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ROLL.8:獅子思想。

――芒洋たる闇の中。


雄獅子姿の髑髏――鞍富 獅子正は焔を畳み、思索に耽っていた。

怪異現象、魑魅魍魎はともかく、幽霊は本を(ただ)せば人である。

性格はいざ知らず、感情は有る。

何度も除霊じみた真似はされてきた。

其れは無理矢理に此方の事も解ろうとせず、ただの暴力のようなものであった。


しかし、彼等は違った。


此方の事を調べては斬り、失敗してもまた調べ直しては斬り…と諦める事をせず、

此方の事を理解しようとしたうえで除霊しようとしている。


――彼らになら。


獅子正はそう思った。

だが、彼等は一つ勘違いをしている。


(それがし)は、堂陰など憎んではおらぬ。


あのような高飛車で自己顕示欲の塊のような男は鼻から相手にしておらぬ。

奴に勝って某を怨む事など解っておった。

――人の業だからだ。

他者より先へ、他者より上へ。

其れが叶わぬと知れば憎み怨み恐怖する。

挙句の果てには上が消えればと、

己の嫌悪する相手が消えれば良い等と考えだす。

其れが人と言う臆病で愚かな生き物なのだ。

それが事実で、この渡世を我が物顔で歩き回る浅ましい人間の本性なのだ。

本能なのだ。

身体の内側に、魂の奥底に刷り込まれている古からの記憶なのだ。

そのように獅子正が瞑想していると、


――しゃりん。


何かの音が耳朶を打った。


――しゃりん。


澄んだ音が風に乗ってやってくる。


――しゃりん。


其れは、ひどく懐かしい音だった。

 

――しゃりん。


嗚呼(ああ)


しゃりん。


やっと、やっと、見つけた。


しゃりん。


獅子正は焔を焚き、その音に導かれるように黒淵の闇を翔けた――――――




今回は、髑髏君の独白編ですね。

繋ぎのような感じです。

これから、〈結〉に向けて全てが動き出します。

さて、どうなるのでしょうか?

お楽しみに!

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