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70話 レータ・アクセラ


「光輪の花束が発動されたみたいだね……。」


ベッドの上に腰掛けながらレータは、部下にかけておいた魔法が発動したことに気付く。


「なっ。ということは隊長。サイたちは敗北し、しかも情報を抜き取られそうになった……ということでしょうか?」


「まあそうだね。相手は僕たちの存在に気づいているみたいだ。でも別にそれは驚くべきことじゃないよ、あっちにはお姫様がついてるんだからさ。」


あの礼儀正しい姫の姿を思い出す。見ていて虫酸が走った。あの女を殺していいと言われた時はゾクゾクしたなぁ。


「でも今度の相手はある程度はできるみたいだね。僕は楽しみでしょうがないよ。」


レーターはそう言って心底楽しそうに嗤う。

思えばこれまでの戦いはもはや戦いにすらなっていなかった。別にレータ自身虐殺も嫌いではないが、やはり同じものがそう何度も続くと飽きてくるものだ。例えるとしたら毎日肉を食べ続けていると無性に野菜が食べたくなる、正にそんな感じ。


「だからここ最近の相手は全く張り合いが無くてつまらなかったんだよねぇ。僕の魔法を防ぐことは全然できないしさ。今度はちょっとは期待できるかなぁ。どんな風に叫ぶのか気になるね。」


「それでは今後の方針はどうしますか?また新たな暗殺者を送り込みますか?サイよりはレベルの高い暗殺者たちを今度は15人ほどの規模にして。」


副隊長である男の提案を思案するレータ。


「うーん。それでもいいけどずっとおんなじことをやってるよね、ここ数ヶ月。」


「……しかしその方が、「そして失敗している。」


レーターが被せた言葉に副隊長は何も言えない。


「いや、勘違いしないでほしんだけど別に君を責めているわけじゃないんだ。あの姫様には今までは運と命を賭けて助けてくれる仲間がいたからというのもあるしね。

でもねそろそろ僕も我慢の限界なんだよ。ずっとお預けを食らってる気分なんだよ。だからもう僕が直接行くよ。それが一番手っ取り早くて確実な方法だから。」


それは建前でしかないだろう。結局彼はいくら大人ぶっても、暗殺部隊の隊長とは言っても結局は14歳のガキでしかないわけだ。自分の欲望には最終的には逆らえない。

そんな視線で副長は意図せず見ていた、見つめてしまった。その視線の先にはもちろんレータがいる。


レータは徐に副隊長へと近ずくと首を縛り上げる。


「……がはっ」


「後一つだけ言わせてね。

そんな目線で俺のことを見るなよ、雑魚が。俺を見下すような目。潜在的にガキだと見下している目。たかが人間如きにそんな目線で見られることに俺は耐えられないんだ。」


レータの首を絞める手がどんどん強まっていくと同時に彼の殺気も強まる。

副長の男が意識を手放しそうになった瞬間、ふっとレータの手が緩まる。


「はぁはぁっ。はぁはぁっ。」


地面にひざまづいて肩で息をする副隊長の男。

その肩に優しく手を置く。


「今度からは気をつける事ように。もし次あんな目線で君や部下に見られたら、危うく光輪の花束を君たちに向かって発動してしまうかもしれないからね。」


レータは話は終わったとばかりに扉に手をかけて部屋の外へと出て行く。

しかし一旦そこで手を止めて振り返る。

そこには最初と変わらない柔和な笑みが浮かんでいる。


「指令だよ。全団員に伝えて。冒険者ギルドの昇格試験で際に買った男とジュリアを守っているパーティーについての情報を詳しく調べてくるように伝えておいて。そうだなぁ。時間はうーん。2日もあれば十分だよね。

それで作戦決行はその1日後。つまり3日後の夜だ。準備は怠るなよ。」


そう言ってレータは今度こそ部屋の外へと出て行く。

1人部屋に取り残された副隊長はドアが完全に閉まるとその場に座り込む。


副隊長の冷や汗がポタリと部屋の床に滴り落ちる。

レータのあの殺気に今更ながら冷や汗が出てきたようだ。


「なんだあの殺気は。まるで人間のものとは思えないほどだった。あれは本当に戦いの格が違うな。あれがAランクの域に至ったレベルか。」


副隊長の男もBランク程度の実力はあった。だがそんな副隊長がレータには一切の抵抗が出来なかった。

赤子のように扱われたのだ。


「今更ながら敵に回さなくて本当によかった。部下たちにも徹底して言い聞かせておかなくてはいけないな。隊長には絶対に刃向かうなって。」


副隊長は自らの呼吸が落ち着くのを待ってこれからするべきことを整理して部下を呼び寄せた。


2日後〜


ひとりの部下がやってきた。

情報のまとめだろう。


「この街にいる全団員を集めろ、狩りを始めるぞ。集まった情報を報告せよ!。」


そう命令するが部下からの返事はない。

訝しんで顔を上げるとそこには見慣れない男の顔が。

とりあえず団員ではない。


「誰だ。お前は?」


副隊長はいつでも魔法を詠唱できるように準備しておく。


「誰だっておいおい。お前が今調べろって言った男だよ。ったく顔ぐらい覚えておいてくれよ。一応お前らの敵なんだからさ。」


「敵襲だぁぁ!」


副隊長が叫ぶがどこからも部下が駆けつける様子はない。


「お前の部下は死んだよ。」


「なっ。」


「てことでお前もじゃあな。」


迅は村正を一閃した次の瞬間には副隊長の首が宙を待っていた。


「それじゃ待つか。隊長のレータさんが戻ってくるのをな。」




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