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星屑と人間の屑

作者: 山本カモ

 僕らは星屑。きらきらと光り輝くという大任がある。生まれ落ちたその瞬間から、任務を与えられている。僕ら、きっとできるさ。いくら無理難題があったとしても、乗り越えられるさ。だって僕らは星屑だもんな。おや、あんなに暗い感情を持って夜の街を歩く者がいる。物騒だね。僕らの光で照らさなくっちゃ。善良な一般市民のために一部の不適合者を排除しなくちゃ。きっとできるさ。だって僕らは星屑だもんな。きらきら光り輝く星屑だもんな。それ、あんな暗い感情を吹き飛ばせ。負けるな、負けるな。僕ら、星屑の名に懸けて。


 夜空を一直線に白い線が走る。そして、僕は何も見えなくなった。


 僕は人間の屑。人のように生きているが、実際は獣にも満たない。愚か、底辺などといった僕の評価は大いに妥当である。僕は何もできないくせに僕の中には誰よりも優れた輝くものがあるんだ。そんな幻想に目を輝かせ、気づいていつも独りぼっち。皆は川の向こうでわいわい。僕は一人、空を見る。きっと今に僕の才能が示される、そんな一瞬が来るだろうって。誰が言った、そんなこと。ありえない物事程人をひきつける。僕はきっとただの屑。それでも屑の中でも価値ある屑に、僕はなりたい。どんな価値でもいい。どんな不名誉と引き換えでもいい。きっとそれは僕の身体に流れる激情よりもはるかにはるかに綺麗だろう。僕は街の隅っこの中でも異端な存在だって君は言っていたな。どうして僕はこんな何だろう。誰のせいにしても分からないや。誰がこの感情を整理してくれるだろう。感情処理屋なんて、知らないぞ。僕は、僕は、僕は、ただ生きることもできやしない。それでは死のうか。それもできない。どうしようもない人間の屑である僕は死に対する恐怖を人一倍感じるのだ。それでは嘘のように更生して清く正しく美しく、たった今夜空に自分の存在を知らしめるように醜く輝いた星屑のように生きることに決めました、なんて無理だ。嘘を言って汚い僕に金ぴかのメッキを張り付けても、落ちてしまう。僕はどうしようもない人間の屑でありました。


 夜空に光る星の光では、僕を浄化できない。


 なんだなんだ、あの強烈な負の感情は。あんなのどうやって綺麗にするんだ。ダメだ、弱気になってはダメだ。僕らのように選ばれた星屑は汚いものを綺麗にするのが使命なんだ。だってそうじゃないか、誰もあんなに醜い汚物を見たくないじゃないか。僕らにできるだろうか、できる、できるさ。だって僕らは星屑だもんな。あんなゴミに負けるな。今までだって綺麗さっぱり、跡形もなく片付けてきたじゃないか。今こそ粛清の時、綺麗にしなくちゃ。おやおや、暗い感情が周りの善良な一般市民を攻撃しているぞ。止めろ止めろ、止めさせろ。危険だぞ、あいつ。あんな危険思想家は消えてなくなれ。僕らの手で消すんだ。だって僕らは星屑だもんな。


 最期に見た光は僕にとって今までで一番醜く、強烈に僕を拒否するものでした。僕は遂に一度もこの世界に受け止められることはありませんでした。矢のように僕に刺さった天からの光は喜びに満ち溢れていました。けれど僕には嗜虐的な、陰惨な、笑みに違いないものと思われます。夜空で気高く輝く星に聞きたい、僕のいない世界は、どれだけ美しく、どれほど魅力的ですか。


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