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5話  新たなる仲間

拙い文章ですがよろしくお願いします。

「う・・・んっ?っぅ。」


全身に感じた鈍い痛みで目を覚ます。

それは痛みではあるが体が動かないというほどのものでもない。動くと少し痛みがある程度だ。

それは誰しもが経験したことはある痛さだ。そう例えば腹筋をしてみたり卓球をしてみたり。いつもよりも運動した時などに起こる例のアレ。


簡単にいうとまぁアレだ。筋肉痛というやつだな。


「よく寝たなぁ。よし、もう一回ね・・・・・・ん?」


そこで迅は自分の両腕の鈍痛の先に何か柔らかいものに触れていることに気づく。


なんだこれ。


ちょっと手を動かしてみると、モミっとした弾力が返ってくる。。


すげぇ。手のひらにピタリと吸い付いてくるような・・・。

更に手をわしゃわしゃと動かしていく。


「あんっ。胸なんて触ってダーリンは積極的ね〜。」


んん?なんか聞こえたな?

そこで迅はようやく気づく。自分が触っているものが何かを。というか言っていたのに気づいた。


そーっと迅は視線を上に上げてみる。

そこには左右で瞳の色が異なるオッドアイの澄んだ目が。


「だ、ダーリンって。というかお前は・・・・・・えーと、たしかフードの女・・・だったよな?・・・たぶん?」


最後が疑問形になってしまったのはしょうがない。最後の方の記憶は虚であんまり覚えていなかったのだから。

だが、その予想は当たったようで・・・。


「ダーリンにはそんな風には呼ばれたくない〜。私の名前はレイナ・ヴァレンシュタイン。

レイナって呼んでほしい〜。」


レイナがうっとりとした目で迅を見つめてくる。

迅もそんなレイナのをことを見つめ返す。

左右に輝く紅と蒼のオッドアイ。片方に垂らしている輝く様な金色の髪。アリアスよりは控えめだが大きな胸。スタイルの良さ。その一つ一つに見入ってしまう。


その前には全ての疑問が吹き飛んでしまう。


なんでここにいるのか、とかダーリンってなんで呼んでるの?とか今何時とか。

そういう大事な質問が。


「それでお前はどうしてここに??」


「・・・・・・。。私の名前はレイナ〜。」


なぜか拗ねたように自分の名前を主張してくるが、無視だ。そんなことよりも大事なことがある。


「どうしてここにいるんだ?」


「・・・・・・。レイナ〜。 」


同じやりとりが続く。

いくら聞いてみても自分の名前しか言わない。


はぁ。どうしろと言うんだ。


俺の質問には答えない。しかし会話がしたくないわけではないらしい。現に名前を言ってくるからな。

てことは名前を呼ばないと答えてくれないってとかか。まさかそんなわけもないか・・・。

とはいってもこのままじゃ埒も開かないし、やってみるか。


「はぁ。それじゃレイナ。 」


「なーに?」


今度は満面の笑みで返事をしてくれる。

なんでだ?・・・まぁそんなことはどうでもいいか。

それよりも本題だな。


「えーとまずなんでお前はここにいるんだ?」


「んー?あなたが丸1日以上も寝ていたのよ。それで流石にもうお昼だからって事で起こしに来たのよ。一夜を共にしたわけじゃないから安心して〜?」


「それはわかったが・・・。」


アリアスがいきなり昨日会ったばかりのやつに起こさせにくるとは思えないんだよな〜、昨日あれほど簡単に人を信用するなって言ったし・・・。


しかしレイナの言葉にはまだ続きがあった。聞きたくはない続きが。


「それよりいいの?私はおっぱいを揉まれていても全然嬉しいのだけれど反対側にいる人はそうでもないみたいよ??」


「ん?反対側? 」



迅は振り返って後ろを見る。見てしまったのである。

そこには荒々しい雰囲気を身にまとった女神様が降臨なさっていた。

そこでようやく迅は気がつく。

起きて最初に思ったことがなんか気持ち良い感覚だったことに。そしてその感覚は()()だったことに。


その相手がレイナだけだと思っていた。しかしそれではおかしいのだ。俺は仰向けに寝ていたのに両腕でレイナの胸を触るというのは体勢的に不自然になる。ということは逆側にもだれかがいるはずなのだ。

