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58話 模擬戦

あ、予約投稿し忘れてました。


「さてと、じゃあこれから何するか。」


ギルドからの伝達を受け取った翌日、迅たちは街の外へと出ていた。


「そうね。軽く体を動かそうと思ってギルドでDランクのもの討伐系の依頼をを受けてみはしたけれどもあっさりと終わってしまったものね。」


そう言うアリアスの元には魔物の死体が。キラーアントと呼ばれる魔物で、体長50センチほどで強力な麻痺毒を持っている。しかしそれ以外は特に何もなく、一体一体の能力は決して高いとは言えない。そのためEランクの魔物なのだが、この魔物単体で行動することはなく群れで行動するためキラーアントを相手にするにはDランク以上とされている。

そして今回の依頼もキラーアントの巣を駆除という依頼でだった。


元々、迅たちは明日の試験まで特にすることもなかったため何するかと言う話になっていた。迅としては別に部屋に待機していてもよかった、というよりも迅はむしろそうしていたかった。のだが、他の面々に却下されてしまった。

その結果、ジュリアは部屋でシュアと共に待機することになり迅たちは身体を鈍らせないようにと、依頼とはどんなものかというのを兼ねて渋々受けてみることにしたのだ。

ちなみに今はランクFの迅たちがDランクの依頼を受けることができたのは一重にレイナのお陰といってもいい。

高ランクともいえるCランクのレイナがいたからこそ許可されていた。ギルドとしても高い戦闘力を持っている迅に依頼をこなしてほしいと考えもあったりするのだが。そうでなければいくらCランクとはいっても許されるはずがない。その辺りにこの町のギルドの切迫さが伝わってきたりし、迅も分かってはいるのだが実際そんなことは迅たちにとってはどうでもいいのでスルーしていたりする。


「ん〜。そうだなぁどうせこれと同程度の魔物じゃあ面白くもなんともないしな。どうするかな。依頼は達成したし。」


迅の足元にはキラーアントの巣を駆除した証とされるキラーアントの女王の死骸が。死骸は2メートルを優に超えており、足の先端の一部は鎌のようになっている。

なぜこのキラーアントの女王、クイーンキラーアントが依頼達成したことになるかというと簡単で外に出ることが一切ないためだ。しかし巣の中にいても実力は他のキラーアントと比べて高くなっているためギルドのランクもワンランク上がってCランク相当ということらしい。迅にとっては同じようなものだったが…。討伐証明の部位は鎌のような部分でそれがあればいいらしい。

緑色のキラーアントの体液が刀についていることに気がつき、汚そうにしながらふっと刀を払って血振るいする。

そうして迅がしばし思案しているとふと思い出したことがあった。それは、アルベロとの戦いの時の考えたこと。


「そういえばアリアス。お前の戦い方は俺の剣技を基本としていたよな。」

「ええ。そうだけど?」

「んで、レイナも一度だけだが双剣を使ってたよな?」

「あ〜........。まあね〜。」


はっきりとしない口調のレイナ。

何か言いづらいことでもあるのか?


「ん?どうした?聞かない方がよかったか?」

「いや、そーいうことでもないんだけどね〜。」


そうは言いながらも中々それを見せようとはしない。なぜか顔を少し赤くしている。


なんでだ?


そしてフゥと何かを決意するように息を吐くと話し出す。


「昔は双剣も使っていたんだけどね〜。でも冒険者を一回やめた時にガロンおじちゃんに売っちゃったじゃない?あの時返してもらったはいいんだけど全く腕が鈍っちゃて使えなかったのよ〜。だからオケアスでも使わなかったしね〜。」


ああ、だから顔を赤くしたのか。ただ身体が鈍ってたからなんて言いたくないもんな。


「それでこれからは使うのか?」

「うん。全盛期ほどに剣技はまだまだ戻ってないけどね〜。ある程度使えるまでには戻ったから〜。」


幻視の瞳と双剣の併用か。うん。かなり凶悪だな。相手はレイナの眼を見たら幻術にかかる。しかしそれにばっかり気を取られると双剣によってお料理される。眼を見ずにするために攻撃しようと後方から攻撃しても魔法の腕も高いから反撃される、と。万能すぎるだろそれ。



