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69話 実態


「とりあえず飯の前までに要点は話し終えられたな。」


ウンウンと頷く。


「何やりきった顔になってんのよ。あなたも私たちと一緒に聞いていただけでしょ。リリィの話を頷きながら!」


何いっているんだ。アリアスは。


「時折、俺が補足を入れていただろ?」


「それは一回だけ補足を入れたという拷問の仕方の話ですか?御主人。時折という言葉の意味をご存知ですか?一回だけ補足を入れたことを時折とは言わないんですよ?それに意味のない補足でしたよ、実際。」


追い討ちをかけるようにレイナがまとめる。


「これじゃー、どっちが秘書と主人なのかわかんないね。」


ここには俺の味方はいないのかっ!

ジュリアは・・・だめだ。目を逸らされた。

そうだ。脳筋早とちり女のシュアなら。

そう思って目線を向けてみるとシュアもそれに気づいたのか笑顔を浮かべる。

ああ、シュア。君だけは……。


「貴様の話はなんの関係があったんだ?」


真面目な顔で聞いてくる。

こ、こ、この裏切り者めぇぇ。


「落ち着こう君達。大事なのはここからだ。

奴らの拷問をしたというのはさっきリリィが話したな。問題はここから起こったんだよ。

一人目で目が泳いだからその辺りはついたんだよ。やっぱ予想通りというかなんというか、第一王子の派閥だったな。そこまでは良かったんだが……。」


そこで迅の歯切れが一気に悪くなる。


「何があったのね。」


「まあ、結果から先にいうとだな。奴らは全員死んだ。」


またやったのねみたいな顔をするアリアスたち。

しかし違う。今回も違う。


『今回()ですね。』


ちっちゃいことは気にするなリリィ。


「一応誤解のないように言っておくが俺が殺したわけではないからな。君達はもちろん俺のことを疑っていなかったとは思うんだけどな。一応な?」


誰も目を合わせようとしない。それだけでどう思われたいたか察しがつく。


「……。」


「……御主人がどう思われているかはさておいてですよ。拷問をしていた者の1人が口を割りました。いえ、これは正確な言い方ではありませんね。口を割りかけました。」


「割りかけた?」


「ええ。自分の派閥を言おうとした瞬間、いきなり体のうちから炎が出てきましてね。最終的に体に華を咲かせましてね。しかもその1人ではなく全員が。多分敵は自分たちに不利になるようなことを喋った時には強制的に自爆させるような魔法でも使っていたのでしょう。それに近くにいる仲間も亡くなったので連動式で近くにいたら爆発するみたいな感じでしょう。」


「正に奴らは一蓮托生だったてわけだ。しかも知らされてなかったんだろうな。」


「酷いことをする。」


シュアがしかめっ面をしている。馬鹿正直な彼女には不快だろう。

俺もその保険のかけかたの意味は分かるがやはりいい気持ちはしないな。


「それであの魔法は確か光輪の花束(アナスタシア)とかいう名前だったはずです。

ジュリア王女、あの魔法を使うものに心当たりはありませんか?あれは難しめの魔法で、しかもその上自分より弱い相手にしか使えないという魔法なので人数はそんなにいるとは思えないのですが。」


ジュリアたちの顔を見てみれば青い顔をしている。どうやら心あたりがあるらしい嫌な意味でだが。


「知ってるのか?」


「はい……。」


「私もその魔法の使い手なら知っている。考えうる中で最も嫌な奴を送り込んできたな。」


「なぜだ?」


「奴の名はレータ・アクセラ。光輪の魔法使いと呼ばれている白髪の少年だ。彼は最年少10歳で王国の騎士団に入隊し12歳で副隊長にまで登り詰めた。だが……今は所属していない。」


「なぜ?最年少で副隊長にまで登り詰めたんだったら強いはずだろ?」


「ああ、たしかに強かった。だが性格に難があってな。」


「最初の任務が盗賊の討伐でな。そこで人殺しに快感を覚えてしまってな。上も盗賊だったため大目に見ていたんだが……」


それが大きな間違いだったんだろうな。有り体に言えば力に溺れたとかそんなところか。


「それで人の味をおぼえてしまったんだろうな。残虐な殺しが目立つようになった。それを見た当時の隊長がいさめようとしたんだが隊長を殺して逃亡。その後の行方は分からなかった。しかしそうか、王子たちに飼われていたのか。それは見つからないわけだ。」



「これが2年前の話です。」


てことは今は14歳だな。


「その当時で騎士団の隊長を倒せるほどの実力があり、その年頃なら成長期でしょうから必然的に実力も上がっているはずですね。」


「少なく見積もってもB、悪ければAランクはある可能性がありますね。」


リリィの補足にジュリアとシュアの雰囲気が重くなる。

俺からしたらだからどうしたって感じなんだけどな。


「何落ち込んでるんだ?たかがAランクレベルなだけだろ?」


「たかがって……。彼に勝てる可能性があるのは王国には20人いるかいないかってことですよ。つまり冒険者のランクでいえばAランク相当。そのレベルの方が仲間にいるわけでもないですし。」


「俺がいるだろ?」


「いえ、私達もよ。」


「ですが……。」


それでも信じきれないか……。それもしょうがないか。なら、


「1週間でそいつらを俺らが潰してやるよ。潰した時には報酬をちゃんと払ってもらうからな。たっぷりと。」


俺の自身の有り様に絶句するジュリア。シュアはもしかしたらみたいな顔をしている。ジュリアとちがって武の経験があるからこそだろうな。


『それで本心は?』


「後手後手に回って一方的に攻められるのにはもう飽きた。というかムカついた。」


アリアスたちから視線が集中するが気にしない。


「しかし、気は抜くなよ。どうにも話を聞く限り胡散臭いからな。」


迅の嫌な予想は当たることになる。

予想というのは得てして悪い時に限って当たるものなのだ。


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