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35話 how to use the magic

更新お待たせしました。

拙い文章ですがお願いします。

「さあ、2回目、始めましょうか?」


レイナはマナを一瞬で練ると、魔法を発動する。


「風魔法。エアーカーテン。」


エアーカーテンはアリアスたちの横にいる敵の前で発動し、風の壁が出来上がる。

だがレイナの魔法はそれだけでは終わらない。

連続で魔法を詠唱していき、二回、三回とエアーカーテンを重ね掛けしていく。

風の壁はそのたびに、厚さを増していく。

最終的に3メートル以上の厚さの壁ができる。


「これなら30秒は最低でも持つはずよ〜。十分でしょ〜?」


そう言って、ニヤリとレイナが微笑む。


「ええ。それだけあれば余裕よ。あなたはそっちを見てて。」


アリアスは端的にそう答えると、正面にいるハイアルベロへと猛然と向かっていく。

だが、ハイアルベロもそれを見ているわけではない。

黒色の枝を何本も放ってアリアスを貫こうとしてくる。

その軌道は幾重にも連なり、その一本一本は複雑な軌道を描いていく。

黒色の枝のはアリアスがハイアルベロに近ずくにつれ、増していく。

そのスピードも本体へと近ずくにつれ上がっていく。

それを視認したアリアスは内心で舌打ちする。

アリアスは前面から枝を避けると同時に動きを変える。

そのまま高速でハイアルベロの周りを駆けていく。

ハイアルベロに隙ができた瞬間にアリアスは一太刀を浴びせかける。


ジャキーーン


ハイアルベロの核を狙ったアリアスの一撃は硬い樹脂によって阻まれてしまう。

攻撃を受けた瞬間にハイアルベロも何本もの枝をアリアスへと向ける。

致死性を持った枝がアリアスへと迫っていく。

だが、それに慌てた様子はアリアスにはない。

枝はアリアスの残像しか捉えることはできない。

アリアスは一太刀を浴びせ、そのまままた高速移動に入る。

無理に攻撃を放つハイアルベロに対し、その隙を攻撃するアリアス。

最初にハイアルベロについた傷は大きな傷へとなっていく。


「がぁぁぁぁぁ。」


時折、苦しそうに呻くハイアルベロ。

黒色の枝を放ち、叫び、必死にその視界にアリアスを捉えよて動きを止めようとする。

それも回避するアリアス。

アリアスの額には大粒の汗をかいている。

だが、その顔は薄っすらと笑っている。


(はぁはぁ。このスピードは。体への負担が大きすぎる.........。

女神の力があればこの程度の動き朝飯前なのだけど。この状態だとまだまだね。

まったく。本当にやってられないわ。

まあ、今更言ってもしょうがないのだけど....ね!!!)


アリアスはそう考えて一太刀を浴びせかける。

流れるようにバックステップでハイアルベロから距離をとるアリアス。

斬った感触にアリアスは理解する。


(後.........もう少し。)


