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9話 ショッピング

拙い文章ですがよろしくお願いします。

小鳥の声が囀り始めた頃

迅はボケた意識の中で自分のお腹あたりの所に奇妙な重みを感じていた。

その重みは決して、不快なものではなく、不思議な弾力があった。

迅は直感的に嫌な予感を感じ重たい瞼を無理やり開け、布団をゆっくりと取り払って行く。


「おはよう、ダーリン♡」


布団の中には下着姿のレイナがいた。


「なんでおまえが俺のベットの中にいるんだよ!しかもそんな格好で!」


俺はレイナから視線を逸らすために勢いよく起き上がる。


「それは~、誘惑するために潜り込んだからに決まってるじゃない。」


「お前のベッドはあっちだろ!」


「だってダーリンの近くにいたかったんだもの〜。」


レイナが頰を赤く染めている。


「そ、そうかならしょうがな・・・くない!!もし、こんなとこアリアスに見られたら」


「大丈夫よ!!潜り込む前にアリアスの様子は確認したから!!」


レイナが親指を立てて、グッジョブをする。

俺はそんなレイナの頭に手を伸ばす。

それをなでなでされると勘違いしまのかレイナも満面の笑みで自分の方から頭をこちらに向けて差し出して来る。



その額にデコピンする。。


「つぅぅぅ。え〜?なんで〜?」


レイナが涙声で自分の頭をさする。


「バカヤロウ。あんだけ騒いだら、絶対に・・・。」


迅はその続きを言うことは出来なかった。

視界の端に暗黒の女神が降臨するのを捉えたからである。


「あ、アリアス。き、聞いてくれ。これには深いわけが....」


「そ、そうなのー。これには事情があって。」


レイナもアリアスに気づき、慌てて迅のベッドから飛び出て釈明し始める。


「言い訳はいいわ。とりあえずそこに正座。」


それから小一時間、第2回男女のモラルについての講義が開講された。



「はあ。朝から疲れたな〜。」


「そうだね〜。それにしても朝ごはん美味しいね〜。」


レイナが朝食のスープを啜りながら迅へと話す。

それを聞いていたアリアスは納得いかなそうだ。


「何か言いました??元はと言えばあなたたちが朝からねぇ・・・んむ。んーんんー」


何か言う前にウインナーを突っ込む。


「どうだ美味しいだろ。そのウインナー。

そんなに何回も言わなくてもわかってるよ、俺達が悪かったってな。な、レイナ?」


「ええ。ダーリン〜」


レイナがニコニコしながら頷く。

ナイスコンビネーション。


「ホントに反省してるのかしら?」


アリアスは迅たちのその態度に呆れた様子だが気にしたら負けだろう。


「そんな疲れる話題よりも、早く食べて、ショッピングに行こう〜。

その時にダーリンの服も新しくしようね〜。ルーン村の時に奪ったローブのまんまでしょ?」


「ああ、そうだな〜。でもこれ結構気にいってんだけどなぁ」


迅は不満げに言うがそれがを火をつけてしまったらしい。


「だーめ!!アリアスも新しいやつにした方がいいと思うでしょ??」


「そうね〜。それじゃーちょっとね。」


「はい、けってーい。」


これは・・・めんどいことになるかもしれないなぁ。

朝食を食べ終わると、3人は黄金の豚亭の外へと出る。


「まずはどこに行くんだ?」


俺はレイナとアリアスへと尋ねる。


「んー。朝ごはんは今食べたから〜ご飯はまだだよね〜。ん〜。アリアスは最初に何がしたい〜?」


「そうね〜。服を買いたいとこだけど、まずは迅の服よね。でもこれからを考えればオシャレとかよりは戦闘で使えるやつがいいわね。どっちも備えてればよりいいけど。レイナそういう系統のお店ってある??」


