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12話 波乱の幕開け

拙い文章ですがお願いします。

side ナッシュ


ナッシュは騎士団本部へと戻ると思いっきり壁を蹴り飛ばす。


「くそ、くそくそくそ。あの時騎士団長にさえ止められていなければ」


「どうした、なにかあったのか?」


騎士の仲間がナッシュの荒れた様子をみて事情を聞いてくる。


「おお、サカタか。実はな...」


ナッシュは事情を話せば少しはすっきりするかもと説明してやる。

話を聞いているうちにサカタは顔をどんどん険しくさせていく。


「なんだと!?一般人ごときが俺たちに刃向かい。しかもシェフとアベルがやられただと。

それでなんで騎士団長のフリードはなにも言わんのだ。そんなだから一般人ごときに舐められるのだ。」


二人はここで愚痴を吐くだけに留めておけばよかったんだ。


「これは我々が制裁を下す必要があるようだな。」


ニヤリと笑みを浮かべる。


「しかし表立ってやるのはまずい。フリードが手を出すなと言っている。」

「そうか。ならあの方に兵を借りよう。

あの方もフリードの失脚を望んでいるからな。」



サカタはすぐに動けるように準備し始める。


「そうだな。フリードは明日には騎士団の本部へ呼ぶと言っていた。今日中に始末を付けたい。何人準備できる?」

「多分、4人ぐらいだな。それ以上だとばれやすくなる。」

「まあ、それだけいれば十分だろ。あそこの兵は強いからな。」

「それじゃ頼むぞ。

我らが衛兵の誇りのために。」


二人は今晩のために動き始めた。



迅はそんなこと露知らずにショッピングを続けていた。


「ここからどうするか。どこかいきたいところはあるか?」


「ん〜。下着とか買いたいわ〜。」


何気無くアリアスへと話を振ったが一瞬でそのことを後悔する。

しかしもう無かったことには出来ない。


「 ま、まじか。んじゃあ俺は1人でぶらぶらしてるよ。女同士の方が気兼ねなく選べるだろうからな。」


そう言い捨て逃げる。逃げようとするが。


ガシッ。


「ん?」


後ろを振り返って見るとレイナとリリィが俺の左右の手をそれぞれ掴んでいる。


「どこへいくの?ダーリン。」


「そうですよ。御主人。買い物はみんなでした方が楽しいじゃないですか。」


二人の目は据わっていた。


ヤバイ。


最後の救いを求めて迅はアリアスの方を見るが、当の彼女も顔を赤らめてはいるが特に何も言ってこないので、アリアスにとっても問題はないらしい。


あ~、まじか。まだ戦っていた方が気が楽だ。


ものの10分も経たないうちに、ランジェリーショップへと着いてしまう。


「こ、これはまた。」


そこは、ピンク一色でできたような店で、中には女の人しかいない。


か、覚悟はしていたがこれほどとは。姉さんと2人で行った時よりもここはアウェー感がすごいな。あの時は少しだが、カップルできている人たちもいたし。ここにはそういう人たちもいない。


そんなことを考えているうちに3人は中へと入って行ってしまう。


「お、お前ら。まだ心の準備が・・・。」


その時、俺の脳裏に天才的なアイデアが閃く。


「このまま、さりげなくフェードアウトすればバレないんじゃないか?あいつらは下着に夢中になってるし。」


そう考え、それを即実行に移そうとする迅であったが。


ガシッ。


「またか。」


後ろを振り向くと今度は笑顔のリリィの姿が。


「どこへいくんですか?早くいきますよ?まあ、もし御主人が逃げようとしても、私のコートを着ているんですぐわかるんですけどね。」


しまった。


もはや一縷の望みも残されていないのか・・・。

リリィに連れられ、中へ入ると、すでにアリアスとレイナが下着を選び始めていた。

下着をその手にとっては、戻していく。

その中に、俺を連れてくることに成功したリリィもまたその輪の中へと入っていく。

きゃっきゃし始める3人。

それとは対照的に居心地が悪い迅。

心なしか、周囲の視線も感じる。

しょうがなく、彼女たちが選んでいる間、椅子に座って現実逃避し始める。ボーッとして時が過ぎるのを待っているといつのまにかそこに店員がやってくる。


「お連れのお客様の試着ができましたので、こちらにどうぞ。」


そう言って、手招きしてくる店員さん。

行かなきゃいけないのか?

