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38話 疑問

あけましておめでとうございます!!

みなさん新年の抱負はきまりましたか?

まあ、そんな前置きは置いといて、まだ舞台はステルベンでーす。

今回もちょい長めかも...。

ご容赦を笑

迅たちがアナザーアルベロを倒してから既に2日がたっていた。


「それにしてもなかなかこの山を抜けられないな。」


迅が風魔法で草をかき分けながら、進んでいく。

その後ろを歩いていたレイナはそれに応える。


「もうそろそろ抜けられるはずなんですけどね〜。

その証拠に、あんなに雑草が生い茂っていて、アルベロがそこら中から現れていたのに、今は一時間に一回出るか出ないかぐらいになってるでしょ??」


そう言われてみると、たしかに雑草の高さがアナザーアルベロと戦った後に登っていた道と比べて明らかに低くなっていた。


「確かにな。どっちしろ早くこの山から抜けたいもんだ。

俺らにアルベロをけしかけてきた奴のことも気になるしな...。」


迅の言葉に少し怒気がこもる。

どうやら面倒ごとを押し付けられ始末させられたことが気にくわないらしい。

その様子に苦笑いする3人。


「そ、そういえば、ダーリン。あのアナザーアルベロの攻撃を吸収したあれはなんなの〜?」


レイナが無理矢理話題を転換する。

その際に、アリアスと一緒に迅の後ろを歩いていたレイナは迅の腕に絡みつきながら覗きこむような体勢になりながら聞く。

レイナに応えるためにレイナを見た迅の目線からは2つの豊満な山脈が見える形となってしまう。


「...あ、ああ。お前らには説明してなかったっけか?ロノウェから奪った能力ちからのこと。」

「聞いてないわ。だからあの時、私もちょっと、ちょーーっとだけど焦っちゃったわ。」


迅が一瞬レイナの胸元を覗き込んだことを目ざとく察知したアリアスは負けじとばかりにレイナとは逆の腕に抱きつく。

その結果、迅の両腕が柔らかい双丘に包まれ、図らずしも両手に花状態となる迅。


「え〜?ちょっと?あれでちょーっとなの??」


その時を思い出しながら言うレイナ。

その顔はからかって楽しいですと言わんばかりである。

アリアスへの牽制とばかりにさらに迅の腕に絡みつくレイナ。

それにアリアスの顔がムッとした様子となる。

危険を察知した迅。


「ちょ、お前ら。落ち着け。」


だが、そんな迅の制止も2人には届かない。


「れ、レイナだって動揺してたじゃない。」

「でも、私は信じてたもーん。」

「わ、私だって。信じてたわよ。」


次第に迅への疑問から女の戦いへと変貌していく。

その間も2人は迅の腕を抱え込んでいて離さない。


「おーい。」


途方に暮れる迅。


(あらあら。おモテになって。私も混ざろうかしら。)


そんな迅に向かってリリィが念話でさらに追い打ちをかけてくる。

しかも念話で心情がわかる迅には、楽しんでいるリリィの気持ちも流れてくる。


「鬼かよ。」


ボソッと呟く迅。


「「「はい?」」」


そのつぶやきに今まで2人で話していたアリアスとレイナも、リリィと3人揃って迅を見てくる。


(こんな時にそんな連携発揮しなくても。)


そう思わざるを得ない迅。

いつの間にか本当に擬人化しているリリィ。

しかも3人の目は迅を見つめていてしかも眼が据わっている。



「ああ。ミスった。」


一旦歩みを止めて、空を見上げる思考を放棄する迅であった。





「それで、結局説明されてないわよ。どうなっていたの?」


再び歩き始めて、全員が少し落ち着いた頃になってアリアスが迅に聞いてくる。

ちなみに2人は迅の腕からは離れている。

リリィが困り果てていた迅を見てうまくとりなしたからある。

それもあってか、アリアスの声音は未だ若干不機嫌そうである。

その横を歩くレイナも同じような顔をしている。


(お前らが勝手に盛り上がり始めたから説明できなかったんだろ!)


迅は心の中でそう思う。

しかし同時にそれが地雷であろうことも珍しく察知がついた迅。

ここは言わぬべきと判断する。


(それがいいでしょうね〜。)


リリィからも念話で言われる始末。

迅は喉元まで出かかった言葉を一旦飲み込んで深呼吸する。


「ふ〜。まずお前らに他社の恩恵(ファヴォーレ)については話していたか?」

「他者の恩恵?」

「何それ〜。前聞いた時にはなかった能力だよね〜。」


キョトンとした顔をして言う2人。


「ああ。やっぱり話していなかったか。特に今まで使う機会も無かったしな〜。」

「そうですね。しかもロノウェとの戦いの後には御主人眠っていらしましたもんね。」

「確かにな。それにあの後もいろいろ忙しかったもんな〜。」


そう言って、遠い目になる迅。


「いや、1週間経ってないから!そんな過去の話じゃないから!」


すかさずアリアスの突っ込みが入る。


「ああ。そうか。まだ、それだけしか経ってないのか。」

「それだけ密度の濃い時間過ごしてるってことだね〜。」


迅の言葉にレイナも懐かしむような口調となる。

それに乗せられそうになるアリアス。

しかしこれまた乗せられず一瞬で戻ってくる。


「じゃなくて!!どうやったのって聞いてるの!!

