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42話 可能性

1週間ぶりですかね?

「へ〜、やっぱ観光地の露店ともなると色々な種類のものがあるのね。」


わぁ〜と感動しながら辺りを見回すアリアス。

レイナも同様に感激している様子だ。


「って。レイナ。お前は前もきたことあるんじゃなかったか?」


そうなのである。

彼女、もといレイナは元々ギルドに所属する冒険者だったため、依頼で何度かこのウィルシスにきていたはずなのである。


「たしかにウィルシスにきたことはあります。ええありますとも!!でも問題はそこじゃないんですよ!!!」


あれ?


「あのステルベンでの道中!!毎回毎回!!同じようなものを食べて食べて飲んで飲んで!!そんなんでピチピチの乙女である私が満足できると思いますか?新しい味を体が欲すると思いません?思いません?思いますよね?

しかも、冒険者をやっている間は基本依頼をこなしているわけ。つまり基本的に思うままに行動できたことが少ないの〜

だから私、私、嬉しいんの〜。久しぶりにちゃんとした料理を見ることができて〜。」


あ、露店に感激してたんじゃなかったのか。

露店が売っている料理に眼が向いていたのね。

まあ、実際問題旅をしていると料理が偏っちゃうのは今の所しょうがない部分はあるからな。どうしても日持ちのするものが中心になってくるわけだし。

まあ、とは言っても辛いものは辛いわけであって...。

まあ、慣れてはいてもなぁ。

あれ?なら、旅慣れしていないアリアスは〜......ってうお。めっちゃレイナの話にウンウン頷いている。女子同士でも話してはいなかったらしい。


「そ、そうだよな。あれはまあ辛いもんな。

ん〜。よし、じゃあこのウィルシスの町にいる間は飯には糸目を惜しまないことにするか。」


そう言った瞬間。アリアスとレイナのさっきまでの死にそうな顔が一転する。

今やばかったよ?2人は思い出すようにがくんと落ち込んでいたんだよ?

肩を落として、首がブラーンとなってたんだよ?

それがさ。グリンって。グリンていう感じで首がこっちに。


「え、えっと?どうした?」


ちょっと言葉に詰まってしまった。


「神ね。」

「ええ。神なの〜。」


あ、レイナの口調がいつも通りに戻った。

いやいや、てかアリアス。

お前はまじもんの女神じゃなかったか??

そんなんでいいのか、元女神。

やっぱアリアスはテキトー女神だなぁ。

俺がそんなことを考えているとは露知らず、2人は楽しそうにあたりを見回している。



(御主人。)


ん?どうした?リリィ。

さっきから全然出てこないなぁと思っていただけど。

しかし念話で俺に話しかけてくるってことは、アリアスたちには聞かれたくない話ってことか?


(いえ、まだ確定的な情報ではないので、まずは御主人にお知らせしてこうと思いまして。)


そうか。

それでどうした?


(さっき、御主人にぶつかってきた女性の方がいらっしゃったじゃないですか。黒ローブを着てフードを目深に被ったものが。)


ああ。いたな。


(気づきましたか?)


ん?懐に短剣を忍ばせていたことか?

それともあの女が結構美人だったことか?

あ、ごめんなさい。きつい目で見ないでください。

リリィのあの冷めた目というのはとてつもなく怖いんだよ?

もうね蛙が蛇に睨まれた感じとでも言えばいいかね?


(心の声がダダ漏れですね、御主人?)


リリィが微笑んでいるがその目は笑っていない。

あ、これ心の声を漏れないようにする技術を早急に覚えることが必須だ。

最優先課題だ。

じゃなければ、未来に待っているのは........死!!!


(そういう余計な考えを持たなければいいのではないですか?)


さっきと変わらないような微笑みを浮かべて念話してくる。

とはいっても、周りからは穏やかな笑みを浮かべている美人にしか見えないだろう。

だって念話で喋ってるからね。

あいにくなのか、幸運なことなのか、2人は未だに買い食いに夢中でこちらの様子にに気がつかない。

あ、それ、俺も食べてみたい。


(ご〜しゅ〜じ〜んさ〜〜まー?)


あ、さっきの笑顔が二割り増しになった。

まずい。

そ、それで?あのさっきの黒ローブの女がどうしたんだ?


