表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い月  作者: 四分音符
1/6

プロローグ

紺色の夜空に、溶け込んでいく白い息。

こんな季節は、どことなく物悲しい。


冷たい夜風に吹かれながら、中村優月(ナカムラ-ユヅキ)は、バイトの帰り道を1人歩いていた。



いつものごとく暗い道。

大通りから外れたこの道は、相変わらず人通りが少ない。

しかし、自分の家まで歩いて帰るには、この道が最短ルートなのだ。


(あっ、いつもの猫ちゃんだ…。)


塀の上をふと見ると、首輪の無い小さな黒猫がいた。

この猫はノラ猫なのだが、家の近所を住処としてるのか、時折見かける猫なのだ。


(なでなで…。)


頭をなでてあげると、くすぐったそうな仕草を見せる。


(カワイイ…。)


私がそう思ってるうちに、黒猫は塀を降り、ささっとどこかへ行ってしまった。


私はしばらく、黒猫の行ったほうをボーッと眺めていた。


しかし、あまりの寒さに、帰らなきゃと再び歩き出した。


(明日は月曜日かあー。また一週間が始まる…。)


(金曜日は学校休んじゃったから、明日は行かないと…。)



―考え事をしていたその時だった。


後方から聞こえてきたのはエンジン音。


振り返って見ると、何と結構なスピードを出した車がこっちに向かってくるのだ。

しかしこのままでは、歩いている私にぶつかってしまう。

なぜなら、私が歩いているこの道は、片脇が用水路になっていて道が狭く、車1台が通れるほどの道幅しかなかったからだ。


(でもさすがに、歩いている私に気付いて減速するよね…。)


ところが、車は減速しなかった。

そのままのスピードで私に向かってくる。


(嘘…!?)


私は横に避けようとした。

ところが、狭い道だけあって、避けるスペースなどなかった。

咄嗟に動いてしまった私の身体は、必然的にコンクリートの用水路に放り出される。


(え、やば…!! どうしたら…)


抵抗する間もなく、私は後ろ向きに用水路に落ちていく。


私にはそのとき、流れる景色がスローモーションに見えた。


(ああ… 私死んじゃうのかな…。)


私は用水路に落ちて、打ちどころが悪かったのか、そのまま意識を失った。



そして十数分後―、救急車に運ばれるときにはもう既に、私の身体は冷たくなっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