「っていっても、魔法の方が威力も高いしスタミナもそこまでないからやっぱり魔法主体だけどね。力もそこまでないし。だからこないだもトドメとかはさせてないでしょ〜?」

「確かに。まあ、双剣は俺も使えるから教えてやるよ。」

「え?ほんとありがと〜。」


それは予想外だったのか一瞬驚きの表情を作った後、嬉しそうに微笑むレイナ。迅が教えてくれるとは考えていなかったらしい。それもそうだろう。迅は基本的に戦闘では村正しか使っておらず、二刀流などというどこぞのMMORPGキャラが使うような剣技は使ってなどいなかったのだから。

まあ、元々刀を一本しか持っていないのだから二刀流など出来る訳もないのだが……。


「さて、それはいいとしてだ。一つだけわからないことがある。」

「ダーリンがわからないこと?珍しいね〜。」


またもや驚きの表情を浮かべるレイナ。アリアスも「迅がわからないこと!?」と瞳を輝かせている。

その反応が気に入らなかったのか、不満気な顔となる。


「お前ら、俺だって人間、この世界でいえばヒューマンなんだぞ?なんか別の生き物と勘違いしてないか?」

「え?」

「えー?」


こいつらまた人を化け物とか言いそうだ、もう聞きたくない。

さっさと疑問を言うこととする。


「ガロンおじちゃんって誰だ?」

「「は?」」

「え?」


2人は一瞬呆けた顔をして次には迅が言ったことを理解したのか呆れた視線をを向けてくる。


「誰だって…。」

「ダーリンにリリィのコートを譲ってくれた人だよ〜!」

「あ〜…。あいつか。いいやつだったな、うん。」


確かヒューマン嫌いのレイナが仲良さそうにしてたやつだな。


「ほんと、ダーリンは他人に興味ないよね〜。」

「ね〜。」


レイナの言葉に同意するアリアス。


「それが御主人なんです。」


後ろからため息と共にそんな声が聞こえてくる。

いつのまにか戻ってきたらしい。リリィにはある調査を頼んでいたのだが。


「どうだった?」

「ええ。この周辺にはキラーアントの巣とされるものは他にはないみたいです。」

「そうか。そりゃよかった。」


「そのよかった、っていうのは被害に遭うヒューマンとかがいなくてよね?」

「は?なにいってんだ?これ以上仕事しなくていいからに決まってるだろ?」


やれやれといった様子の迅。

全員がなんとも言えないという表情で苦笑いする。


「はぁ。全く。」


なぜか迅が一番呆れた感じを出しているのだが。ここは深く突っ込んだら負けというものだろう。



「まあ、依頼はあとはもうギルドへと持って行くだけでいいんだ。町へと帰るまでの間までやろうか。」


そういって徐に迅は村正をポイっとリリィへと渡す。

それを軽く受け取るリリィだったが、表情は少し不満気だ。


「ん?どうした?」

「レディーに対して武器を放ってよこすというのはどうなんでしょうね。御主人。」

「いや、それはリリィなら余裕だと…。」

「できますが、受け取れますよここにいる方なら全員。しかしそれをやってもいいことにはなりませんよね。はいやり直し。」


リリィは迅へと有無を言わさず押し返す。


「くっ。」


ここでやりあってもかなわないし、レディーに対しての扱いとして適当なものではなかったと迅は理解しているため素直にやり直す迅。

ちなみに隣ではアリアスとレイナが笑っている。

くっと羞恥の表情を浮かべながらも、リリィにか弱い女性に荷物を渡すように村正を渡す。


「持っといてくれ。」

「はい。かしこまりました。」


それを満面の笑みで受け取るリリィ。リリィが受け取ったのを確認して迅はクルッとターン。アリアスたちの方に向き直る。その表情はリリィと同様に満面の笑み。しかしまとう雰囲気は極悪そのもの。


「さあ、全力でかかってこい。悪いところを見てあげよう。」


迅のあからさまな上から目線にイラッとくるアリアスだったがぐっと抑えて、1人前へと出る。逆にレイナは後ろへとさがろうとする。


「何している?」

「えーと、邪魔にならないように下がろうかなーと。」

「何いってるんだ?2人でに決まってるだろう?そうじゃなきゃ相手にすらならないしな。」


嘲るように笑う迅。

これにはアリアスもレイナも黙ってはいられない。


「ちょっと調子に乗りすぎたようね。」

「お灸が必要みたい。」


レイナの口調が間延びしないものとなっている。どうやら本気モードらしい。


「ああ。かかってこい。あとお前らは武器使っていいよそのまま。そうじゃなきゃ意味ないしな。」


またムカつくようにニヤッと笑う。アリアスとレイナのムカつきも限界突破。



挑発に乗りやすいのも問題点だな。






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