レイナ本人が嫌がって無かったというのが手を離さないことを、自身の欲望を助長させた。


迅は急いで両手を離し、ベッドに潜ませる。


「あら残念。」


とレイナが呟くが迅はそんなことにかまっていられない。


「あ、アリアス。どうした?マキロイに向けていた時の顔よりも数倍すごい顔になっているぞ?俺は笑っているアリアスの顔の方が好きだけどなー?」


しかしそれは悪手だ。


「あら?そう、じゃあこっちの顔の方があなたにはいいのかしら?」


アリアスの顔が満面の笑みを浮かべる。

しかしその雰囲気はさっきレイナが浮かべていた笑顔とは全く違う。

嵐の前の静けさを感じさせるのだ、アリアスの今の笑みは。なぜか。



「いや、それは若干ちがうような・・・。」

「というか女性に向けてすごい顔っていうのはどうなのかしら、私はかなり失礼だと思うんだけどね。そして思ったのだけどあなたにそんなに笑顔を見せたかしら?

ていうか何なのかしら、そのしゃべり方は?女性の!胸と太ももを!あろうことか許可もなく!触ってその!態度は!どうなのかしらね!」


あ、触っていたのはアリアスの太ももだったんだ。


しかしそれを口に出すほど愚かな迅ではない。


「私は別に良かったんだけどね〜?」


それがアリアスに油を注ぐ形になってしまう。

その火が向かう先はもちろん迅だ。

迅は即座に仰向けの体制からベッドの上で正座体勢へと移行する。


そこまでは正しかった。しかし次の判断が良く無かった。


「ち、違うんだ。起きたらそk…「言い訳無用!!!」」


アリアスのパンチが迅に炸裂した。

言い訳という選択肢はどうやら間違っていたらしい。




その後居間に移動させられた迅はアリアスによるありがたーいお話を長時間にわたって正座でご教授された。講義の内容は主に女性の尊厳についてである。ちなみにレイナも参加させられていた。安易に胸を触らせたのが問題だったらしい。迅もそれは問題だとは思うのだが・・・。


「ダーリンだけ〜。」


というレイナの言葉はあっさりスルーされ参加させられていた。

俺もそれはどうかとは思うぞ。


しかしその長い有難いお話はギルバートがきたことによって終了となる。

アリアスは途中で話が終わってしまい、不服そうな顔をしていたが。


「おお、起きてきたか。迅殿。」


「ギ、ギルバートだったか?とりあえずありがとう!!!」


アリアスの顔は見れない。

多分険しい顔をしているだろう。だからギルバートに集中させていただく。


「なんのことじゃい?まあよい。それよりも改めてお礼を言わせてくれ。この度は我が村を救ってくれて本当に感謝する。ありがとう!」


頭を深く下げるギルバート。


「別に気にするな。こっちも巻き込まれていたんだ、ベアーの肉のことで。もらうものはしっかりもらうし予定だしな。

それにしてもどうしてこの村がヘイカーズ程度の奴らに簡単に占拠されたりしたんだ?警備の奴らぐらい普通はいるだろ?」


「それなんじゃがのう・・・。」


ギルバートはそこで言葉を止め、歯にものが挟まったような言い方になる。


「実はのぅ・・・今王都ではお家騒動が起こっておっるのは知っておるじゃろう?それでその様子見のために人をさいておったのじゃ。ここからは距離もあるため、村の若い者の半数はそっちに行ってしまっておってのう。そのため最低限の者しかおらなくてのぅ。」


こんな小さな村の絶対数なんて限られる。その半数がいないとなると本当にギリギリしか残っていなかったんだろうな。


「しかも奴らも案外狡猾で、何人かを村のはずれにいつのまにか潜り込ませていたのじゃ。そいつらに衛兵が夜の内に全員暗殺されたじゃ。村に残っておったのは非戦闘員ばかりじゃから村はあっさりと制圧され、檻に入れられてしまったのじゃ。」


「村の備蓄とかは?」


「少々は荒らされておったがほとんどは無事じゃ。わしらの村を占拠してすぐにベアーが現れたことが原因じゃろうな。それでやつらもそっちにかかりきりになって。人的被害もなしじゃわい。これぞ正に不幸中の幸いといったところじゃ。わはははははは」


ギルバートは豪快に笑う。

彼の話がひと段落したところでアリアスが口を開く。


「迅、私達もあなたに聞きたいことがあるのだけど。」


「ん?なんだ? 」


「あなた、マキロイとの戦いの時にやけに正確に魔法師を狙ってその、こ、殺していたわよね?しかもマキロイの能力もすべて知っていたみたいなこと言っていたし、どうして? 」