(フゥ。まあ、いいでしょう。

それでですが、彼女が持っていたあの短剣、それにローブもですが、かなり質の良いものでした。

そう見えないように巧妙に工作されてはいましたが。)


たしかに、あの身なりをしているなら、他のものも質の良いものにすればいいしな。

しかし、地味にしようとしていた、か。

まあ、あの感じだと何かに追われていた様子だったな。

しきりに後ろを確認していたし。

そのために、俺にぶつかっているんだけど。

まあ、それはいいとしてだ。

あの黒ローブの女を追っていたのは誰かということになるわけだ。

まあ、でもだ。こんな可能性は低いと思うから一応としてなんだが。


(はい。)


リリィが笑顔で答える。

さっきとはまた違った笑みだ。

それはなんというか、出来の悪い生徒が正解を導きそうな時の教師の感じという感じかな。

ま、教師になったことはないからこれが適切な表現かは知らないが。

それでだ。俺の仮説というかまあ、状況の整理だな。

まず俺にぶつかってきた謎の黒ローブの女は何者かに追われていた。

そいつが持っているのは身なりに合わずかなり良いものだったと。

しかも奇妙なことにそのことを隠していた。

ここまでがさっきぶつかった女に関することだな。

ステルベンに入る前に俺たちは死体を発見していた。

それも、第一王女の守護と思われる護衛たちの死体が。

そして俺たちはステルベンで、先に入った奴ら多分第一皇子の派閥のやつにアルベロどもをMPKされそうになったわけだ。

このことからもろくな奴らではないことはわかるな!!

全く面倒を押し付けやがって。こっちは病み上がりなんだぞ。


(病み上がりの割に実は楽しんでいたのを私、知っているんですけどね。)


....... ま、まあ、それはそれとしてだ。

俺の怒りに触れているわけである。

これはよくない。仲間も危険に晒したわけだからな。


(取ってつけたような理由ですね。)


.....................。

で、話は元に戻すが、ステルベンを抜けた先にあるのはこの町、ウィルシスである。

てことは俺らが追ってきた奴らもこの町にいる可能性は高くなる。

ステルベンを超えるのは結構な労力がかかるからな。

俺たちもかかったし。主に精神的な面で。

んで、ここから考えられることはだ。

俺らが追っているもの。Xとでも名付けようか。

可能性としては第一にXが第一王女派閥という可能性だ。

まあ、これはない。

それだったらもう少しまともに弔うはずだしな。

ならXは、第一王女派閥ではない派閥。

つまり、第一皇子か第二皇子の派閥。

まあ、理由を色々つけたがこれはまず第一皇子の派閥で間違いない。

死体も落ちてたしな。

てことはだ、第一王女派閥は追いかけられたことになるわけだ。

そして道中、第一王女派閥とおもしきものの死体は発見していない。

てことはこの町、ウィルシスに入れた可能性が出てくるわけだ。

さっきの女は逃げていた。

つまりさっきの女が第一王女派閥もしくは第一王女かもしれないって事であってるか?

リリィ先生?



(よくできました。)


お、リリィ先生に褒められた。

やったーーー。


(それでどうするんですか?)


ああっと何をだ?


(この件です。関わりますか?)


リリィがさっきの笑顔からは一転して真剣な眼差しで問いかけてくる。

まあ、俺と繋がっているリリィなら俺がなんていうかは分かっているんだろうけどな。

あ、そんなエロい意味での繋がっているじゃないよ?

どうするかだって。

ん〜、まあ、俺の意見は決まっているけど、アリアスたちの意見も聞かないといけないだろ??


(まあ、そうですね〜。)


なら今やることはもう決まっているよな?

そう!!食べ歩きだ。

この念話は一瞬でやりとりできるとはいえ、漂ってくる香ばしい香りも我慢できるものじゃない。

よく今までシリアスに話すことができたものだ。


(はぁ。さっきから真面目に考えているふりをしていましたが、時折、興味がうつっていましたものね。)


「ちょっと、ダーリンとリリィ。そんなところで何やってんの〜。

食べないの〜?」


レイナがいつのまにか、買っていた魚を一匹串焼きにしたものを頬張っている。


「なんだそれ。めっちゃうまそう。俺も食ってみたい。」

「え?私の食べかけを食べたいなんてダーリンのエッチ〜。」

「いや、そういう意味で言ったわけじゃ...」

「全く純粋に食べ物の味を楽しみなさいよ。」


呆れた目でアリアスに言われる。

いや、特にそんなことも考えていなかったんだが。

とりあえずさっきまで考えていたことは後回しにする迅だった。




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