しかし斬られたハイアルベロも同時にそのことを理解したようである。

なにを思ったのかアリアスを追いかけていた枝が、ハイアルベロへと戻っていく。


「なにをするつもり?」


アリアスが一瞬疑問を浮かべた顔となる。

その間に黒色の枝はハイアルベロの核の前で幾重にも重なっていく。

それはさながら核を守る盾のようになる。

どうやらもう一体のハイアルベロを待って戦う気らしい。


「...........」


アリアスがその様子を見ながら、ちらっと横を見る。

すると三層あったエアーカーテンが残り一つとなっていた。

その残りの一つハイアルベロが繰り出す鋭い枝の突きを受けて壊れかけている。

それをみたアリアスはなにを思ったのか剣をダランと下げて棒立ちになって顔を下に向ける。



「後、5秒だな。」

「ええ。それまでにこのハイアルベロを倒さないとかな〜りきつくなりますね。」


リリィがいつも通りのおっとりとした口調で言う。

だが、その眼差しは真剣である。


「ああ。アリアスもそれを理解している。だからこれで決めにいくんだろうな。そのために心を落ち着けていると言ったところか。」

「大丈夫でしょうか?」


リリィの問いかけを迅は鼻で笑う。


「心配すんな。腐っても元女神だ。あいつはあんなでかい木になんて負けねぇよ。まあ、見ててみそ。」


そう言って、迅は首でふいっとアリアスとハイアルベロの戦いを指す。

そこでは、アリアスがフーと息をはいていた。



「ふ〜。やっと身体が慣れてきてくれたわ〜。今ならできるかしら。」


アリアスはエアーブレードを持つ手に再び力を入れる。

そしてキリッと眼差しをハイアルベロへと合わせる。

そんなアリアスに向かってハイアルベロは動きを止めようと視線を再度合わせようとし、同時に叫ぶ


「ギャァァァァァァァァァ。」

「遅い。覚悟なさい。」


そう言った瞬間、アリアスは今までのスピードの比にならないほどのスピードでハイアルベロの作り出した盾へと向かっていく。

それは今までとは違い、突きのようであった・

そしてそのまま盾へと当たったエアーブレードは豆腐を咲くように黒色の枝でできた盾を貫くとハイアルベロの核へと当たる。

盾を貫いたところで威力が落ちたアリアスの突きとハイアルベロの核を守る力が拮抗する。

しかしそれもほんの一瞬。

アリアスの突きはハイアルベロの核を貫く。

そしてそのままハイアルベロを超えていく。

突きの勢いが止まると、アリアスは膝に手をついて肩で息をする。


「ハァハァ。後、一匹、ね。」


アリアスが荒い息でそう言った瞬間。

レイナの一つだけ残っていたエアーカーテンがハイアルベロによって完全に破られる。


パリィィィィィィィン。


「休ませてはくれないみたいよ〜。」


アリアスが横を見るといつのまにか隣にレイナが来ていた。

その両手には双剣を持っている。

アリアスは髪を掻き上げると一つ大きな息をする。


「フゥ。じゃ、パパッと倒しましょうか。」


アリアスがそう言って状態を低くしてもう一回高速移動しようとするが、それを手で制するレイナ。

その行動に視線で問いかけるアリアス。


「あなた。さっきの戦いでもうあまり体力残ってないはずなの〜。

だから私があの面倒な枝をなんとかするから。その時に核を破壊してもらえるといいのだけど〜。できる?」


レイナが微笑みながらも挑戦的にアリアスへ問いかける。


「余裕よ。」


そう言って、アリアスは低くしていた体勢をを元に戻す。

どうやらレイナに任す事にしたらしい。


そういうやり取りをしていたい間にハイアルベロは何もしてこない。

いや、何もしていないに見えた。ハイアルベロは視線をギョロリとして睨みつけて厳格にかけようとしていた。

しかし2人にかかる様子はない。

それもそのはず。

レイナは幻術にかけようとハイアルベロがしている事に気づいていた。

だが幻術の使い手としてはレイナの方が格段に上。

幻視の瞳状態で自分とアリアスには幻術をかける。


「じゃ行こうかしら〜。」


レイナはそう言って、ゆったりとしたいつもの足取りでハイアルベロへと向かっていく。

ハイアルベロは幻術をかけることを諦めたのか叫びながら黒色の枝を大小様々なのを放っていく。

レイナはそれに臆す様子もない。

マナを練り、魔法を発動する。


「風魔法 エアーバインド」


レイナが自分の前方1メートルに風の膜を作り出す。

そこの膜に枝が入った瞬間にスピードが減速される。

それを楽々、切り落としていくレイナ。


「こっちの方が楽だからね〜。」


ものの数瞬で全ての枝を叩き落としてしまう。



「あの魔法はなんだ。すごい便利だな。」


レイナの戦いの様子を見ていた迅が感心した様子でリリィへと言う。


「あれはエアーバインドですね。それを相手を完全に止めようとするのではなくて、減速させる事を意識して使った魔法ですね。」

「なるほどな。魔法も奥が深いな。」

「しかしあれが出来る人はそうそういないですわ。それも実戦で魔法を効果的に利用できるのはとても難しいですからね。」

「あとは油断しなければいいんだがな。」


そう言って迅は苦笑する。



2人がそんな会話をしてるとはつゆ知らず、レイナは枝を切り続ける。


(いいストレス発散なの〜。)


内心ではそんなことも考えていた。

そのせいか横からきた細い枝の一本がレイナの腹をかすってしまう。


「っ。ミスったの〜。」


レイナは一瞬苦悶の表情を浮かべるがすぐに切り替える。


(まあ、そうは言っても横から来たのは細かった。相手の枝の再生能力も落ちてるみたいなの〜。なら今ね。)


そう考えて、アリアスが核にたどり着けるまでの道を切り開いていく。

後ろでは低姿勢になったアリアスが準備している。

レイナは二本の腕のような幹を切り刻んでいく。

そして完全に叩き斬る。

それももちろん再生されていくが、そのスピードは遅い。


「アリアス!」


レイナが叫ぶと同時にアリアスが高速で移動する。

その距離は20メートルもない。

一瞬で間合いを詰めるアリアス。

一瞬遅れてハイアルベロも気づく。

再生している幹を出すが、その程度アリアスにとっては紙切れと同レベルである。

そのまま貫いて核を貫く。


アリアスとレイナのの後ろでハイアルベロの中心部分に大きな穴ができる。


「ぴギャァァァァァァァァァ.....」


最後にそんな悲鳴をあげるハイアルベロ。

その叫びは徐々に弱くなって最後には消える。

アリアスとレイナはそんなハイアルベロの様子を見届けると互いに見つめ合う。

そしてお互いにフッと破顔すると、パチンと小気味良い音のするハイタッチを交わす。

その顔には自信が溢れていた。



だが、彼女たちは気づいていなかった。

これがただの前哨戦に過ぎないということを。

このステルベンという山の真の恐ろしさに。










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