「ああ、そのことか。実はな・・・」



それはアリアスを助けに行く前のこと。

迅はアジトを発見するとそのまま突入、はせずにひとまずマキロイに案内された部屋へと戻った。


んー、どうするかな。そういやこの家にはマーサとかいうのがが残ってたな。しかもさっきの話じゃマーサは今1人だっていうし。よし、ちょっとお話してこようかな。


迅はニヤリと邪悪な笑みを浮かべると自分の部屋を出て、マーサがいるであろう居間へと向かう。

上からそろりと下を見渡すと居間にはマーサがいた。しかも油断して横になり寝ている。


いや、見張りの役目しっかりと果たせよ。まあこっちはやりやすいからいいけどさ。


音を立てないように家の外に一旦出るとその辺に落ちていた桶を二つ持って、井戸で水を汲みそれを家の中へと運びこむ。

自分のジャージを軽く破るとそれをタオルのようにする。

そこで一旦、マーサを見てみる。


よし、まだ寝ているな。


寝ているマーサを起こさないように椅子に乗せて両手両足を縛り付ける。


「おい、起きろ。」


思いっきりマーサに水をかける。


「・・・・・・え?」


「やっと起きたか。お前にいくつか聞きたいことがある。」


「なんで私は縛られて。というかお前はたしーーグゥッ。」


マーサは続きをいうことができなかった。というか言わせなかったの方が正しいか。

迅がマーサの指を逆方向に曲げたからだ。


「おい、何勝手にしゃべっているんだ。俺が発言していいと言った時にだけに答えろいいな。」


「な、なんであんたなんかに……っ。」


「は?」


ボキッ。


嫌な音が家の中に響きわたる。


「黙れ。次は二本だ。お前にはお前らの組織のこと洗いざらいはいてもらうぞ。」


「組織ってなんのことかな。」


マーサは余裕のある笑みを浮かべてくる。


「へぇ。まあいいさ、すぐにはきたくなるさ。」


迅は微笑んで返すと、桶に汲んである水にタオルを浸し始める。


「お前そんなもので何をするつもりだ。」


迅は何も答えず、タオルを持ってマーサの前へとやって来る。


「ふぅ。始めるか。」


笑顔で迅はマーサの顔に水タオルを思い切り押し付ける。


「ガふぅぅぅうぅっぅ うっうっ。」


マーサが手と足をジタバタとさせるが迅は顔から水タオルを離さない。

15秒ほどしてからタオルを迅がとる。


「ハアハア。お、お前何」


「誰が発言していいと言ったんだ?」


最後まで言わせる前に迅がまた顔に水タオルを押し付ける。

また15秒ほどしてタオルをとってみる。


「な・・・。」


「学習しないやつだな。」


何度も同じことを繰り返していく。

そのうちにマーサの顔が段々とひどいことになっていくが迅は気にしない。


「ちょ、まて・・・。」


それでも迅はやめない。

30回をこす頃には椅子の下には黄色い水溜まりまでできていた。


「さて、お前らのことについて聞きたいんだが教えてもらってもいいか?」


迅がタオルを両手に持ちながら優しい笑顔を浮かべてマーサに聞く。


「は、はい。」


「あ?なんだって?」


「はい!!」




「それからは人が変わったようにマーサは快く俺に教えてくれたよ。」


笑顔で話す迅とは対照的に説明を聞いたアリアスはというと・・・・・・もちろんのことドン引きであった。

なぜかレイナは尊敬したような感じになっていたが。


「あ、あなたもなかなかエグいことするわね。でもそれで納得したわ。どうしてあなたがヘイカーズのことを詳しく知っていたかが。あともう一つの疑問もね。」


「もう一つの疑問?」


「ええ。家にいた時には出来ていなかった黄色い染みがいつのまにかできていた理由よ。」


「全く漏らすなんてありえないよな。」


そんな迅の反応にもはや苦笑するしかない面々。


「そしかし情報を先に聞いていたならマキロイの能力を知っていたことも納得じゃわい。・・・やり方はともかくとして。」


「さすがだわダーリン。」


「みんなそんな誉めんなって。照れんだろ」


ポリポリと頬をかく。


「褒めてはいないわ」


しかしそんなアリアスの声にはいつもの棘はない。


「はぁ。もういい。

そんなことはぶっちゃけどうでもいい。それよりも大事なのはこれからだろ?」


アリアスが不服そうな顔をしながら頷く。


「それでだギルバート。俺らはずっと旅をしていてな。今の状況を詳しく教えてもらえないか。」


