27話 報告
拙い文章ですがお願いします。
「ジン!!!!!」
「ダーリン!!!!」
(御主人!!!!)
アリアス、レイナ、リリィの悲鳴のような声で叫び、迅の元へと急いで駆け寄ってくる。そのまま
抱き起こすアリアスとレイナ。
だが迅は何の反応も示さない。
リリィは迅のマナがもうほぼないためか実体化できない。
迅を抱き起こした時にアリアスは自分の手が濡れていることに気づく。
「これは。......血??」
「さっき、御主人はロノウェの閃光の一撃を脇腹に受けたんです。
私も流石に魔人の攻撃は弾けなくて。」
リリィが悔しそうに呟く。
「それはしょうがないわ。それよりも今は迅よ。これかなりヤバいわ。誰か回復魔法は使える?」
そう言って、レイナ、リリィ、レベッカの顔を順々に見て行くが、誰も頷かない。
「いいわ。今は応急処置だけでもしましょ。それと同時にレベッカ。騎士団の方に戻ってフリードたちを呼んできて。」
「でも!」
「いいから早く。あなたがここにいてもできることはないのだから。できることをなさい。」
残ろうとするレベッカに対してアリアスがピシャリと言い放つ。
「うぐっ.....分かったわ。すぐに戻って来るから。」
レベッカはアリアスの言葉に納得したのか、そう言い残し、屋敷から騎士団がある方に向けて走って行く。
「レイナ、ちょっとの間迅を持っていて。それでついでに傷口も押さえておいてもらえるかしら。」
アリアスは緊張した様子でそう言って、迅をレイナへと渡す。
レイナの太ももに迅の頭が置かれる。
そのまま寝かせられる迅。いつもなら嫉妬するアリアスが今に限っては何も言ってこない。
何かに集中している様子である。
そんなアリアスにレイナが聞く。
「で?アリアスはそれ何してんのー?それってレベッカを騎士団に行かしたのと関係してるの〜?」
一瞬の間があり、アリアスがそれに応える。
「ええ。まあそうよ。これから使うのは神魔法。彼らには見せられないわ。なるべく私が女神であることはバレたくないからね〜。レイナ、一応目くらましの魔法使ってもらっていいかしら。多分敵はいないと思うけど〜。」
「オーケー。」
レイナは軽く返事をすると、マナを練り、魔法を発動する。
「風魔法、エアカーテン。」
そう言った瞬間、風の突風がアリアスたちの周囲を囲む。
「これで外からは見えなくなったわよ〜。」
「ありがとレイナ。それで話を戻すわね。私は女神の力を今失っているでしょ?
でもさっき魔人の72柱のうちの一人の27位のロノウェを迅が倒したからね。女神の力の一部が戻ったのよ。それで今、自分の力を確かめてみているの。
.........うん。やっぱりね。」
アリアスは一瞬間を置いてから頷くと、迅のそばに駆け寄って来る。
リリィはアリアスが近ずいてきたのを見て、脇腹の傷口から手を離し、アリアスと場所交代する。
また血が溢れて来る。
「やっぱり血は止まらないわね。ロノウェの毒ね、たぶん。」
アリアスの言う通り、迅の脇腹からは未だに血が流れ続けている。
「それ大丈夫なの〜?」
レイナがいつものように間延びした口調で聞くが、その顔はいたって真剣である。
「多分ね。」
アリアスはそう言ってしゃがみこむと、迅の脇腹の傷に向けて手を当てて集中して行く。
迅の様子を見てみると、動かされ、傷口に触られてもうんともすんとも言わない。
アリアスの手から緑色の光が出て来て迅の患部に当てて行く。
「それは?普通の回復魔法ではないようだけれど。」
リリィが緑の光を出しているアリアスへと尋ねる。
「これは神魔法 女神の癒しよ。
これで迅の脇腹の傷は修復できると思うわ。まあ、少し痛みは残るかもしれないけどね。
だけどこの魔法もは消費マナも多いし、一度使うと当分使えないわ。今はね。だから
迅の他の傷は治すことは出来そうにないわ。」
アリアスが喋っている間にも貫かれていた迅の脇腹の傷はみるみるうちに塞がっていく。
それと比例するようにアリアスも珠のような汗をかいていく。
「ハァハァ。やはり不完全な状態でこれをやるときついわね。」
アリアスの手から緑色の光が消え、地面に手をつく。
迅の脇腹の傷は完全に治っている。
「アリアス、大丈夫〜?」
「大丈夫ですか?」
レイナとリリィもアリアスの様子に気がつき、すぐさま声をかける。
だがアリアスはすぐに反応することは出来ない。
「な、なんとか。と、とりあえず黄金の豚亭に.......戻りましょ。」
バタ。
アリアスはそう言い切ると、そのまま意識を失ってしまう。
レイナは風魔法のエアカーテンを解除しながら苦笑する。
「全く二人揃って〜。
ここから黄金の豚亭まではどのくらいだったかしら〜?」
レイナがマナを練りながら、リリィへと話しかける。
「大体ここからだと20〜30分くらいですね。
あのレイナ、マナを少し分けてもらえませんか?それにあなた一人では二人運べないでしょ。」
「たしかになの〜。でも私もそんなにマナは残っていないからね〜。」
