1話
ーピピピピピ、ピピピピピ
早朝からアラームが鳴り響く。
『おはよう、和輝さん起きて』
同棲している彼女の声が
遠くから聞こえる。
そんな毎日の幸せに浸りながら
頑張って目覚めようとしている
そんな時にふと違和感を覚えた。
『起きろー起きろー』
その声は確かに聞こえる。
だかそれは彼女の声とは
明らかに違う。
俺は驚いて飛び起き
周りを見渡すが誰もいない。
そんな俺を見て彼女は
『起きた?急にどうしたの?』
となんとも言えない様子で言った。
そんな彼女を見て俺はなにも
言うことができず
『いや、なんでもない
早く準備せな遅刻するよ』
としか言えなかった。
彼女とそんな会話をしている中
俺にはずっと
『おーい、おーい
無視するなよ、おーい』
と聞こえている。
その声がなんなのかわからず
一体何が起こっているのか
全く理解できなかった。
それでも彼女は無邪気に
テレビを見ながら
『今日雷なるかなー
なったら嫌だなー』
と笑いながら言った。
俺は引きつりつつも
『ならんといいね』
と一言返すのが精一杯。
まだ聞こえる謎の声を
無視しつつ準備し
彼女を送った。
この時は今から始まる
地獄の日々に気づくはずもなく
呑気に笑っていた。