2話 ジャージでの初戦闘
拙い文章ですがよろしくお願いします。
「それじゃアリアス。まず先に俺の能力だな。まあこれは俺の情報を見たから知ってると思うが、俺は相手の能力を奪える、生死は関係ない・・・、これだけなら最強なんだが、もちろん制限がある。一つ目が奪いたい能力を直接見なければならないということ。二つ目が相手に触れなければいけないこと。三つ目は奪える能力を自分の中に留めて置けるのは、5つまでだ。まあこれには抜け道があって、自分の中でその能力を完全に落とし込めれば、この5つには適用されない。まあつまり使いまくればいいってことだな。これで俺は粗方の武術、地球での知識、技術を手に入れている。」
「なるほどね。制限はあるとはいってもチートはチートよね。使い方次第ってことかしら。」
「まあそういうことになるな。簒奪者はまだ俺でも全て分かってるわけじゃないから、この制限も後々変化するかもしれない。まああまりそこに期待はしないでくれ。
で、アリアスの方は?」
「私は女神だから基本なんでも使えたけれど今は殆どの力を奴らに奪われている状態だしさっきの無作為転移で力を使っちゃたからなぁ。だから今使えるのはあらゆる攻撃身を守る絶対障壁が5秒間。これは1日休めばまた使えるようになるわ。あとは転移が一回分と情報を読める程度ね。」
「転移とかは状況を見極めて・・・か。非常用だろうな基本は。それで身体能力はどうなんだ?」
「それは曲がりなりにも女神だからね普通の魔人・獣人の10人、20人ならどうってことないわ。」
「じゃあ、基本的にはお守りの必要性はなさそうだな。」
これで一つハードルは下がったな。
あ、大事なこと忘れてた。
「ところでアリアス通過とかって持ってるか?てか通過の単位ってどうなってるんだ?てかあるのか?」
「そういえば説明してなかったわね。あなたの住んでいた国の単位で答えると100円がこの国の1銅貨で、10銅貨で1銀貨。10銀貨で1金貨みたいな感じね。一応白金貨というのもあってこれは金貨100枚分ね。あとお金だけど.....もちろん持ってないわね!」
とアリアスは豊満な胸を突き出しながら自信満々に言ってくる。
つまり1銅貨=100円、1銀貨=1000円、1金額=1万円てことか。
「はぁ。威張るな元女神が。あと胸を突き出すな。胸を。」
アリアスの魅力にも慣れてきたので分かってきたのだがアリアスはちょっと残念なのかもしれない。
「ちっちゃいことは気にしない。なによ、そんなに胸が気になるのかしら。童○君に刺激が強すぎたかな?」
アリアスは笑顔を浮かべてくる。
それが妙に小憎たらしい。
「普通16で卒業してるわけないだろ。日本男児は基本的にシャイなんだよ。」
「ああ、はいはい。ちなみにこの世界じゃ14で成人だからね。」
「はぁ。この減らず口が。
・・・・・・おい、気付いてるか?」
「誰に言ってるのよ、当たり前でしょ。・・・来るわよ。 」
アリアスがそういった瞬間だった。
『グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ』
体長3メートルを超えた熊の様なものが気をなぎ倒してこちらはと向かってきている。その眼は血走っていて、理性が感じられない。
爪も真っ赤に染まっていて長さも普通なの2倍はありそうだ。
「ベアーね。この魔獣はたしか簡単な風魔法が使えたはずだわ。それを使わしてから倒しなさい。」
つまりはその能力を奪えということだろう。
ベアーは前を歩いている俺を見つけるとこちらへと向かってくる。
直線的に俺目掛けて爪を振り下ろして来る。
喰らうわけには行かないよなぁ。
バックステップで距離を一旦大きくとる。
「言い忘れたけどベアーは爪に相手を麻痺させる毒を持ってるわ。」
「言うのおせーよ!!・・・っと」
そう言ってる間もベアーは俺へと向かってきて何度もその凶悪な爪を振り下ろして来ている。
だんだんと間合いもわかってきたのでギリギリで全て避ける。
当たらないことに業を煮やしたのか、大振りの一撃を放ってくる。
それを避けるとがら空きの胴体にパンチをかます。
おれの一撃を受けてベアーが一歩後ずさる。
かなりの力を込めたが流石に1発でとはいかないか。・・・まあこっちの攻撃はある程度効くだけよしとするか。
ベアーはすぐにまた向かって来る。
何度かベアーの攻撃を避けながら攻撃を相手に食らわしていると突如ベアーの攻撃が止む。
ん?
