7話 その名は月荒野
拙い文章ですがよろしくお願いします
「さて、ここから次の町まではどれくらいなんだ?」
俺は、歩きながらレイナへと振り向く。
「今ちょうど村を出たところだから、大体歩いて4日ぐらいのところね〜。」
「ふーん。
あ、ていうか、俺次に行く町のことまだ何も知らないんだが。」
アリアスとレイナの顔が一斉にぽかーんとした顔になる。
ん?どうした?
「あなたは本当になんというか、あねテキトーなのね。」
レイナもアリアスの言葉にウンウン頷いている。
なんでそこでそんなにうなずく。
「一応私も知ってはいるのだけれど、知識てして知ってるけど直接は見てないから詳しい説明はレイナに任せるわ。現地のことを知ってるだろうしね。」
「ああ。アリアスは一応女神だったわね。
任して〜、ダーリンのために私がわかりやすく説明するわ〜。私たちが今向かっている街の名前はオケアス。オケアスはこのウルスラ大陸における5つの重要な都市、通称5大都市の一つよ。だから街が城壁で囲まれてるの。さらに商業が盛んな街として有名で一攫千金を夢見てこの街に来るヒューマンとかも少なくないわね、その分去るヒューマンもいるんだけどね。そさなて、大きなギルドもあって、冒険者とかになるにも適した街になってるともいえるの。ダーリン達もギルドに登録するのもいいかもね〜。」
「結構大きな街なんだな。旨い食べ物とか、強い魔法を持ってそうな奴らもいそうだな。」
迅が黒い笑みを浮かべながら、オケアスのことを夢想する。
レイナの話の半分以上は頭に入ってないらしい。
「そんなダークなダーリンもかっこいいわ〜。」
「ちょっとおかしいんじゃないかしら?」
レイナは賛同してくれるがアリアスはしかめっ面をしている。
どうやらアリアスには大人の魅力が分からないらしい。やれやれ。
「レイナ、思ったんだが、その街に行くまでに風魔法を俺に教えてくれないか。一応、エアーファングは使えるんだが、魔法のバリエーションが少なすぎるからな。
アリアスにも怪我した時に治療をお願いしたい。
それと同時並行で水魔法と火魔法、保持者も並行して使っていく。思いついてやってみたいのもあるんだ。
食料もギルバート達が調達多めに入れといてくれたからなんとかなるだろ。
それで どこかあまり人がいなくて、広くて、魔獣もいる様な便利なところがオアケスの街に行くまでのどこかにないか。そこで1日〜2日、過ごしたいんだ...。いいか?」
「軽い傷なら治してあげられるけど、あまり大きなのは無理だからね。
まあ私はいいわよ、あなたのストックも埋まってきてしまったから慣れさせる期間は必要よね。私もどの程度か慣れないとだし。」
アリアスも俺に賛同してくれる。
「私もダーリンの案に賛成だよ〜。最近私も幻視の瞳を使ってなかったからこの間も調節がうまくできなくて〜。
たしかここから2日ほど行ったところに大きな荒野があって魔獣とかもいたはずよ。
いま進んでいる街道からは少し離れちゃうんだけどね。」
「よし、じゃあその荒野に向けて行くか!」
と勢い込んでは見たものの・・・。
「はぁはぁ。遠い〜」
時刻は昼下がり。汗をかき、肩で息をしながら歩くレイナ。そしてその前を余裕で歩く2人。
「おーい。大丈夫か〜、レイナー。」
「あの......ダーリン、休憩,.....よ..ろし..いですか?」
いかにも死にそうな声にさすがの迅も苦笑してしまう。
「そういえば、もう昼か。昼飯がてら休憩するか。アリアスもそれでいいな?」
「ええ、構わないわよ。」
広い草原に出ると、一同は荷物を置く。
迅が素早くギルバートから貰ったシートなどを広げ、その間にアリアスが携帯食料を渡していく。レイナは体力を回復させる。
それを受け取り、みんなで合掌する。
「「「いただきます。」」」
礼儀正しい3人である。
「ねえ、ダーリン。」
「ん?なんだ?」
「ダーリン移動している間、ずっと何かの魔法使ってたみたいだけど何してたの?」
「あ〜、あれか。あれはな。身体に慣れさせていたんだよ。いつまでもストックにあっても邪魔だからな。火属性適性とかは火属性の魔法を使えば体が慣れるからな。だから火を作り、水でずっと消していた。もちろん保持者を経由してな。
それでマナの減少も感じることができた。」
レイナがきらめく様な瞳で迅を見る。
「さすがダーリンだわ。私もこの程度じゃへばってられない。」
レイナのやる気が変な感じに出たがま、まあいいことだ。それよりも...
