのだ。

……マリアさんのお手伝いでちまちま経験値とお金をもらっていたのがもはや懐かしいよ。

ソアラのほうはレベル27らしい。ここら辺は数日のアドバンテージだ。

それと、ソアラはレベル関係なく強いから一人でいろんなところに行けるからというのもあるんだろうね。

僕たちはその後もどんどん奥へと進んだ。



レベルをあげながら進み、ついに僕たちは廃墟の中心部にたどり着くことができた。

そこには、いかにもと言った雰囲気で高級そうなローブを身に纏った骸骨が鎮座していた。


「あれは、このエリアのボスって感じかな?」

「……だろうな。どうする?」

「せっかくだし挑んでいこうよ。ソアラがいれば何とかなると思うんだ」

「……わかった。準備はいいか?」

「あ、ちょっと待って。ここに来るまでにいろいろスキルが開放されたからスキルを覚えておきたいんだ」

「……わかった。俺もスキルの取得をやっておく。2人とも終わったらあれに挑むとしよう」


僕たちはボスっぽい骸骨の少し前で小休止を挟みながらスキルの取得を行うことにした。

ここに来るまでに、僕は様々なスキルの取得条件を満たしていたため、それを一つ一つ確認して自分のプレイスタイルに合ったものを取得していく。


その結果、僕のステータスはこんな感じになった。

PN:聖レティ

LV:20

HP:455

MP:1950

STR:5

VIT:45

DEX:10

INT:30

MND:200

AGI:20

LUK:30

SP:15

取得スキル

『光魔法Ⅱ』『信仰魔法:慈母神Ⅳ』『祈りⅠ』

『信仰心Ⅲ』『癒し手Ⅰ』『浄化Ⅰ』

『体力上昇Ⅱ』『精神力上昇Ⅴ』『最大魔力上昇Ⅲ』『幸運上昇Ⅰ』『魔力自動回復量上昇Ⅱ』

『治癒』

『毒耐性Ⅰ』

習得スキル

『フラッシュ』『プチヒール』『ライト』『ヒール』


『生命回帰』『癒しの加護』『生命の抱擁』『力の加護』『生命譲渡』『守護の加護』『生命結界』『指先の加護』『回復魔法効果上昇Ⅳ』『攻撃魔法効果低下Ⅱ』


『癒しの祈り』『回復効果上昇Ⅰ』


おおよそは回復技能に特化させたスキル構成になった。また、今後のことも考えてスキルポイントは15ほど残しておいた。

ちなみに、使用したスキルポイントの内訳は『祈りⅠ』『癒し手Ⅰ』『浄化Ⅰ』『毒耐性Ⅰ』がそれぞれ2ポイント、『体力上昇Ⅱ』『魔力自動回復量上昇Ⅱ』が3ポイント、『最大魔力上昇Ⅲ』が6ポイント、『幸運上昇Ⅰ』が1ポイント、『精神力上昇Ⅴ』が15ポイント、最後に『治癒』が5ポイントだ。


この『Arcadia』というゲームにはステータスポイントというものはない。

そのため、素のステータスをあげようと思ったらレベルを上げるか、今僕が取得したような能力を上昇させるスキルを取得する必要がある。

また、ステータス上昇系のスキルの熟練度は他のスキルとは違いスキルポイントを使わなければ上昇しない。

逆に言えば、スキルポイントを使えばいくらでもあげられるということでもあるけどね。


そのため、プレイヤーはステータスを上げるか特殊技能を得るかの選択を迫られることになるのだ。

今回、僕は回復魔法の効果と最大MPに影響が出るMNDを大きく上げるために『精神力上昇』をⅤまで上げて、他のステータスはほどほどに上げておいた。


そのほかには、祈りをささげることで様々な効果を得られる『祈り』スキル、周囲の味方のHPを10秒ごとに0.5%回復させる『癒し手』スキルとアンデッドに対する回復効果が上昇する『浄化』スキル、自分のHPを5秒ごとにMNDの10%回復してくれる『治癒』スキルとアンデッドが割とよく使ってくる毒攻撃に耐性を得られるようになる『毒耐性』スキルを取得した。


スキルの取得を終えた僕はソアラに声をかけた。


「こっちの準備は整ったよ。そっちはどう?」

「……ああ、こちらも準備万端だ」

「よし、じゃあ行こうか」


僕は割とゆっくりスキルを選んでいたので、僕がスキルの取得を済ませるころにはソアラも終わっていたみたいで、剣の素振りをしているところだった。

僕が声をかけるとすぐに素振りを止めてこちらに向いて返事をした。

準備はできているみたいなので、僕はGOサインを出した。

それを見たソアラはあのボスっぽい骸骨に向けてまっすぐ走りだした。


ソアラが一定の距離に近づいた瞬間、骸骨がソアラに気づいて素早く杖を構えて迎撃態勢をとった。


誰も何も言わなかったので普通に正午投稿


誤字報告感謝します。

いつも気を付けてはいるんだけど、書いているときにはなかなか気づけないのですよね。


また、日刊ランキングで11位を達成できてうれしい限りです。

今後とも、聖女プレイをよろしくお願いします。


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