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ROLL.5:裏。


赤レンガの外装でレトロチックな学園付属図書館。


落ち着いた雰囲気の漂うその図書館内の片隅に、現研のメンバーはいた。

額を寄せ合い、怪しさ満点でなにやら話し合っている。

カウンターに立つ司書さんが、怪訝な表情をそちらに向けていた。


「諸君、〈鹿賀(かがの) (どう)(いん)〉は知っているかな?」


「あ、はい。地方史で習いました」


――鹿賀堂陰。

昔この地方を治めていた大名武士である。

領地の発展を推奨し、その名残は今でもこの町に残っている。

その功績を称えられてか、学校の裏手にある「賀柄山」の頂上には、立派な慰霊碑まで建てられている程だ。

「ですが…その堂陰と〈雄獅子姿の髑髏〉と何の関係が?」

「あぁ、それが、〈髑髏〉の主である鞍富 獅子正、彼がだね…」

「もったいぶらなくていいですよ」

「なんと、鹿賀 堂陰と決闘をしている」

「……それは初耳ですね」

部長以外のメンバーがざわめく。

だが、瑠奈と太陽の二人だけは何か目配せをしていた。

「しかも、だ。その決闘、堂陰が勝利している」

「えぇ!?」

驚きのあまり大声を出してしまう黙雷。

司書さんの目がキラリと不敵に輝く。

慌てて口を塞ぐ黙雷。

「ほ、本当すか?あの大剣豪が一介の地方武士ごときにやられたんすか」

「あぁ、図書館の地方史にはそう記されていた」

静かになる黙雷たち。

それぞれ思案に耽っているようだ。

と、葛木姉弟が思い切ったように腕を上げた。

「ん、何かね?瑠奈君、太陽君」

「あの、私たち、町の古株の一人である仲ジィさんに色々お話を聞いてきたんですけど、どうやら今の話、裏があるみたいなんです」

「…どう言う事だね?」

「それが、実際は決闘には獅子正の方が勝っていたと…」

「な、何だと!」

義彦の目が大きく開かれた。

瑠奈に続き、太陽が口を開く。

「しかし堂陰は決闘に負けたことを恥じ、悔やみ、獅子正を憎み、恨み、緘口令を敷いたもと、大勢の手下を連れ、獅子正に夜討ちをかけた…」

「おい、それじゃあ…!」

「歴史は改竄されていたのね…」

よくある話だ。

歴史は、勝者の歴史。

全ては、強者の思うままに、である。

黙雷と理沙は話を聞き、驚きを隠せない表情になる。

一方、義彦は顎に手をあて、

「確かにそれなら、辻褄が合うな」

と呟いた。

視線が義彦に集まる。

義彦はそれに気付き、自分の考えを喋り出した。

「つまり、だ。獅子正、雄獅子姿の髑髏は――」

「無念、悔しさのあまり、成仏できない。そして今に至る、ですか」

「…まぁ、そう言う事だ」

理沙にいとも簡単に言い当てられ、義彦はムスッとした。

「なら、原因は分かったって事っすね」

だが、黙雷の一言にその表情は厳しくなる。

「あぁ、紐は解かれた。決戦は―――」

皆の表情が引き締まった。


「今夜だ」





〈現研〉の皆さんは、ひそひそ話が好きなようですね(笑)

玖刻奇譚とは、趣向が大分違いますね。

ガッカリした方いるんではないでしょうか?(汗)

も、もう少しガマンを!

玖刻奇譚の第二幕も思案中ですのでノシ

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