「なあ、アリアス。マナが減少して少し体が重く感じるんだ。
これ全部使ったら動けなくなったりするのか。」
「ええ、それで正解よ。だからマナの残量を意識して戦う様しなさい。それが役に立つわ。」
と2人で会話してるとレイナが膨れている。
「ああ、分かったって、レイナどうした?」
「なんで私に聞かないのー?」
「んー。」
迅は一瞬思案して答えを導き出す。
「特に理由はない。」
「・・・フィーリングで負けてるってことか〜。」
「ま、私の方が長くいるから当然よね。」
あからさまに勝ち誇った顔をしている。うーん。それはそれで面白くないな。
「ていっても1日2日の差だけどな」
迅はアリアスに聞かれないように小声で呟いた。
それから二日間、一行は荒野を目指した。
途中、何度か魔獣に遭遇したがその度に迅の魔法の実験台になるか、レイナの幻視の瞳によって正気を失わされるかしたので特に、いや全くと言っていいほど問題は無い。
そうこうしているうちに3日目となり、レイナが最初に言っていた荒野の近くまで来ていた。
「この森を抜ければたしか荒野になっていたはずよ。」
レイナが先頭を歩きながら教えてくれる。
そこは見渡せる限り、同じ赤茶の光景が続いており、草などがまばらに生えているのとで魔獣が所々にいるというだけの何も無い場所だった。
「やっとついたわね。」
基本的にはあまり疲れを見せないアリアスが少し疲れた様子でポツリと漏らす。
そんなにハードだったか??
「そう・・・ね。」
レイナに至ってはいつも通り死にかけの状態である。
「お前ら大丈夫か??」
そんななか、迅は余裕綽々と言った表情で野営場所を探しながらでアリアス達へと声をかける。
「随分・・・と余裕そうね?」
「まあ、昔色々奪ったしな。自それに分でも鍛えていたし。
よし、あそこの丘で野営しよう。少し歩くぞ。」
迅が近くの丘を指し示す。
その言葉を聞くと、2人揃って、
「「無理ーーーーーー」」
と悲鳴をあげる。
2人はその場に座り込んでしまう。動きたくないってことらしい。
ったくしゃあねぇなぁ。
「ほら、お前らの荷物持ってやるからもう少し頑張るぞ。」
迅は2人分の荷物をひょいと持ち上げると先に行ってしまう。
「鍛えてああなるもんなの?」
2人が同時に思ったことであった。
2人が小高い丘を登り終える頃にはすでに昼下がりになっており、すでに迅は野営の準備を終わらせ、昼飯の準備をしていた。
「おう、やっと来たか。迷ったんじゃないかと思ってさがしに行くとこだったぞ。
まあ、そんなことはいい、ご飯にするぞ。」
迅が各々の前に軽いスープと携帯食料をを置いて行く。
迅が作ったスープを一口飲むと2人の顔が驚きで染まる。
「何これとても美味しい。」
「身体がとってもあたたまる〜。それにしても本当に美味しいの〜。」
スープを飲んで2人の顔に生気が少し戻ってきていた。
「そうか?普通のスープだと思うが。
お前らの体が疲れているからそう感じるんだよ。多分な。
それよりも、俺はこれから、下の荒野で魔法を試して見るが、お前らは今日はもう休むか??」
2人は顔を見合わせると、
「ええ、そうさせてもらうわ。もう動けそうにないもの。何かあったら火魔法で教えてね。すぐ行くから。」
「私も〜。ダーリンごめんね〜。いざって時にはすっ飛んで行くからさ。」
迅は2人に笑みを浮かべ、
「じゃあ、行ってくるな。」
「行ってらっしゃい。」
迅が出ていったあと、そこでようやく二人は気づく。
