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68話 情報



「さて、問題はここからだな。」


迅は辺りに倒れ伏している奴らを見て嘆息する。


「どこまで情報を持っているか、ということですよね。」


「ああ。そうだ。直接襲撃にくるってことは相手としては失ってもいい奴らだったってことだろう?なら情報も最低限しか持っていないはずなんだよなぁ。力もそこまで強くなかったし。もうちょい歯応えがあったなら違う考え方もできたんだが。」


「御主人基準で考えたら大抵のものは弱くなってしまいますがね。」


リリィは苦笑を浮かべるがすぐに真剣な顔へと戻る。


「しかし、普通のアリアスやレイナとかと比べても決して強くはなかったですね。アリアスたちでも余裕でしょう。一番可能性があったのがサイだったんですけどね。あの中では一番強かったみたいですし。」


ということはつまりサイも期待外れということだろう。


「俺よりも強い奴は結構いると思うけどなぁ。」


「確かにいるかもしれませんがそういった者にそう簡単に出会えるものでもないでしょう。

・・・それよりも問題なのは次は誰が来るかですね。今回は威力偵察の面もあったはずです。」


「だろうなぁ。どうせなら全員で来て欲しいよな。めんどくさいし。

ま、ここで話しててもしょうがないか。後でジュリアが事情をきっちりと教えてくれるだろう。その辺も含めてな。どうせこいつらは王子のものなんだろうし。とりあえず今はこいつらを縛るか。


火魔法 フレイムバインド・・・だったか?」


迅がうる覚えの魔法で人数分の炎の縄を出す。それは先程の魔術師が放った時のものよりも軽く二倍は太い。

それはつまり炎の大きさも増えるということであり・・・。


「あぁぁぁぁ。」


その熱で倒れていた全員が目を無理やり覚めさせられる。フレイムバインドの炎はしかし彼らの体を燃やすことはない。まあ燃やさないだけで暑さはバッチリと伝えてはいるのだが。

全員がうめき声をあげるが迅は全く気にせずに彼らに向かって一方的に話しかける。


「やっと起きたか。お寝坊さんたちだな。お前らは」


語りかける言葉は比較的優しいが、その目は全くといっていいほど笑っていない。

彼らも熱による痛みは続いているはずだが、誰も声を発さない、発せない。全員が顔を下にだらんと向けている。


迅はそう考えていたのだが、なにか様子がおかしい気もする。


「おい、お前ら。」


無反応。


今度は一番近くにいたやつを蹴り上げてみる。

しかし反応はない。


これはもしかして・・・。


「失神していますね。」


「またかよっ!」


失神を解くために熱を加えてみたわけだが、一瞬覚醒はさせることには成功したものの、今度は熱の威力が彼らの許容値をオーバーしてしまったらしい。


「いや、軟弱すぎるだろ・・・。」


迅は熱の威力を弱めて縛っているだけの状態にする。

若干肌を突き刺すような痛みはあるだろうがまあ、これぐらいなら我慢できるはずだ。


もう一度全員の頬を蹴り上げて叩き起こす。



「さてと早速だが、お前らの組織は誰だ?」


「・・・・・・・・・。」


「全員が沈黙か。誰も最初から素直に答える奴はいないよな。そりゃ。うーん。どうしよ。」


腕組みをしながらどんな拷問にしようかを考える。


何にしようかなぁ。水攻めでもいいけどあれは全員やるには結構時間がかかるってリリィに怒られるから却下だし〜。


それから少しの間考え続けるが特にこれだという名案が出てくるわけでもない。


よし、決めた。オーソドックスな方法で行こう。


「はーい。注目。

これからここにいる人たちに教えてほしいことがあります。それを先に教えてくれた方にはここから無事解放してあげたいと考えたいと思います。それ以外のメンバーはそうだな。とりあえず指の爪をはいで、頭を水に何度も水没させて、大事なところを蹴ってみたり色々するとかにしようか、()()()()()()


そこまでいうと、敵の中の何人かは顔を若干青ざめさせる。

うんうんいい傾向。いい傾向。


「しかーしこのままだと言いにくいだろう君達も。わかる、仲間の目線もあるからね。裏切り者だと思われるかもしれないしな。

ていうことで一人一人に聞いていくことにする。その間他のみんなは何も見えないし音も聞こえない状況になってもらいます。物理的に。

じゃ、早速始める。うーん。まずはそこのきみから。」


迅が一番端に座っている斧を持っていたいかにもベテラン風なやつを指差す。

それ以外のやつのフレイムバインドの温度をあげて他の奴らのさっきと同様に意識を飛ばす、今度は意図的に。

失敗は生かすものだからね。


「さてと質問していこう。お前の組織はどこだ?うん?」


「・・・・・・。」




「お前の上司は誰だ。」


「・・・・・・。」


「ふむ。答えないと。」


迅は徐に近づき、男の指を思いっきり踏み抜く。()()()()

