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19話 因縁

拙い文章ですがお願いします。

「あ、あなたは!?それになぜ私たちのことが……」


ナッシュはエアーバインドで拘束された仲間の魔法士を助けながら答える。


「あんだけ魔法を使ってたらそりゃ上にも聞こえて来るさ。

なぜわかったかって?それは......

教えられねーな〜」


ナッシュがそう言った瞬間、周りから魔法士と騎士団の連中がぞろぞろと出て来る。


(6...7...8...9人ね。ナッシュも合わせたら10人。

そのうち、騎士が3人に、私兵が5人。魔法士が2人。ギリギリいけるかしら)


「そっちは3人か。ちっ、あいつはいねぇのか。」


憎々しげに言葉を言い放つ。その言葉だけでナッシュがどれほど迅を恨んでいるかは想像に難くない。

アイスウォールが氷解し、アリアスたちとナッシュたちとを隔てる壁が無くなったその瞬間。

敵の騎士団と私兵がアリアス立ちに向かって突進してくる。


相手の騎士が剣を振り上げる。

その懐に飛び込み、鳩尾に蹴りを入れる。


「がはっ。」


蹴られ、仰け反った騎士の後ろからさらに2人の騎士が斬りかかって来る。


「オラァァ」


それをバックステップで回避する。

着地の瞬間を狙ってナッシュが魔法を放ってくる。


「アイスランス」


五本の氷の槍がアリアスを襲う。

それを最小限の動きでぎりぎり躱していく。


「チッ。あれを避けられるのかよ」


ナッシュの苛立つ声が聞こえるが、それに答える余裕はない。


(なかなか辛いわね)


アイスランスを全て避け、そのまま騎士の1人へと一気に肉薄する。


「なっ」


騎士は驚きの声を上げるだけでそのスピードに反応しきれない。防御される前に持っていたナイフで頚動脈を搔き切る。



「きっさまーーーー!!」


もう1人の騎士が斬りかかって来るが今の体制ではそれを避けることはかなわない


「もらったーーーー」


そこに届くレイナの声。


「アリアスはやらせない。エアブラスト!!」


斬りかかってきた騎士とその後ろから来ていた私兵3人を風の突風が後ろへと吹き飛ばす。


「ありがと、レイナ」


その光景を見たレベッカは戦慄していた。


(この2人、本当に強いな。アリアスに関しては身体能力が高すぎる。それにレイナもだ。彼女の無属性魔法の幻視の瞳もだが、彼女のサポート能力もすごい。正確なタイミングで魔法を放って来る。

私も負けていられないか……)


彼女は一瞬で自分の思考を戦闘へと集中させる。

レベッカは吹き飛んだ騎士に向かって突っ込んでいく。

騎士はまだ体制を立て直せていない。


「もらったーー」


レベッカが剣を振り下ろすその瞬間、相手が魔法を発動する。


「ウォーターフォール」

「フリーズ」


レベッカに向かって滝のような水が降りかかる。


「くっ」


レベッカは振り下ろしていた剣を無理矢理止め、バックステップして魔法を避ける。

レベッカが元いた場所には氷の滝ができている。


「すまん。助かった。」

「気にするな。お前らには死んでもらったら困るからな。」


ナッシュと騎士が軽く話している。

その間にレベッカもアリアスたちのところまで戻る。


「なかなか時間がかかるな」


レベッカがいらだたしげに呟く。


「あれを使うわ、アリアス、相手をなるべくこっちに引きつけて。」


何をやりたいのかわかったのか2人はこくんと頷きあい相手に向かって突進していく。

2人は最初こそ勢いよく飛び出していくが、相手と斬りあい始めるとすぐに押され始める。


「どうした、どうした。さっきの勢いはぁぁ」


騎士が二人掛かりでレベッカに斬りかかりながら騎士の1人が言う。

徐々に防戦一方になるレベッカ。

アリアスも私兵3人を相手にするが、段々と押され始める。


「ナイフごときじゃ我々の攻撃は捌き切れまい。」


調子に乗って私兵の男が叫ぶ。

ナッシュは後ろで戦闘を見ながら、考える。


(何かがおかしい。あの銀髪の女はさっきまであんな受け身の戦い方ではなかったはずだ。レベッカもだ。あいつらも騎士団とはいえ、レベッカの方が強い。奴らのコンビネーションがいいわけではない。ということは何か意図があると考えるべきか。)


ナッシュが考えている間にも騎士と私兵たちはどんどん相手を押し込んでいく。

騎士と私兵の攻撃でアリアスとレベッカが同時に吹き飛ぶ。

全員がとどめをさすために前のめりになる、否レベッカたちが前のめりにさせた。


(あっちの魔法士は...レイナ。まずい。そういうことか。)