あれ、これ夫を見送る妻みたいじゃない。
アリアスは赤面し、レイナは喜んで横になり始めた。
そしてその10分後
ドカァァァァァァァァァァァァン
下がり昼の空に真っ白な地上の雲ができていた。
アリアスとレイナが飛び出し、外を見上げる。
「なに、これ」
レイナが呟く。
「これは・・・何かあったんじゃ・・・迅。」
アリアスはそう呟くと、急いで丘を駆け下りて行く。
丘の下には壮絶な光景が広がっていた。
白い雲のちょうど真下の部分には、大きなクレーターができており、そのクレーターは半径25メートルほどにも及んでいる。まばらだった草は全て吹き飛ばされ、後に残ったのは文字通り土だけだ。
「迅は?」
アリアスが心配そうな表情で辺りを見回す。
「ダーリン・・・どこなの?」
そんなレイナが視界の端で動くものを捉える。
それはよろよろと起き上がると、丘の方を目指して歩いてくる。
2人がそれを見、何かを認識すると一目散に駆け出す、
「迅!!」
「ダーリン!!」
迅はかすり傷などを負って、ローブも汚れは付いているが特にこれといった大きな外傷はない。
迅もそれに気づくと、済まなそうな顔をして、
「いたた、すまん、ちょっとしくじった。」
と迅にしては珍しく素直にアリアス達へと謝る。
「あなたはもう。心配させないでよ!!」
「ダーリンのバカァ!!!」
「す、すまん。というか、さっきのでマナが一気に半分以上持ってかれて...
とりあえず今日は休む。もう疲れた。」
迅はこの場から一刻も早く立ち去りたいのか、理由をつけて丘の方へと戻って行ってしまう。
「ちょっと待ちなさいよ!!」
「待ってよ〜ダーリン。ダーリンてば〜。」
2日後
「よし、そろそろ次の街、オアケスに向かってここを出るか。簒奪者のストックも5つに戻せたしな。この三日間魔法を使い続けたことによって。新しい風魔法も覚えられたし、概ねの目的は達成したな。
あーーー、そろそろベッドで寝たくなって来たな。」
アリアスとレイナもそれに同意する。
「そうね〜、この同じ食事にもそろそろ飽きて来たしね〜。」
「はやくいこっ!ダーリン。」
レイナも嬉しそうに、迅の腕にすがりついて行く。
「おま、ばか。それは嬉しいが、アリアスの目が・・・。」
レイナがそれを聞くと面白そうにさらに抱きつく力を強めてくる。
「いいじゃなーい。そこは、アリアスは関係ないでしょ〜。今はね。」
そう言って、怪しげにアリアスを見つめるレイナ。
それに気づいたアリアスは目をそらしてしまう。
ん?何でそらした?
俺は、なんとなく別の話題へと切り替える。
「そういえば、この荒野からオケアスの街までってどれくらいなんだ?」
「んー、歩いて1日半ぐらいかな〜。でも、ここから街道に出ちゃえば、魔獣とかもあんまり出てこないし比較的安全に行けるからそこまできつくはないはずだよ〜。」
「そうか。じゃあ今から行けば、明日の昼過ぎには着くな。
よし、じゃああともうひと頑張りいきますか。」
「頑張ろうね、ダーリン。」
レイナが迅に賛同の意を示してくる。
アリアスは無反応だ。
あ、怒ってる気がする。
迅たちが去ったあと後には、大きなクレーターが何個も造られ、3日前とは姿が変わった荒野がそこにはあった。
後日、この3晩にしてできた荒野の名前が月荒野になったそうだ。
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