「確か大通りから少し奥に入ったとこに隠れたいい店があるよー。この店主のとこの武器よく使ってたから、腕は保証するよー、今あるかは分からないけど。」


「とりあえずそこ行くか。」


そこに行くには大通りを進まなきゃ行けないらしい。この大通りにも色々なお店があってその中の多くは食べ物や衣服の店と露店などもあり、迅の興味が注がれていく。

しかし、前を行くアリアスとレイナが先に進んで行ってしまうため、迅は今行くことは諦めて泣く泣く頭のノートにこっそりとメモを取っておく。

大通りを10分ほど歩いた所でレイナが脇の細道へと入って行き、少し歩きある店の前で止まる。


どうやら店は無くなってなかったらしい。

そこは古めかしい一軒家の様な装いで外のどこにも看板や店名らしきものはない。

俺がじっくりと見て止まっていると、レイナが


「ほら、入るよダーリン」と先を促される。


中は結構な広さとなっており、壁や棚に所狭しと武器や防具の様なものが並べられている。

なかなかな品ぞろえだな。


「おお、レイナか。久しぶりだな。」


男の野太い声が聞こえて来る。

頭をあげて見てみると、そこには長い髭を二つに結わえた身長が高いマッチョなおじいちゃんが立っている。


「久しぶりね〜。紹介するわ〜。この店の店主で鍛冶屋のガロンおじちゃんよ。でガロンおじちゃん。これが私の仲間でダーリンの迅とアリアスよ〜。」


「ほー、こんなヒョロっこいのがお主の男とはのー。よろしくのう〜」


そう言って手を俺たちに差し出して来るガロン。

アリアスが握手をし、次に俺が握手をする。だがなかなか手を離さない。笑顔で力を込めて来る。


そういうパターンのやつかよ。なら・・・


迅は、一瞬だけガロンの握力を大幅に凌駕する力を込める。

ガロンの笑顔が一瞬で苦悶の表情へと変わる。そのまま逆に俺の手を離そうとするが今度は俺が離さない。

少ししてから離してやると、レイナに小声で


「なんじゃこいつは。ちょっと強くない?」


と言う。本人は小声のつもりだろうが俺たちにも聞こえているから小声にはなってないんだけどな。

レイナは満足そうにし、胸を張る。


「そりゃ、私のダーリンだからね。」


といい、俺の腕を組んで来る。

その仕草に、驚愕の顔をするガロンだが、すぐに笑顔となる。

いや笑顔じゃなかった。若干声が涙声なっている。


「いい男を見つけた様じゃの〜。」


といい、とうとう泣き始めてしまう始末。

そんなわけで少しの間泣き、レイナに慰められてたガロンだったが、再び立ち上がるとキリッとした顔で


「それで今日はどうしたんじゃ?」


といい始める。

どうやらさっきのことをなかったことにするつもりらしい。

レイナも空気を読んで、真顔で答える。


「今日はみんなの武器と防具とか揃えようと思って。私もルーン村に行くために全部売っちゃったしね〜。」


「おお、そういうことか。じゃあまた何か始めるんじゃな。お前がわしに売ったやつはわしが全部保管しておいてある。それを使うとよち。もちろんお代はもらうがな。」


と言ってレイナにウインクする。

おじいちゃんがウインク。なかなかお若いようだ。


「ほ、本当に?嬉しいありがとガロンおじちゃん。」


とガロンを尊敬の目線でみるレイナ。

あーあ。完全に二人の世界に入ってしまった。

そんな二人を見ながら、迅とアリアスは同時に同じことを呟く。


「こいつ(この人)なんか変態っぽい。」


最初の硬派なイメージが崩壊したガロンであった。



「それでお主らはどういうのが欲しいんじゃ。」


「具体的にまだ決まってないから、店内を見てもいいかしら?迅もよね?」


「ああ、そうだな。」


「おう、じゃあ好きに見てくれい。」


俺とアリアスは思い思いに棚の商品を見ていく。

それにしても本当に色々な種類があるな。


あたりを見回していると、不意に迅の目線が1着のコートの前で止まる。そのコートは迅の膝ほどまであるロングコートで膝から上に向かって、紅から黒へとグラデーションしているコートでだ


「おい、ガロン。このコートはなんだ?」


「ん??ああ、そいつか。そいつはな、一応うちにおいてあるやつなんじゃけどな。持ち主を選ぶコートなんじゃ。名前も能力もわからん。なんせそいつはどんなやつが着ても、弾きとばしちまって誰も着たことがないんじゃ。もしそいつを着れたら、お主にただで譲ってやるよ。」


「へぇ、そうなのか。面白そうだな。」


「何を馬鹿なことを。ほれ。なら手に取ってみな。」


迅はコートを何事もないように手に取り、腕を通していく。

それを唖然とみるガロン。


(これ、誰も着れなかったんじゃけど。こんなにあっさり?)