しかし店員さんの笑顔は俺を逃がしてはくれない。


「は、はぁ。」


試着ブースの方に渋々ついていく。

ついて行った先には天女たちがいた。否、天女とも言える存在がいた。

赤い下着とガーターベルトのようなものを着て、色っぽい顔で迅を見るリリィ。

薄紫の際どい下着を着て迅を見つけ、笑顔で手を振るレイナ。

1人足りないことに気づく。


「あれ?アリアスは?」


迅がレイナとリリィにそう聞くと、困ったように笑う。


「それがですね。」


リリィは何故か苦笑している。


「んーとね。その〜。まあいっか。

ちょっと待っててー。」


レイナはそう言うと、カーテンが1つしまっている試着ブースへと向かっていき、おもむろにそのカーテン開く。


「え?・・・きゃあああああああ。」


そこにはもう1人の天女がいた。

いや、アリアスは元女神なのだが、えーとそう言う意味ではなくて・・・いや今はそんなことはどうでもいい。

普段は白系統の服か黒のコートしか着ないアリアスなのだが、試着しているのは花柄のフリルがついた黒色の下着。

それはいつもの真面目なアリアスのイメージとのギャップもあって、迅の目にはとても扇情的に見える。

そんなアリアスは抗議の視線をレイナへと送っている。

そしてその目線が今度は俺「の方へと向く。


「いつまで見てるんですか。」


「す、すまん。」


慌てて目を彼女たちから背ける。

そんな迅の様子を面白く感じたのか、レイナが笑顔で迅へと聞いてくる。


「それで〜、ダーリン。まだ、感想を頂いてないんだけど〜。どうー?」


3人の目が一様に迅を捉える。

見るなといいながら感想は欲しいらしい。


「そ、それはみんなすごいきれいだぞ?も、もういいだろ。」


それを聞いたアリアスたちはと言うと・・・。


「ま、まあ。女神なんだから当然よね。うん。」


「へ、へ〜。ダーリンはこう言うのが好きなのね〜。」


「御主人の好みならこれにしましょうかね。」


三者三葉に照れながら試着室へと戻っていく3人。


「ふぅ。疲れた。」


ふと、迅がまた周囲から視線を感じて目線を上げて見ると店員も含め他の客たちのニヤニヤした顔があった。


早くここから出たい。


切実にそう思った。


アリアスたちは結局1人2着程度買い、ランジェリーショップを後にする。


「やっと出れた〜。」


迅は、んーと大きく伸びをする。


「お疲れのようですね。御主人。」


笑いながら話しかけてくるリリィ。


「ああ、あまり経験したことがないからな。かなり神経を使ったよ。」


「あら。これからはもっと大変になるかもですよ?」


意味ありげな言葉を残して、アリアスたちの元へと戻っていくリリィ。


「こわいこと言うなよ。」



ショッピングを終えた頃には日も暮れてきていた。


「もう、日暮れか〜。そろそろ宿に戻るとするか。」


「そうね〜。結構買ったしね〜。」


そう言う、アリアスたちの手には大小様々な荷物。

もちろん1番多く持っているのは迅なのだがそこに迅の荷物はほとんど無い。

宿に帰ってみると夕食の時間とあって食堂は人で賑わっていた。


「おお、こりゃまた。夕食どきなのもあるが人が凄いな。」


「これが普通よ。ダーリン。むしろ少ないくらい。この間、ご飯を食べた時は本当にラッキーだったのよ〜。」


辺りを見回して見るが、空いているテーブルはない。


「あら、あんたたち。帰ってたのかい。

ごめんね〜。今はちょうど席が空いてなくてね〜。もう少し後で来てもらえるかい?そん時には一品サービスするからね。」


タニアが申し訳なさそうにしている。

ここは素直に従っておくか・・・。


