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40話 ウィルシス

今回はいつもより早く書けました!


「ついたーーーーーーーーー!!」


開口一番、アリアスが叫ぶ。

迅たちがウィルシスへとついたのは午後を少し回った頃である。


「やっとだな。ここがウィルシスか。」


俺たちは今、ウィルシスの門を入った所にいた。

セキュリティは案外甘く、湯治が目的だと言ったら、「若いのにお前さんも大変だなぁ。」とすんなり通してくれた。もし身分の証明をしろと言われた時には、困ってしまうのでレイナの幻視の瞳でなんとかしようとしていたのだがまあ拍子抜けであった。オケアスに比べて町の規模も小さいからか。

それにしてもこんなんで大丈夫なのか?

ここは前を歩いている元女神に聞いてみる。


「なぁ、アリアス。」

「ん?なあに?」


街並みや人の様子などを興味深そうにみていたのをやめて、振り返る。


「この町のセキュリティ、低くないか。誰でも入れそうだが。」

「ん?どこの町もこんなものよ。オケアスみたいな5大都市レベルになると、セキュリティもある程度高くなるけど他はそうでもないわ。一応、同じ国だしね。」

「それもそうか。」


きつく監視とかされていない分、住民たちはのびのびしているように見え、そのおかげか町には暖かな雰囲気が広がっている。



この光景を見る限り、政争や魔人の襲来などは考えられないな。

実際はかなり緊迫ししているはずんだが。まあいいか。湯治に来たんだしな。


すぐさま考えを切り替えると、迅の嗅覚は近くの露店に引き寄せられる。

露天商は観光客に商品を売るために、道行く人にあの手この手で話しかけていた。


現代日本だったら、迷惑防止条例に引っかかるだろうなぁあれは。


そんな風に呑気に考えながら街を歩いていく。その街並みはオケアスのような中世ヨーロッパ風ではなく、どちらかというと和。江戸時代の温泉宿が多く立ち並ぶ宿場町といった感じか。まあ、もっとわかりやすく表現すると時代劇でよく見るような感じの町かな。

建築物は木造で出来ており、ドアは襖でできている。それが道にずっと並んでいるという感じだ。多分ここがメインストリートなんだろう。それで湯気は大きめの長屋みたいなところから出ている。



「わぁ。やっぱ実物で見ると全然違うわね〜。」


アリアスが感慨深げに呟く。


「アリアスと迅は初めてだよね〜。」

「レイナは何回かあるのか?」

「1、2回ね。冒険者としての護衛でね。まあ、もちろんステルベンは通ってないからもっと来るときは時間がかかったけどね〜。」

「そっか。リリィはどうなんだ?来たことはあるのか?」

「うーん。ないですねぇ。私は契約者がいなければ、もっと言えば、御主人でなければ擬人化なんてできませんからねぇ。まして外に出ることなんてもっと出来ません。」

「てことは、レイナだけか。この町に来たことがあるのは。」

「そういうことになるんだ〜。」


なんか得意げになってるなぁ。

まあいいか。

あ、アリアスが少しムッとしてる。

知らないふり知らないふりと。


「じゃあとりあえずまあやらなきゃいけないのは〜。何だ?」


ここで軽くクイズを出してみる。


「宿を取ることかしら?」

「そうです!宿をとることです!」


あ、アリアスがすましながらも喜んでる。

なんか俺最近こういうのに敏感になったなぁ。

それにしてもなんでいつもアリアスとレイナは張り合ってるんだ?


(はぁ。それが分かんないうちは敏感なんて言わないでください。)


何故かリリィに嘆息される。

逆にリリィは分かるの?あ、同じ、女だから分かるのか。

ポンと手をたたき納得する。


(違います〜!どこの鈍感主人公ですか。御主人は)


はは。冗談だよ。分かってるって。


(どうだか〜。)