レイナは迅がきているコートに触れ、リリィへとほんの少しのマナを渡す。
それにより、リリィが実体化できるようになる。
そのままリリィは迅の体をかかえ起こし、レイナもアリアスを抱え起す。
「それじゃ戻ろうか〜。」
「はい。」
一行ははそのまま、屋敷を後にする。
後に残ったのは、激しい戦闘の後と破壊された領主の館であった。
「てな感じだったのよ〜。」
アリアスが最初説明し、その後レイナが引き継いで説明をする。
迅はその説明をご飯をもぐもぐとしながら聞いている。
「ていうか!!ジンはどんだけ食べるのよ。ちゃんと聞いてるの!?」
アリアスがバンと机を叩く。
そしてもぐもぐと美味しそうに料理を頬張っている迅へと向かって言う。
「ん?聞いてるぞ〜。」
ご飯をもぐもぐしながら迅が応え、アリアスの方を向く。
その様子に呆れてしまうアリアス。
「ハァ。まあいいわ。
それでその後だけど、宿に戻ってきて今までジンが起きて来るのを待っていたというわけ。
それでこの後、どうする??」
「ん〜。まあそうだなあれから三日か〜。
ならもうそろそろフリードから何かしらの連絡があってもいい頃合いなんだがな〜。
まあ、基本的にめんどくさいことをお願いしてきたやつだからなぁ。会いたくはないんだが。」
迅が言いながら、段々と渋い顔になってゆく。
「おいおい。そんなに邪険にすることはないだろー?」
迅の後ろから突如そんな声が聞こえてくる。
だが迅は、その相手が誰なのか予測がついているのか振り向かない。
「フリードさん、それにレベッカ。」
そこには騎士団長のフリードとレベッカがいた。
「本当に来たわね。」
アリアスが若干驚いた様子で呟く。
レイナはフリードがきたことにより、機嫌が悪い様子となる。
リリィはもはや無反応である。
「おい、ジン。無視かよ〜。せっかく人が三日も待ってやったのに。
あ、おばちゃん。二人ぶんの飯をお願いするよ〜。」
「あーい。」
フリードは二人ぶんのご飯をタニアへと頼むと、付近の机から椅子を持ってきて座り始める。
「........どうしてここに座る?それにお前が一番得してるからな今回。」
「ん?ご飯がまだだったからな。」
迅の後半の嫌味は笑顔で流すフリード。
「チッ。まあいい。それで話があってきたんだろ?」
迅がフリードへと本来の要件を聞き始める。
「ああ。そうだった。報告に来たんだった。
俺らもレベッカが連絡に来てからすぐに領主の家に駆けつけたんだよ。お前らがこの宿に戻った後にな。
まあ、サイモンが前領主を連れて騎士団本部に来ていたから、いつでも出動できるようにしていたんだがな。」
「それで?」
迅が憮然とした態度で続きを促す。
「とりあえず、屋敷の地下にいた者たちを解放してな。あと、屋敷で倒れていた者たちは全員死ぬか重体でな。まそいつらに関しては騎士団本部の牢屋に入っている。
後で、第一王子派閥を壊滅させてくれたことの礼はする。
それでお前、どうやってあの魔人を倒したんだ?
しかもお前、たしか大きな傷を負ったと報告にあったのだが。」
フリードが質問の時に一瞬キランと目を光らせる。
(やっぱそれが聞きたいんだよなぁ。だが......)
「フリード。」
「ん?なんだ?」
「お前、魔人が敵にいること知っていたな?レベッカはあの時は見れていないはずだしな。敵の正体も。」
迅のその言葉を聞いてもフリードの笑顔は崩れない。
「まあ、俺も色々な情報網があるんでね。」
フリードは悪びれもせずにそう答える。
「そうか。まあ、俺らが倒してやったんだ。クソめんどくさい魔人を。
もう厄介ごとに俺を巻き込むなよ?」
「おいおい、俺の質問に答えてないぞ〜?」
「聞かない方がいいこともあるんだよな〜。」
迅が笑顔のまま一瞬だけ本気の殺気を出す。
レベッカがそれに反応して、剣の柄に手をかけるが、その顔は青ざめている。
迅の力を知っているからだろう。
しかし剣はフリードに手で制される。
「冗談だ。もともと聞く気はない。だからその殺気を向けるな。
レベッカが怖がってるだろ?」
フリードがそう言うと、迅は殺気を抑え、またご飯を頬張る。
「それでこの街は騎士団の直轄になったのか?」
「いや、前領主にお返ししている。騎士団がトップになるのはまずいのでな。
だが、彼は元々中立で第一王子にこのようなことをされたんだ。我々の味方となっている。
また同時に騎士団の膿も始末できた。
だからとりあえずこの街は落ち着いた。」
「第一王女のジュリアが負けなければな」
その言葉にフリードは苦笑してしまう。
「ハハ、そうだな。それでお前らはこれからはどうするんだ?
決まっていないのであれば私たちと共にジュリア様のために戦って欲しいのだが。」
フリードの勧誘に迅とレイナは。
「「いや無理。」」
即答で手をブンブン振って解答する2人。
「だろうな。知っているよ、言ってみただけだ。」
その回答に思わず苦笑するフリードだった。
ブクマ、評価、感想などお願いします。
1話なども徐々に直して言ってるんでお読みいただけたらと思います。