何枚かの爪が割れる。


「グアぁぁぁぁ。」


「声は流石に抑えられないか。ちょっとまだまだだな。」


迅は元の位置に戻るともう一度質問する。


「お前らの組織は?」


「・・・・・・。」


「答えないか。

なら、俺か言おう。お前らの親玉は第一王子、もしくは第二王子のどっちかだな?」


「・・・・・・。」


男は何も答えない。

しかし目がほんの僅かにだがさっきと比べて動いた。

迅はニヤッと笑う。


「そうか。わかったよ。目は口ほどにものをいうって言葉覚えといたほうがいいぞ?

あ、覚えても意味ないか。じゃあとりあえず今は寝とけ。」


迅はフレイムバインドの出力を上げる。


「それじゃ続けていこうか・・・。」


迅は次のやつを起こしにいく。





「ただいまぁ。」


迅が宿に着いたのは夕方になりかけての頃。

予想以上に手間取ったせいである。


宿の中へ入るとバタバタと走ってくる音が聞こえてくる。


「遅いわよ!」


アリアスの表情はプンプンとした感じになっている。


「ああ。悪いな。それで?」


アリアスは怒っていた表情から一転して真剣な表情へと切り替わる。


「ジュリアならもう私たちの部屋にいるわ。早くあなたも来て。」


アリアスの言葉に迅は何をいってるんだ?みたいな顔になっている。


「え?」


「え?」


2人して首を傾げる。


「私の言葉何かおかしかったかしら。」


アリアスは自分の言葉を改めて反芻して見るがどこもおかしなところはない・・・ように思える。


「まあ、おかしくはなかったぞ。おかしくは。でも俺が聞いたのは今日の夜飯はなんだ?ってことだぞ?」


「は?」

アリアスの顔がはてな顔になる。そして次第にプルプルと手を震わせ始める・


「何を当たり前だろ?みたいな顔してんのよ。それで?のどこにそんな意味が込められていたっていうのよっ!!」


「ご飯は1番大事なことに決まっているだろっ!!食事は軽んじてはいけないのだ!!」


「は?頭でも打ったんじゃないの?」


変に熱くなった迅をアリアスが冷静に突っ込みを入れる。


「どっちにしろ夕飯の時間にはまだ早いですし、とりあえず部屋に戻りますよ。」


リリィがまとめて、アリアスが迅を引っ張って自分たちの部屋へと戻る。

部屋を開けると、そこにはレイナとジュリアそれにジュリアの護衛であるシュアが既に座っている。

レイナは迅が入って来たことに気づくと満面の笑みを浮かべる。


「ダーリン!!お帰り!」


「今日はお疲れ様でした。」


「中々見事であった。」


レイナに続いて、ジュリアとシュアも労いと賞賛の言葉をくれる。


「それはそれとして、なんでこんなに遅かったの?訓練場からもサイってやつと二人で出ていっちゃうし。」


「それは私も思った〜。どうしたの?基本的に他者と関わるのもコミュニケーション取るのも嫌いなダーリンが、出会ったばかりのの冒険者と消えるなんて、まさか・・・」


レイナがハッとした様子で手を抑える。


なぜかわからないがとりあえず嫌な予感しかしない。


「一目惚れ?」


「アホかっ。」


嫌な予感は外れないよな、うん。なぜだ?


「ちょっとあってな。今から話すよ。わかったこともあるしな。ジュリアの話はその後でいいか?ジュリアにも関連することだから。」


「やはりですか。はい。私は大丈夫です。」


やはりってことは予想していたってことか・・・。

何かしらあったとは考えられるし、今あったとしたら自分関連なのはまあ容易に想像はつくか。


「とりあえず要点だけ話す。」


全員が真剣な顔で俺のことを見てくる。

なんで俺のこと見てくるの?あ、大事な言葉忘れてたわ。


「俺がじゃなく、リリィが、な!」


全員が一斉に呆れ顔になってリリィからは冷たい目線を向けられた。


秘書さん怖い・・・。





1話などを徐々に手直ししていますのでよければ見てもらえると嬉しいです・・・。

面白いなとか思ってもらえたらポイント評価やブクマお願いします。

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