俺はベアーの方を注意深く見ているとアリアスが少し焦ったような表情を浮かべる。
「何してるの早くそこから逃げなさい。風魔法エアーファングが来るわよ!!」
俺が急いでその場から転がるとベアーが5メートルほどの距離から爪を振りかぶり、それを下ろすと
ブオゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
俺が元いた場所へと向かって突風が吹き、後ろにあった木が斜めに切り倒された。
「まじか。魔法かよ。」
背筋に冷たい汗が流れる。
「何してるの。あとは倒すだけなんだからちゃっちゃとしなさい。」
アリアスは完璧に傍観を決め込んでいる。
俺はベアーのエアーファングを避けながら考える。
奴のエアーファングも爪での攻撃も避けて1〜2発なら近ずいて攻撃はできる。しかし決定打にはならないしな、これは地道にやるしかないか。いやまてよ。
俺は近ずいて来た奴の爪を躱して、そのまま股の下を通り奴の背後に回り込む。
そして相手は振り向きざまに至近距離でエアーファングを放つ。
それを俺は懐に入りながらベアーの腕を蹴りあげて爪の角度を変えさせ、奴のもう片方の腕に当てる。
ザシュゥゥゥ
ベアーの腕が切り裂かれ、大量の血が辺り一面に飛び散る。
それは俺も例外ではなく俺の顔面にべったりとベアーの血がかかる。
『グゥゥゥオオオオオオ』
奴が叫び声をあげながら、所構わずエアーファングを放つ。
がさきほどのスピードはないので危険性は低い。
「ちょっと危ないじゃない。なんとかしなさいよ。」
アリアスが危なげなく躱している。俺への文句のおまけ付きだが・・・。
それを無視して俺はベアーの方を見る。
もう弱ってるな。よし決めるか。
威圧感は最初に比べて随分弱くなっている。最初でもまあ怯む様なものではなかったが。
俺はもう一度ベアーの攻撃をかわしながらベアーの懐へと入り込む。
奴はそれに気づき爪を振りかぶるが、俺はさっきの要領で股の下を潜り背後へと回り込む。
ベアーはまた振り向こうとするがそこで思いっきり軸足を蹴り飛ばす。
回転途中だったため、奴はバランスを崩し派手に転ぶ。
ドスゥゥゥゥン。
ベアーは出血と自分の爪の麻痺の影響で立ち上がれない。
俺は顔面に近づき何度もパンチを連打する。
ベアーは痛みのためか叫び声をあげるが気にせず続ける。
何分か続けているうちに奴の抵抗がなくなる。
念を入れてもう少し殴りつけ、ベアーの死を確認してからやめる。
その状態のまま簒奪者を発動、青白い光が辺りへと満たし、そしてすぐに収まる。
「ふう。」
アリアスは驚きを禁じ得なかった。
本当に一人で、ベアーを倒してしまったわ。
ベアーは中級魔獣で並みのヒューマン10人でも勝てない相手なのよ。なのに倒すなんて・・・。
危なくなったら助けに入ろうと考えていたのだけれどその必要は無かったようね。
相手の攻撃をギリギリで避ける体術、冷静な判断力、力だけに頼らず技も使いこなす。この子、本当に底が知れないわ。これで魔法の技術をこれから会得していったとしたら、さらに戦術にも幅ができる。これなら世界を救えるかも・・・。本人にその気はないようなのは問題だけど・・・。
俺はアリアスの元へ戻るとそのまま倒れこむ。
「結構手こずったわね。」
とアリアスが柔和な笑みを浮かべている。
「まあな。」
疲れているためか軽口を返す気にもなれない。
「このベアーの肉を売れば多少のお金にはなるわよね。私が捌いている間あなた、休んでていいわよ。」
アリアスはそう言って、懐からナイフを取り出すと、手早く血抜きを始める。
血抜きが終わると損傷の少なく売れそうな部位を選んでいく。
「どこでそんなこと習ったんだ。俺もあっちで奪っていたからできるが、・・・お前は仮にも女神だろう?」
「私は小さい頃から下界のことに興味をもっていてね。それで一通りのことはできるように学んでいたの。まあ他の神々は普通はそんなことはしないけどね。だって自分たちのさじ加減で世界を好きにできるんですもの。だから私は他の神々からは奇異な目で見られていたわ。」
彼女はベアーを手際よく捌きながら、自嘲気味に嗤う。
「まぁつまりあれだろ。お前は神という高位でも自分よりも立場が弱いもののことを考えられる奴ってことなんじゃないか?俺はそういう奴嫌いじゃないけどな。」
「あら?それはどういう意味かしら。もしかして慰めてくれてる?私にもう惚れちゃったの?」
「そんなわけあるか。たった1日で誰がまだ出会って間もない奴に惚れんだよ。」
「それもそうね。」
そんな言葉とは裏腹にそこには優しさが含まれている。
暫く寝転びながらぼーっしているといつのまにかアリアスがそばに立っていた。
どうやら捌き終わったらしい。
「早いな。」
「ええ。まあね。」
「さてと・・・・・・これどうやって持っていんだ??」
「そのことなら大丈夫だと思うわ。あなたさっきのベアーとの戦いで結構移動したことに気付いてるかしら?