しかし当の迅はそんなこと露知らず、別のことを考えていた。

ん?なんか頭の中に声みたいなのが聞こえる気が・・・


その声は迅がコートを着ていくにつれてどんどん大きくなって来る。

迅がコートを完全に着ると、その不思議な声も完全に聞こえる様になる。


今度はあなたが着るのね。まぁどうでもいいわ。どうせ私の声も聞こえないんだし。いつも通り、一応待って弾き飛ばそっと。


(これ、どうやって答えればいいんだ?まあいいか。おい、お前は誰だ?てかこれはどうゆうことなんだ?てかいままで待ってすらいなかったつて聞いたんだが。)


謎の声から返答がきこえる。


(普通に心の中で思えばいいのよ。私は誰かってあなたなんかに・・・え?え??えぇーー。)


その声は突如として叫び出し、迅は慌てて、耳を塞ぐ。

それを、周りでいつのまにか近くに来ていたアリアス達が一様に不思議そうな顔をする。

迅はそんな周りの様子に構う余裕などもちろんなく


あーーうるっさい!!


『あ、ごめんなさい。驚き過ぎちゃって。こんなこと今までなかったから興奮しちゃって。』


そうなのか。お前はこのコートってことでいいんだよな。


『ああ、今はコートの形にしていたのね。もうすっかり諦めていたから忘れてたわ。』


そうか。じゃあ今日から俺がお前を着るからな。よろしく。


『いや、私の声が聞けるからってまだ私を着れるってわけじゃないわよ?』


まだ終わりじゃないのか。どうしたらいいんだ?


若干うんざりしながらも尋ねる。


『今は私の声が頭の中に響いているだけのはずよ。私がいるこの空間まで来て。そしたら、私を着れるわ。なーに簡単よ。自分の内に意識を集中すれば自ずと私がわかるはずよ。』


俺はそのコートの声の言う通りに、自分の内側へと意識を集中してみる。

特にいつもの瞑想と変わらんが・・・ん?

迅は暗闇の中にわずか白い点が混ざっていることに気づく。


なんだこれは。


その白い点が意識を集中すると白い点は徐々に大きさを増していく。

そして突如その白い点がピカッと光る。

あまりの眩しさで目を瞑る。

目を開けるとそこは店内ではなく俺は見たこともない白い空間に立っていた。


「ここ・・・・・・は?」


言葉の途中で詰まってしまう。迅の目の前に妖艶な美女が立っていたからだ。コートと同じで髪の先端から紅から黒へとグラデーションしていき、ゆるくパーマがかかった様な髪。モデルのような体型で身長が高く、迅よりも少し低いぐらいの身長。それでも不釣り合いなくらいもはち切れんばかりの胸。お尻は大きく、みるもの、特に男性の心を掻き立てる。さらに胸元が大きく開いた紅と黒のグラデーションのドレス。それはまるで彼女の髪の色を表す様で・・・。


「ここはあなたと私とあなたの精神世界。先に言っておくけど、私との契約は一生よ。解除は出来ないわ。それでも契約する?」


さっきと喋り方が変わってる。落ち着いたんだろう。


「え?まじか。うーん。どうしよ。」


一瞬悩むそぶりを見せる迅。

まあ、いいか。このコート好みだし。


「ああ。契約する。俺の勘がそう言ってるしな。」


「そう。じゃあ早速始めましょうか。血の盟約を。これが終われば私のことがわかるはずよ。全てね。終わればだけど。」


そんな言葉とは裏腹に、微笑む彼女の顔はアリアスともレイナとも違う、なんとも言えないミステリアスな美しさがあった。





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