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16話 協定

拙い文章ですがお願いします。

「くっっそなんであいつ1人で俺らの攻撃を全部捌けるんだよ!?」


ものが蹴られ、投げられ、屋敷の洗練された部屋が荒れていく。


「落ち着けって。」


周囲の者たちがナッシュを落ち着かせようと声をかけるが、


「うるせえ!」


当のナッシュは聞く耳を持たず、その口調も激しいものとなっている。


そんなナッシュの様子に事情を知らないものが小声でヒソヒソ話し始める、


「なんであいつあんなに荒れてるんだ?」

「ああ。あいつ、一般人に2回もぼろ負けしたらしい。

さらに仲間は全員意識不明だってさ。1人は腕を斬られてるらしい。」

「しかも、2回目はあの不気味な黒いローブのやつに助けられたらしいぞ。」



その言葉が聞こえたのか、ナッシュはさらに怒りを高まらせていく。


「あ?なんか文句あんのか?」


その怒りを隠そうともしないナッシュの声に誰も言葉を発せない。その姿からは最初に迅に会った時の面影は感じられない。

その様子をみて、逆に少し落ち着いたのか幾分か冷静な声となる。


「次で仕留める。」

「次?」

「ああ、明後日に襲撃することを許可頂いた。ここで完全に殺してやる。」





同時刻、領主のいる間において。

1人の男が玉座の前で女を侍らせながら座っている。

その前で跪くものが1人。


「ルーカス様。どうして、ナッシュに襲撃をお許しになられたのですか。

奴の私怨に我々の部隊をこれ以上減らすのは。」

「ああ、そういえばギスには言っていなかったな。今回のことを。

別に俺もナッシュの私怨にこれ以上無駄に兵を投入しようとは思っていない。

しかしな、いい機会だと思ったんだよ。」

「と、言いますと??」

「ナッシュはあれでも騎士団の中では高い地位にいる。

奴が問題を起こせばそれをもみ消そうと騎士団も多く投入しなければならないだろう。

そうなった場合騎士団本部はどう言う状況になる?」


そう言って、ルーカスはニヤリと笑う。


「なるほど。さすがルーカス様です。その間に、フリードを暗殺してこの街を完全に支配しようということなんですね。だからあの黒いローブの男も。」


そうギスが言った瞬間、笑っていたルーカスの顔が憎々しげに歪む。


「あいつか。実力があるのはわかるんかだが、素性が全く知れん。不気味なやつだよ。

イーギル様から送られて来た奴だからな。

そういえばギス。親父はどうなっている?」

「地下牢に監禁しています。もうそろそろかと。」

「そうか。まああと2日で全てが俺のものだ。その後には殺してしまえ」


そう言って、ルーカスは高笑いするのであった。






深夜。 3人が宿の部屋で寝静まった頃。

迅のベッドの隣に人影が1つ唐突に現れる。

アリアスとレイナは気づかずに眠っている。


「リリィか。」


迅はベッドから上体を起こすしてリリィの話を聞けるようし、その様子をみて、リリィも話し始める。


「はい。御主人。情報の収集完了しました。」

「そうか。それで??」

「騎士団長のフリードが言っていたことは本当ですね。ナッシュたちが騎士団の第一王子派閥なのも確かです。しかし妙なんですよね。」


リリィが困惑した様子で話す。


「なにがだ?」

「実はですね...」


リリィが迅へと調べた内容を報告していく。


「そうか。ありがとうな。」


そう言うと、迅はリリィの頭へと手を伸ばす。

リリィは何をされるのかわかると嬉しそうにその瞼を閉じる。

リリィの頭をくしゃくしゃっと撫でてると、


「御主人。今日はご褒美として御主人のベッドで寝てもいいですか?」


リリィが潤んだ瞳で聞いてくる。


「ああ、いいぞ。」


そう言って、迅は自分の寝ていたベッドのスペースを空けてリリィをベッドへと誘う。


「ありがとうございます。」


そう言って、リリィは迅のベッドへと入ってくる。

入ってすぐに隣から細やかな息遣いとともにスースーと言う寝息が聞こえてくる。


「そっか。疲れてたんだな。」


迅は口元に微笑を浮かべながらもさっきのリリィの報告をすぐに考え直す。


(リリィの報告によるとフリードの言っていたことは大体が本当のようだな。

ただ気になることもいくつかあるが。

とりあえず今は一時共同して奴らを倒すとするか。

しかし俺たちが第一王女派閥だと思われるのは面倒だな。

どうするか....)