疑われている。何故だ。解せぬ。


「それでどこかいい所は知っているか?レイナ。」


先ほどは答えられなかったレイナへとふって見る。

上手いな俺。


「うーん。そうね〜。お金はあんまり気にしないよねー?」

「当たり前だろ?衣食住には糸目はつけん。まあ、貯めるものは貯めるがな。」

「ならあそこにしよーっと。ちょっち高めだけども〜。っていうかここと安いとこ1個ずつしか知らないんだけどね〜。」


テヘッと言ってベロを軽く出すレイナ。

やばい。アニメとかでよく見るヤツだ。

地球の人たちがやってもうわーとか思ってたけど、なんだこの世界は。

反則すぎる。ありだ。めちゃくちゃ可愛い。アリアスとかにやらせたらまた別の感じなんだろうなぁ。見てみたい。

いかんいかん。興奮してしまった。今は宿だ。宿。


「ん?どうかした〜?」


レイナが何も言わない俺を見て不審がる。


「いや、何でもない。それよりお前らもそれでいいか?」

「大丈夫よ。」

「御主人が良いのならば私も異存ありません。」


直ぐに反応する2人。


「よし、決まったな。じゃ、レイナそこまで頼む。」

「りょうかーいっと。んじゃ付いてきて〜。」


そう言って手をフリフリとしながら先を歩いていく。

メインストリートを抜けて、少し歩き、角を曲がる。

すると突き当たりに、ほかの民家より大きな作りになっている二階建ての建物がみえる。


「あそこか?」

「うん!」


レイナは元気よく頷くとトコトコトコと宿屋の前まで行くと、そのまま庭を通り抜けて丈夫そうな木のドアを開ける。

あ、ここはドアなのか。襖のようなものじゃなくて。

今までの宿屋っぽいのは全部襖だったからなぁ。

まあ、日本人としては懐かしくは思うんだがやっぱりドアの方が落ち着くんだよなぁ。

俺の家、全部フローリングだったから。

そんなことを考えてると、いつの間にかドアの前まで来ていた。

アリアスが、ドアを開けて中に入り、俺も続く。

あ、ドアの所に看板がある。

なごみの宿 青空亭か。

中に入ると、ほかの宿と違い、まずロビーがあった。しかも、ロビーは玄関よりも一段と高いところにある。

どうやらここで靴を脱ぐらしい。

ロビーを見てみると、テーブルやソファなどが置いてあるがあまり人はいない。

まあ、午後になった所だしな。

それにしてもこういう所ほんとに、日本と同じだな。

てことはだ。

和服美人もいたりして。

て、さすがにそれはないか。

っとか考えてたら奥からトコトコと1人の女性がやって来る。

多分女将とかだろう。


「お!」


やっぱ和服だった。フラグは立てて置くものだな。

あ、ちなみに声を上げた時にアリアスとレイナ、リリィから視線を感じた気がした。いや、気のせいだろう。そうに違いない。

だから前を向いてくれみんな。


「いらっしゃいませ。ご宿泊でございますか?」


俺たちの目の前まで来ると正座してお辞儀してくる。

あ、後ろ髪もちゃんと結ってある。

お辞儀していた顔を上げる。

30歳ぐらいに見えるその顔は美しい。

顔つき2重でくっきとしており、鼻は高く、斜めに流した髪の毛はまた一種の独特の雰囲気を醸し出している。

まあ、つまり美人女将なのである。

座っていて、詳しくは分からないがスタイルは良さそうだ。

なんというか、メリハリがあるというのか。

観察しててもしょうがないな。


「そうだ。部屋を取りたいんだけど、空いてるかな?」

「お部屋の希望などはございますか?」

「んー、どんなのがあるのかな?」

「一般客室、これは番号がついているお部屋でございます。それに、各部屋に名前がついているお部屋。こちらの二つでございます。」


スラスラと読み上げる女将。

これを笑顔を崩さずに言えるんだから凄いよな。

それからも彼女は部屋の説明を細々としてくれる。


「そうか。じゃあ名前付きの方で頼む。」

「お値段少々お高くなってしまいますが、よろしいですか?」

「ああ。構わない。」

「分かりました。うちの宿、前払い制となっております。代表者の方、こちらへどうぞ。それ以外のお客様は少々お待ちください。」


レイナが代表者として、女将へと付いていく。

まあ、レイナが適任だろう。

俺らの中で唯一常識を知っているやつだからな。


3人で、他愛もないことを喋っているとレイナが戻ってくる。


「お疲れ。部屋は取れたか?」

「うん。1週間分とりあえず取ったよー!早速部屋に行こ〜!」


レイナがワクワクとした様子でいる。


「ああ。そうだな〜。早く休みたいしな。」

「それではご案内致しますね。」


女将ロビーの奥へと伸びる道を先導して部屋へと連れていってくれる。

俺たちの部屋は2階の角部屋だった。


「いい部屋だな〜。」


ドアを開けると、中にはシングルベッドが二つにダブルベッドが一つ。窓際にはテーブルとソファが置かれている。しかもこの部屋ベランダも付いていて、露天風呂までついている。服をかけることも出来るようになっていて、確かに高いだけのことはあるだろう。


「何かありましたら私の方までお申し付けください。

私、当宿女将のサラでございます。」


そう言って、襖をすすすと閉めるサラ。

あ。ここはドアじゃないんだ。

雰囲気に合わせたんだな。

サラが立ち去ると、今まで張り詰めていた緊張感が一気に抜ける。


「あーーー。疲れたーーー。」


大きく伸びをすると手近なベッドにゴロンと転がろうとする。

まずい!!


「ストップ!!!」


俺は一瞬で、レイナの近くまで駆け寄ると、後ろ向きのその身体を手で支える。さらに体勢を起こすためにぐいっと持ち上げる。

そうなると自然と顔の距離が近くなるわけで...。


「あー!!」


なんか声が聞こえた。

一方、いきなりそのポーズをさせられたレイナは顔が真っ赤になっている。


「え、え。えーっと?だ、ダーリン?ど、どうしたの?」

「まて。まだベッドは早いだろ?」

「え、えーーーっといやあの誘ってたとかそういう訳じゃなくてゴロッとしたいなーって考えてたんだけど〜。」


アハハと照れを隠すようにいうレイナ。

そん?何を言っているんだ?


「いや。俺はステルベンでみんなあんまり身体洗えなかっただろ?いくら魔法で綺麗にしてたとはいっても。だからまず風呂にはいらなきゃダメだろ?っことだったんだが。」


「あ、そういうことか〜。にしても男のダーリンに言われるなんて〜。私の女子力〜。」


レイナが涙目である。

しかしこれは日本男児である俺には死活問題なのだ。清潔が好きだからね!


「鈍感の御主人が、大胆な行動に出るわけありませんでしまよねやはり。」


何かをに期待していたリリィであった。



評価とか感想欲しいなぁ、、、

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