第3章 第22話
心は覚悟していたとはいえ、背後から迫る闇に
毎日怯えていた。
その闇にはきっと光など見えていなかった。
その時はまだ。
これからどんどん体の自由を奪われ
最後は寝たきりになり苦しみそして…
そんなことを常に考えながら生活することに
なるかと思うと、普通でいることも
困難で憔悴しそうだった。
幼い頃の心は母に
「かみさまっているの?
こころはかみさまいるってしんじてる
ママとまいにち、しあわせにくらせてるから」
「神様はね、空にいて、いつも心のことも
見てるんだよ?
心がいい子にしてたら、いつかご褒美くれるの。
でも悪い子にしてたら、いつか罰が当たるの」
「そうなの?
じゃあこころはいいこにしてる」
…なんでこんなことを今思い出したのだろう。
神様本当はいないって思うのは私だけかな?
神様は乗り越えられない試練は与えない
とかよく言うけど…今回はちょっと
無理そうだよ…
天国にいる母と神様に訴えかけた心の叫びも
空の大きさに吸い込まれ消えていく。
これから幸せなことが沢山待ってたのに。
結婚して子供を授かって、孫ができて
80歳過ぎても太陽と手を繋いで
出かける。
そんな夢…夢は結局夢なんだね。
ポツリと呟くと心の大きな瞳から
一粒の涙がこぼれた。
そしてそれと同時に空も泣き始めた。




