表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

プロローグ:家族

 早いことに時は過ぎ、先日三歳の誕生日を迎えた俺は庭で父さんと誕生日プレゼントで貰ったサッカーボールで遊んでいた。プレゼントのおまけでゴールとかも用意していたが、こっちがおまけなのかと思わないでもないが。

 まだ20半ばの父さんは結構サッカーが上手くて驚いたが、なんでんも俺と遊ぶ為に練習していたそうな。愛されてるなぁ。


「ちょっと父さん、本気出して大人げないよ!」


「いやいや集が上手すぎるのが原因だろ!」


 そう言って、また俺の見たことのない技繰り出し、抜き去っていく。というか上手すぎない?サッカー初めて二カ月とは思えないほど技にバリエーションがあり、俺に対して一度使った技を使ってこないのでそれが顕著に表れている。所見でも予測は出来るので止められるのだが、あいにくこの身はまだ三歳。体もまだ出来あがっておらず、父さんは大人の身体能力をフル活用してくるので、体が追いつかない。本当に大人げない。


「っと、もう暗くなったからまた次な」


「……次は勝つから」


「ははは、負けず嫌いなとこは俺にそっくりだな。まぁ父親として簡単には負けないからなー」


そう言って庭のベランダから家に入って行く父の大きな背中を見ながら、いそいそとサッカーボールを抱えながら、後を追いかける。

 家に帰ると母さんがにこにこと微笑みながら、タオルと麦茶をもってきていた。絹のような綺麗な金髪を揺らしながら微笑む母さんは相変わらず美人だよなぁ。


「あらあら、そんなに泥だらけになって」


「いやぁ、集が上手すぎてつい本気でやってしまってね」


 父さんと一緒になって母さんから渡されたタオルで汗を拭き、麦茶を飲む。そうしていると置くからメイド服を身に付けた30代の女性が歩み寄ってきた。この人は家に代々仕えている家系の家政婦、藤堂静香さんだ。まぁ俗に言うリアルメイドさんなんだが、さすがにミニスカではない。


「奥様、お風呂の用意ができました」


「あら、ありがとう静香さん。2人ともそのままお風呂に入ってらっしゃい」


 父さんと2人揃ってはーいと声をあげ一緒に風呂場に向かう。当然のごとく風呂は広く2人で入っても余裕があるほどだ。こうして風呂に入り、母さん達と一緒に寝る。これがここ最近の天導一家の日常だった。

 それと同時に判明したのが、家がかなりの規模のお金持ちらしい。天導グループの子会社は山ほど存在し、世界の中でもトップ5に入るほどの大企業であるそうだ。ネット調べた限りの情報ではあるが、天導家は相当歴史も古く日本の財界では天導に逆らえるものはいないらしい。『国内で天導家が道を譲るのは皇族に対してだけ』とも言われている。

 

そこまでの規模だとは知らなかったのでしばらく唖然としてしまった。でも若干半信半疑の気持ちではあった。俺の勝手なイメージだと東京の一等地に大豪邸を構えていると思っていたから(漫画の読みすぎ)。でも父さんが電話していた内容が資金の運用がうんたらかんたらと言って億単位で気軽に会話していたのを聞いて確信が持てたが。

 ここには世間には内緒で住み始めたようだ。まぁさすがに周囲の家のほとんどがSPの人たちの拠点であり、守りに関しては万全であるとまだ生まれて間もないころに話していたのを思い出した。


「痒いとこはないか―?」


「なーい」


 わしゃわしゃといつものように髪を洗っている父さんに適当に答えるが、鼻歌を歌い始めるほどご機嫌になった。んー、父親ってのは良くわからん。


「よし、流すからちゃんと目を瞑っておけよー」


「んー」


 またも適当に答えるのをしり目に父さんは手際よくシャンプーを流して行く。正直このお子様ボディではああも全力で動いたので眠気マックスなので。つまりくそねみ状態である。

「よし、きれいになったなー。うん俺の母さん譲りの綺麗な髪だ」


 目の前の鏡に映る俺の銀髪を見ながら父さんは嬉しそうに俺の頭をなでる。そう何を隠そう俺の髪を透き通るように綺麗なプラチナブロンドなのだ。父さんは黒髪なのだが、父方の祖母がロシア出身で綺麗なプラチナブロンドなのだ。つまり俺は祖母の血を濃く受け継いだ子なのだ。父さんはロシアと日本のハーフなのだが、日本人の血が強くほぼ日本人といった風貌だ。父さんの両親が遊びに来た時にハーフだと初めて知って驚いたぐらいだ。

 その点母さんはイギリスと日本のハーフだが、イギリス人の血が強く金髪碧眼の美人さんだ。その母さんの子どもの俺は目の色は母さん似の碧眼だ。だからなのか、母さんはよく俺の髪の撫でながら、俺の目を覗き込みにこにこと笑うことが多い。


 銀髪碧眼とか、それは美少女の専売特許でしょーと思ったがにこにこと笑う両親を見たら、これもありかと思った。愛されてるなーと改めて思う。

 父さんに脱衣所でタオルで拭かれながら、眠い頭でぼんやりとそう思った。


まだまだ続くんじゃよ( ^ω^)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