第3章 第20話
そのとき心はいろいろな検査を
受けていた。
CT検査やMRIなどを受けている心は
「あーきっと私は癌なんだろう。たしかテレビで見たことある。その疑いが強くて駄目なのかな…」
と不安がよぎる。
そう思っている瞬間心が生きてきた
人生が走馬灯のように流れ
目の前が真っ暗になった。
5分、いや10分ほどだろうか。
真っ暗な道を歩いていると
遠い先がわずかに光っていた。
その光に向かって行かなければ真っ暗な
はずなのに光は一向に近づかない…
そしてふと我に返ってみると
目の前には先生が座ってきて
話をし始めた。
「単刀直入に言います。胃に腫瘍が見つかりました。悪性です。長くても3ヶ月と思ってください」
心はなぜかその言葉を素直に
受け入れられた。
先ほどの走馬灯、光、検査。
「私は癌で死ぬんだ。太陽にはどうやって話せばいんだろう」
こんなときですら愛する太陽の事を
気にする心。
そして先生がお連れ様はご家族の確認などを
してくるが家族はいない。
これから家族になるはずだった太陽を
呼ぶことすら躊躇いながらも
太陽を呼ぶことにした。
そして太陽が入ってきて先生からの
話を聞いている。
そのとき心は太陽のことを見ることができずに
下を向いていた。
話を聞き終え心は気丈に振る舞おうと
笑いながら
「ごめんね、癌になっちゃった」
と言った。
そのとき癌とわかってから初めて
太陽の顔を見ると、魂の抜けた顔を
していながら目からは涙がこぼれた
跡ができていた。
そんな太陽を見て心は思わず抑えていた
感情が露わになり涙が溢れた。
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