ここはもうヒューマンの村から目と鼻の先の距離なの。だからもう少ししたら、村の人たちが様子を見にやってくるはずよ。・・・・・・ほら来たわよ。」
視線を向けると人間がやってくるの見えた。
「あ、あんたたちがあのベアーを倒したのかい?」
50代ぐらいから60代ぐらいの麻布の衣服を着た、いかにも農民のような人が俺たちに話しかけてくる。
「ええ、そうよ。」
アリアスがこともなげに応える。
倒したの俺だけどな。
「あの魔獣はな〜。ここらで暴れ回っている魔獣だったんじゃよ。何人もの村の者が犠牲になっとっててなぁ。しかもこのルーン村では誰もかなう奴がいなくての〜、救助の要請をしようと思っておったところじゃったのじゃ、ありがとうございまする。」
「いえ、気にしないで。私達も襲われたから倒したというだけだから。
それよりも村に宿はあるかしら。えーと・・・。」
「申し遅れました私この村の村長をやっておりますマキロイです。宿はあいにくとございませんが、よろしければうちに泊まっていってくだされ。あまり広くないはですが。」
アリアスは逡巡した様子をみせる。
「遠慮しないでください。ベアーを倒して頂けてこちらも助かっておるのです。そのささやかなお礼だと思ってください。生憎とうちの村には何も無いので・・・。」
「そうそれじゃ泊まらせて頂くわ。マキロイさ、案内してもらう前にあっちに捌いたベアーの肉があるのだけれどそれを村まで持っていってもらえませんか?幾分かは差し上げますので。」
「ええ、わかりました。とりあえず肉は一緒に来た者たちに運ばせます。後のことは村に行ってでも・・・。
さ、行きましょう。こちらになります。」
そう行ってマキロイは北のほうに向かって進み始める。
その後を追うようにアリアスも歩き始める。
俺もアリアスのあとを追いながら、アリアスに小声で話しかける。
「ここはお前の言った通り、ルーンの森のようだな。」
「何、あなた。私の言ったことを信じていなかったの?」
そんなことを話していると、マキロイが後ろを向く。
「お二方はどちらからおいでになったので?森に入ったのはお見かけにならなかったですが。」
「俺たちは元々、このルーンの村周辺に用事があって来ていたんだ。だけど途中で道に迷ってしまって。気付いたら、ルーンの村を超えてルーンの森にはいっててベアーと出会ったと言うわけさ。ははは。」
「なるほど、この辺りはいい薬草が取れますからな。はっはっはっは。」
それから30分ぐらいほど歩き、夕暮れごろになった時に門が見えてきた。木でできた簡素なものだ。
門をを開けると、中には小さな集落のようなものができていた。
村の中を5分ほど歩き、とある家の前でマキロイが唐突に立ち止まる。
「こちらになります。」
流石村長の家か二階建てになっており、ほかの家よりも1回りは大きい。
「こちら私の母屋でございます。。どうぞお入りになって、お寛ぎ下さい。おーい。マーサ帰ったぞ〜。」
マキロイがよぶと奥からトタタタと30代位のショートカット女性がやってくる。
「お帰りなさい。こちらは?」
「森でベアーを討伐してくださった方達じゃ。今日はうちに泊まっていただくことにした。
すみません。こちらは私の妻のマーサになります。」
「これは失礼いたしました。お食事などお済みにになられましたか。」
「いいえ、生憎とまだ・・・。」
「それでは先にお食事などいかがですか。」
「それじゃ頂こうかしら。迅は?」
「俺は遠慮しておく。さっきの戦闘でさすがに疲れた。アリアス。俺は先に部屋に戻って休ませてもらう。」
「わかったわ。」
「マキロイさん部屋はもう使えますか?」
それを聞き、マキロイが少し慌てた様子になる。
「すみません。もう少しお待ちください。今準備しておりますので。それまでそこにお座りになっていてください。今お茶でも出すので。えーとお茶はどこだったかな。」
と言って、マキロイは慣れていない様子で棚を探す。
「ちょっと迅。すぐ来て準備出来てるわけないでしょ!」
アリアスが小声で言ってくる。
俺が何かいう前にマキロイが茶を持って戻ってくる。
「お待たせしました。」
俺たちのまえにお茶を出してくる。
数分後、
「お部屋の準備が整いました。ご案内します。」
とマーサに言われ俺は8畳ほどの部屋で簡素なベッドが二つある部屋に案内される。
「何かご用がありましたら、お呼びください。それでは失礼いたします。」
そう言って、マーサは部屋を出て家の居間へと戻って行った。
少しの間じっとして、マーサたちが来ないのを確認すると、迅は部屋にある小窓から抜け出す。
「さて、この気味の悪い違和感の正体を確かめに行くとしますか。」
そう呟き、迅は夜の闇へと消えていった。
今回初戦闘でした。感想、評価などできたらお願いします。
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