「おお、楽しみにしてる。じゃあ、俺たちは一回部屋に戻るか。」


「ええ、そうね。」


皆が同意の視線を向けてくる。

それを確認し、迅が階段を登ろうとすると、


「ああ、ちょっと待っとくれ。」


タニアが慌てて俺たちを呼び止める。


「ん?どうしたんだ?タニア。」

「すっかり忘れてたわ。これを迅というやつに渡してくれと頼まれてたんだった。そんな名前この宿じゃあお前さんだけだからね。ほれ。」


タニアは迅へと手紙を差し出す。


「確かに渡したからね。それじゃ、料理楽しみに待ってな。」


タニアはそう言って、食堂の方へと戻っていく。


「とりあえず部屋に戻ってから開けるか。」


部屋に戻り買って来た荷物を置く。

やはり気になるのはあの手紙。


「ふー重かった。」


「ふふ。それで、その手紙は誰からかしら?まあ、大体予想はつくけどね。」


「まあな。」


そう言って、迅は手紙の裏を見てみるが何も書かれていない。

どうやら全員中身が誰からかは想像がついているらしい。


「裏にも何も書かれていないな。」


「おかしいな〜。騎士団からの正式な呼び出し状とかなら裏に騎士団の紋があるはずなんだけど。」


「そうなのか。まあ、一応中身を見てみるか。」


中身を開けてみる。


「これは!?」


ふと驚きの声を上げる。


「なんて書いてあったの?」


「そ、それなんだがな。全く読めないんだ。」


「「「へ?」」」


3人の顔が一瞬ポカーンとした顔となる。

そしてアリアスが一瞬考え納得した顔となる。


「あっ。そっか。迅はこの世界の人じゃないのか。迅の元々いた世界と発声言語は基本的に同じだけど、文字は違ったってことなのね。てっきり、同じ言葉喋れるから文字も読めると思っていたわ。」


アリアスが得心がいったように説明してくれる。

さすが女神だ。


「ああ、なるほどね〜。」


「そういうこともあるんですね。」


レイナたちも合点がいったようである。


「ではお貸しください御主人。こういう雑事は私がいたします。」


迅はリリィへと手紙を渡す。


「では正確に読みますね。


迅殿。明日のお昼12時に1人で街の中央にある噴水の前に来ていただきたい。

騎士団長フリード


以上になります。」


「変ね。騎士団長からなんて。なにかありそうね。」

「ああ、そうだな〜。面倒なことになる予感がビシバシする。はぁ。

あ、そういえばリリィは俺のことは知ってるが、アリアスとレイナのことはあまり説明してなかったな。ちょっと時間もあるし、話しとくか。」


迅たちはお互いのことを話し合う。


「結構大変な事態ですね。まあ、私は御主人がやられるなら私も精一杯やらせていただきますので。お願いしますね。アリアス、レイナ。」


「ええ、こちらこそ。」


「お、話してたら結構時間経ったな。飯いこうぜ。」


そう言って迅は部屋を出て行く。


「これは私たち大変ね。」


後に残った3人がため息を吐いていたが気にしないことにした。



街の明かりが全て消えた丑三つ時。

月が屋根の上の5つの影を出す。


「準備はいいな?」


「「「「ああ。」」」」


「行くぞ。」


黄金の豚亭の屋根の上から迅たちのいる宿の二階へと突入した時、


「おい、どこに行くんだ?」


突如横合いから声が割って入ってくる。その声はどこか楽しげな様子だ。

その言葉に全員が一斉にその方向を向く。


「貴様は。」


そこには、ナッシュたちが狙っていた1人の青年の姿が。


「さあ、昼間の続きをしようか。」


評価などお願いします。

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