迅はサラッとテキトーな嘘をつく。

ギルバートは疑うこともなく、快く事情を教えてくれる。


「ああ、いいぞい。といっても辺境の村に入って来る情報はほんの少しばかりじゃからな。大した情報はないのじゃが。

王都では今、王が流行りの病にかかってしまったらしい。これが死に至る病で治せる見込みが基本的にないそうじゃ。延命はできているみたいじゃが。そのためか次の王の座をめぐっての政権争いが王都で起きているらしいのじゃ。今は魔人に攻め込まれている時でそんな余裕はないはずなんじゃがのぅ。」


ギルバートは嘆かわしいののぅとため息をつく。

全くだ。どこでも権力争いはあるんだな・・・。どうでもいいが。


「それで話は変わるんだが今、マキロイってどこにいる?少し用があるんだが。」


「マキロイなら今は村の檻に手足を拘束、目隠し、猿轡をして収監されているはずじゃ。

ヘイカーズの他の者も他の檻に収監されている。」


ギルバートはあっさりと答えてくれるが、こんなにあっさりとしていいのかね。

俺としてはいいんだが。


「そうか。じゃ、俺とアリアスは行ってくるが、お前らはどうする?」


「私はダーリンと行くわ〜。こいつらと一緒にいたくないもの。虫唾が走る。」


うわぁ。毒舌。

ま、忌むべきものとか言われてればこうなるか。そこは同情の余地もないな。


ギルバートはレイナのその言葉に顔を少し青くしながらも、


「わしはヘイカーズのしたことの後始末をしなければならんからの。遠慮しておくわい。」


「そうか。なら行ってくる。」


そう言うやいなや迅たちはそそくさと家から出て行く。


「ね、ダーリン。それでマキロイのところに何しに行くの〜?」


「ああ、まあもらうものがあるんでね。

ていうか、お前さらっと俺たちについてきてるけど、どうする?ついてくるか?」


「どうしよ。この村にいてもなーんもいいことないし。この村に居たのだって、他の所よりも人が少なくて大した迫害を受けないからだったんだけどね。まーた旅にでも出ようかな〜」


そう言って、レイナが迅へと意味ありげに目線で訴えかけてくる。


「ん?なんだ?」


「私もあなたたちの仲間に加えて〜?」


「え?なんでそうなる?」


「ダーリンといると面白そうだから〜。」


うーん。絶対本当のことを言ってないよな。嘘も言ってないようだが。


「お前って変なやつだな。」


「ダーリンには言われたくないかな〜。それとお前じゃなくて、レ・イ・ナ!」


「ああ。はいはいわかったよ。

で、アリアスはどう思う?」


「うーん。私たちの話を聞いてみてもらったらにしたら?実力はあるし、まあ性格もちょっと難ありだけど。」


ああ。鑑定でもしたのか。

アリアスもオッケーしてるし。いいか。


「ああ俺たちときてもいいけど、最終的な判断は俺たちの話を聞いた後にしな、もちろんこれから話すことは他言無用だ。いいな?」


無言の圧力を醸し出す迅。

もし言ったらその先は言うだけ野暮だろう。


しかしそんな圧力など全く気にもせずレイナは軽く答える。


「ええ、ダーリンの言うことならね。」


それからマキロイが収監されている村の檻にまで行く道中、アリアスがレイナへとこれまでの事情を軽く話していく。

レイナはすべてのことを聞くと黙り込んでしまう。


結構重い話だしなぁ、てかこれからが絶対辛いもんなあ。俺だって憂鬱だもん。

まあ、これで諦めて別のところへ行くならそれはそれでいい。


迅はそう予想していたのだが、それはあっさりと覆されることになる。


「ダーリン。」


「なんだ?」


「私、ダーリンのために頑張る〜!もちろんアリアスのためにも〜。」


「え?なんでそうなる?」


小声でアリアスへと尋ねる。


「あれじゃない?共感するとことがあったとか。」


アリアスもあんまりわかっていないらしい。


その間にレイナは涙を浮かべながら体を寄せてくる。その時に胸が当たり、迅の顔が一瞬綻ぶ、がすかさずアリアスの声が飛んでくる。


「迅〜、またお話しする?」


「いや、大丈夫だ!!よーく理解している。」


アリアス先生による2回目の講義はどうやら回避できたらしい。

読んでいただきありがとうございました。

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