「お前ら待て!!!」


しかし騎士たちの動きは止まれない。

アリアスとレベッカがレイナの射線上から避けた瞬間。


「遅い!!」


レイナの幻視の瞳を見た瞬間、騎士と私兵は糸が切れたように倒れる。


「これで6人。」

「いえ、違うわ。」


自分の言葉が否定されてなぜ?という具合に首をかしげるレイナ。

アリアスに向かってレベッカが剣を突く。


「なっ」

突然のことにアリアスも避けることが出来ない。


「ぐはっ。」


アリアスの背後で男の呻き声。

アリアスが振り返るとそこにはさっき蹴り上げた騎士が腹を剣で貫かれていた。


「これで7人だな。」


レベッカはレイナに向かってウインクする。


「チッ。前衛は全滅か。こうなったらお前ら壁を張れ!!」


ナッシュはそう言うと、魔法の詠唱に入る。

残り2人の魔法士が魔法の詠唱を始める。


「そうはさせるかぁぁ」

「やらせないわ」


アリアスとレベッカが魔法士に向かっていく。

しかし、魔法士の魔法が一瞬早く完成する。


「「ウォーターウォール!!」」


ナッシュたちの前に大きな水の壁が現る。


「二枚重ねがけされてる。これは突破するのに少しかかるな」


レベッカが斬りつけながら呟く。

その間もナッシュは魔法を詠唱し続ける。


「この詠唱の量!!かなりの威力の魔法が飛んでくるぞ」


レベッカがそう警告し、水の壁を斬りつける力を強める。

だが、突破しきることは出来ない。

そしてナッシュの魔法が完成する。


「終わりだぁぁブリニクル」


ナッシュがそう言った瞬間。

ウォーターウォールが崩れ3つの巨大なつららができる。


「おいおい、そんなに近づいていいのかい。その魔法は触れたものすべてを凍らせる魔法だぞ?」


レイナがその言葉を確かめるために、門番から奪った剣をつららへと向けて投げつける。

剣がつららに触れた瞬間。

剣が一瞬で凍り、下へと落ちる。


パリィん。


剣が床へと落ちた瞬間粉々に砕け散る。

アリアスとレベッカがレイナのいるところまで戻る。

その瞬間。


「死ねええええ」


ナッシュがアリアスたちに向けて魔法を向ける。

高速で飛来する3つのつらら。

3つがそれぞれ、アリアス、レイナ、レベッカに向かってくる。

レイナが風の魔法を放つ。


「エアーランス」


五本の風の槍がブリニクルへと向かうがすべてがブリニクルに当たった瞬間に姿をなくす。


「くっ。」

「はーはっはっははァァ。無駄無駄無駄無駄無駄ァ。死ねーーー!!」

そしてとうとうブリニクルがそれぞれ、アリアス、レイナ、レベッカへと当たる。

「「キャァァァァァァァ」」


アリアスたちの身体がブリニクルにあたった瞬間に粉々に砕け散る。


「ハハハハハ。やったぞ。奴らを倒したぞ。

あとは、俺を散々コケにしたあのジンとか言うガキをやれば。

こいつらがいたってことはあいつもいるはずだな。

とりあえず外に行って見るか。」


ナッシュは高笑いしながら、ブリニクルを消すと歩き始める。


「どこに行く?」


ナッシュの耳元でレベッカの囁き声が聞こえる。


「な、何っ。この声は!?」


ナッシュが慌てて後ろを振り向く。

そこには死んだはずのレベッカが剣を持って立っている。


「なっ」


ナッシュは慌てて腰につけている剣を引き抜こうとするが、しかしその前にレベッカによって斬られる。


「グハァァァ」


ナッシュはそのまま後ろへと吹き飛ばされる。


「くっ。お前ら助けろ」


ナッシュは前にいたはずの魔法士の2人に向かって命令するが返事がない。


「誰に話しかけているの?」


ナッシュが魔法士がいた方向を見るとそこにいたのは。

倒れ臥す2人の魔法士の姿だった。


「くっ。なぜだ。なぜお前たちは生きているのだ。確かに私の魔法ブリニクルは当たったはずなのに。」


ナッシュが血を吐きながら言う。

その顔は未だに信じられないといった様子だ。


「確かにあなたの魔法はあたったよ。あなたの仲間にだけど」


そう言ってレイナはブリニクルが当たった場所を指差す。

そこにはあったはずの騎士と私兵3人分の死体が無くなっている。


「私はお前の幻術にかけられたと言うのか」


ナッシュが悔しそうに歯噛みする。


「ええ、あなたがブリニクルを発動した瞬間にあなたウォーターウォールを消したわよね。それで私とあなたを遮るものが無くなった。まあ、一瞬だったし、距離があったから私たちの姿を誤認させることしかできなかったけどね。

だけどあなたは油断した。その間にあなたのお仲間をやったのよ。」


レイナが普段とは違う底冷えするような声で話す。


「あなたたちにはイライラしていたの。散々ダーリンの邪魔をして。ダーリンはそのことで騎士団なんかと協力しなきゃいけなくなったし。私たちとの楽しい買い物の時間も邪魔してくれたしね。あそこのご飯を食べれなかったダーリンの残念そうな顔。見ていて辛かった。だからあなたは許さない。あなたの罪は大きいわ。覚悟しなさい。」


レイナが剣を持って、突き刺そうとする。

本気だと悟ったのか、ナッシュは顔を涙に濡らす。


「ま、待ってくれ。殺さないでくれ。あ、謝るから。」


ナッシュは顔を涙や鼻水でグチャグチャにしながら喚き、レベッカの足へと縋り付く。


「れ、レベッカ。同じ騎士団の仲間だろ?な?」


仲間と言われてレベッカの瞳にわずかに迷いが生まれる。

レベッカが一瞬眼をナッシュから話す。

その瞬間に、ナッシュはレベッカの剣を奪い、その剣をレイナに突き立てようとする。


「すると思った」


レイナは迷いなく、ナッシュの胸へと剣を突き立てる。


「な........に.....」


そのままナッシュは事切れる。


「なぜわかったの?」


レベッカがレイナへと尋ねる。


「私は多くの人間を見てきたの。こう言う奴がどう行動するかは分かるの」

「そう」


レベッカは見切れなかったことが悔しいのか顔を歪める。


「反省はあとよ。まだ目標は健在なのだし」


アリアスがそう言うと、階段を登って行こうとする。


「待って、さっきの戦闘でみんなかなり疲労してるの。私もマナをかなり使ったし。少しここで休まない〜?」


アリアスは一瞬思案し……


「そうね。少し休んだ方がいいわね」


そう言ってその場に座り込む。

しばしの休息を取る3人であった。










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