危うく乗せられるとこだったわ。」


アリアスがビシッと効果音がでそうな的確なツッコミを入れる。


「わかってるって。落ち着け。慌てなくても説明するから。

そうだな。じゃ、まず他者の恩恵から説明するか。

んーとな。他者の恩恵ってのはな...。」


何故かそこで言葉を止め俯く迅。

全員が訝しんだ様子となる。


「どうしたの? 」


代表してアリアスが聞く。

その質問には答えず何かを決心したようにばっと顔をあげる。


「んー、長くなりそうだな〜。

よし、リリィ。頼んだ。」


そう言って、結果リリィに丸投げする迅。


「全く本当にめんどくさがりやですねぇ。御主人は。

わかりました。ここからは私が説明させてもらいますね。」


そう言って、リリィが迅がどうやって他者の恩恵をロノウェから奪ったのか、他者の恩恵とは何なのかと言うのを簡潔に説明していく。



「他者の恩恵っていうのは相手の身体力、マナを奪うことができる。一度に奪えるのはそのどちらか。しかしそれは相手に直接触れない奪えないという能力。ということね?」


リリィが頷く。


「なるほどね。でもそれだと疑問が2つ残るわ。」


アリアスが手の指で2と表す。

その姿はなかなか様になっていて美しい。


「2個?私は1個だけど〜。」


同様にレイナも1と手で表す。

これはまたアリアスとは違って可愛らしい。


「じゃあ、レイナからでいいわ。多分その疑問は同じはずだから。」


レイナがその言葉にムーっとした顔をする。


「なんか譲られたみたいで悔しい〜。」


「今はそれはいいでしょ?」


しかしアリアスが先ほどの轍を踏まないためか、冷静に切り返す。


「く〜。まあいいわ。ちっちゃいことは気にしな〜い。

それでどうやって、アナザーアルベロを倒したの?今の話を聞く限り、他者の恩恵は使えないんじゃないかしら〜。だって他者の恩恵は直接触れなければいけないんだもの〜。」


アリアスもウンウンと頷いている。

どうやら彼女の疑問の1つであったようだ。


「 確かに。私もそう思っていました。御主人からあの時あんな考えが流れ込んでくるまでは...。」


その時のことをリリィは思い出したのか、ふふっと妖艶に微笑んでみせる。



(おい、リリィ。ロノウェから奪った他者の恩恵あるだろ?あれの能力は敵の身体力かマナを奪うことができるというものだよな。だが、相手に直接触れていなければ奪うことは出来ない。つまりだ。アナザーアルベロがこれからしようとするのは多分、ビームみたいなものを出して攻撃することだろう。ビームが俺の体に当たった瞬間、ビームを通してアナザーアルベロと触れ合っていることになるわけだ。なら、他者の恩恵を発動できるはずだろ?)


「と、こんな感じのことが私に伝わってきたわけです。

そしてそれをあの時実際にやってみたわけです。」


あの時、迅たちがやったことを聞いて、アリアスとレイナは何もいうことができない。

ただただ絶句するのみである。

その様子をチラ見していた迅。


(やっぱこの世界じゃこれは常識外のことだよな。こんなの地球に住んでいる俺らからしたらちょっとひねった程度のもの。それこそラノベなんか読んでたら出てきそうなもんだ。やっぱ文明の差か。今まで出会った奴らもそこまで捻った考えをしている奴はいなかった。あの街の領主然り、盗賊に然り。案外この世界ではこういった考えがかなり有効かもしれないな。一種の詐欺みたいなものだが。)


そう言って、皮肉ぽく笑う。


「ちなみに聞きたいんだけど、それ試したことは...?」

「もちろんあるわけないだろ。」


アリアスの問い迅が間髪入れずに応える。

それを聞き、呆れる2人。

だが、迅の言葉はそこで終わらない。


「だが、まあ勝算はあったよ。」

「勝算?」

「ああ。8割型成功すると思っていた。」

「何で〜?」


迅の言葉に、アリアスとレイナが口々に疑問の声をあげる。


「まあ、これは俺の考えだが、この世界では俺らは魔法を使うだろ?」

「ええ。この世界じゃ当然じゃない。使わない人の方が珍しいわ。」


今更何でと言った様子でアリアスが頷く。


「ああ。だが、どうやって魔法を使う?どうやってその魔法を任意の場所に発動させる?」


ここで迅が2人にさらに疑問を投げかける。


「それは...。」

「あれじゃない?あの辺りに発動したいなーとかそんな感じで?」


アリアスの言葉の続きをレイナが補足する。


「だろ?明確な定義がそこにはないんだ。」

「そう言われてみれば...」

「そうだ。それで俺は一つの仮説を立てていた。魔法の発動に重要なのはマナもあるがイメージも重要なのではないかとな。

ここまで言えばわかるか?」


そう言って迅が悪戯めいた笑みを浮かべる。

2人は少しの間考える。

やがて、アリアスが考えながら言葉をひねり出していく。


「えーっと。イメージで魔法が発動するということよね。.........ってことは他者の恩恵も無属性魔法だからイメージを元に発動されたということだから。」


そこまで言うとレイナが あ と声をあげる。


「そっか〜。ってことはダーリンがあのビーム?みたいなのがダーリンとアナザーアルベロが触れているとことになっているという確固たるイメージがあったからってことなのね。」

「ああ。そう言うことだ。」


(ま、もう一つここから考えられる可能性はあるんだが。

まあ、まだ、確かめられないしな。

しかしこれが確かめられればあるいはありさ姉さんも...。

ま、これはこれからの課題だな。)


そこで迅は思考の迷宮に潜るのを止める。

そして会話へと戻るのであった。




感想とか評価とか時間あったらしてもらえると嬉しいな〜。



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