そんなふうに考えながら夜は更けていく。






迅たちは朝ごはんを食べ、部屋で今後のことを話し、昨日のフリードとおちあった噴水へと向かう。


集合予定の少し前にはついたのだが、そこには昨日と同じ姿のフリードがすでにいた。


「どうだ、決まったか?」


最初の挨拶も飛ばして本題から入ってくるフリード。

「いきなりだな。」

苦笑を浮かべながらもフリードの質問に応える。


「ああ、まあ決まったな。」


そういう 迅に対して


「そうか。お前の答えを聞こうか。と言いたいところだが、まあ、とりあえずはアジトへと行くか。」


そう言って、フリードはまた歩き出す。

てっきり同じ道を通るかと思ったがフリードは昨日とは別方向へと向かっていく。


「昨日とは違った道を通るのね。」


アリアスが疑問に思ったのかフリードへと尋ねる。


「ああ、一応な。尾行とかをされているかもしれないからな」


フリードはそう答えるとまた走り出す。

30分ほどフリードについていくと、昨日の小さな家の前へと着く。

そのまま家の中へと入り、地下へと潜って行く。

昨日のを見たからか動揺はしない。

暗い通路を歩いてあの広間へと行くと、レベッカと見慣れない1人の大型の禿頭の男がいた。

レベッカはジン達の姿に気がつくと敵意をむき出しにする。


「貴様は....」


そう言って、剣を抜こうとするレベッカ。

それを隣にいた男が諌める。


「まあ、待て。レベッカ。」


フリードも止めに入る。


「そうだぞ、レベッカ。昨日はお前が完全に負けた上に暴走しかけているんだ。

しかも相手は話し合いにきている、少し黙っていような。

ていうか謝れ。」


フリードにきつくそう言われ、シュンとなって椅子に小さく座るレベッカ。

そして小声で「すいませんでした。」とボソリと呟く。

もちろん迅には聞こえているのだが、


「え?何か言ったか?」


と笑顔でレベッカの方へと聞き返す。

レベッカがさらに大きな声で謝るが、迅は聞こえないふり。レベッカもここまでされればからかわれているのには気づいているが団長命令ということもあり逆らうわけにはいかない。

最終的にはレベッカが泣きながら、


「ズイバゼンデシタッ」


と謝る。

その姿に迅は満足した様子となるが、アリアス達からは非難の目線が迅へと向けられ、その後みんなでレベッカをあやしに行く。

それを観ていたフリード達は苦笑している。


「さて、そろそろ話の本題に入ろうか、迅。」


フリードが一転して真剣な表情となって迅へと話してくる。

迅は目線をフリードの隣にいる大男へと移す。

その視線の意味を悟ったのか、フリードが説明し出す

「ああ、そういえばこいつは昨日は情報の偵察に行っていていなかったけな。こいつの名前はサイモン。見ての通り、重剣士だ。」


フリードがサイモンのことを紹介すると、サイモンもそれに合わせて


「よろしくっス。」


と言って、迅に挨拶してくる。

迅もそれに軽く答え、その後フリードが話の続きを話す。


「それで迅。結局どうするんだ。俺たちと手を組むのか?答えを教えてもらえるか。」

「そうだな。この街にいる間はお前達と組むことにする。ただその後のことは分からんぞ。

明確な報酬もなにも無いからな。そこからは。今回のはあくまでギブアンドテイクの関係ということだ。」


そう言うと、フリードが困惑した様子となる。


「ぎぶあんど、ていく?

どう言う意味だそれは」


サイモンも同じように不思議そうな顔をしている。


(そうか。ここは異世界だったな。英語の熟語までは意味が通らなかったか。)


迅は自分の中で納得すると、フリード達へと説明する。


「ギブアンドテイクってのはな、まあお互いに利益になるっていうことだ。

俺の故郷に伝わる言葉だ。まあ、そんなことはどうでもいい。

これからどうするのかの方が重要だからな。」

「まあ、そうだな。

とにかく、一時的とはいえ、我らに協力してくれて感謝するよ、迅。」


フリードがそう笑顔で言ってくる。

やはり断られる可能性もあったためか内心緊張していたのだろう。


「ああ、だが1つだけ条件がある。

俺たちはナッシュたちを潰すために動くが、俺たちは第一王女派閥では無い。だから俺らが倒しても俺たちの名前も出すな。この争いが終わった時には、領主は生きていることにして、何もなかったと王都の方には報告するんだ。何もなかった風を装うんだ。これが共闘する条件だ。」


(アリアスのことが下手に有名になって、魔人たちや他の神にバレて襲われたりしたらヤバイからな。1人や2人ならなんとかなると思うが...可能ならまだ戦いたくないからな)


フリードはその条件を聞き、内心で苦笑する。


(成り行きで発表して第一王女様の派閥にしてしまおうかと考えていたが...さすがにそんなにうまくはいかないか。)


「ああ、わかった。お前達のことは表には出さない。約束しよう」


フリードがその条件を呑み、ここに迅たちとフリードたちの一時共闘が成り立ったのであった。


「さて、具体的な話をしよう。

俺らはある程度の情報は知っているが、お前らほど詳しくは知らない。この前、明後日俺らが襲撃されると言っていたがどういうことだ?」


迅がフリードたちへと説明を求める。


「ああ、そのことを話す前になぜこのような状況になったかを説明するとしよう。」


そこでフリードは一旦話を切る。

迅はアリアスたちを呼び戻そうと、アリアスたちがいた方を振り向くと、いつの間にかアリアスたちが迅の後ろへといた。


「いつからそこに?」

「共闘するって言ったらへんかしら。」


アリアスが代表して答える

レベッカもサイモンの隣にいつの間にか立っている。その目線は迅を射殺すかのようなものになっているが。


(相当嫌われたな〜。)


内心で迅はそう思いながらもフリードの方へと顔を向ける。


「よし、全員揃ったな。」


フリードが話を始める。


「元々、このオアケスの街というのはな領主のオマルー家が代々引き継いできていてな。街の住民のことを第一に考える領主の方たちだったんだ。王都で後継者争いが起きても、この街は特に関与することはなかったんだ。そのため、騎士団の中にも大きな問題は起きることはなかったんだ。ナッシュたちも大きな問題は起こさなかった。

ただある日を境にこの状況は一変した。

先代の領主には1人息子がいたんだが、この息子はなかなかいいやつとはいえなくてな。

その息子が1ヶ月前に第一王子派閥を連れてクーデターを起こしてな。一晩にして、この街の領主になってしまった。騎士団も街に問題が起こったわけでなくて、全て領主の家で起きたことで事態に気づくのが遅れてな。気づいた時には領主が変わっていたのだ。」


フリードが悔しそうに呟くのを全員が感じた。

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