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没・Karma Gear Story  作者: D.D
空回りの歯車
75/78

画策する歯車

「勝手に動いた仲間の尻拭いをしたまでです」

「いえ、それでもミラオス殿の守りやあなた達二人の的確な妨害、ヨミキリ殿の時間稼ぎがなければ我々の命はなかったことでしょう、本来関係のないのに矢面に立ち、私に掛けられた疑いを晴らし、こうしてこの場所に立つことが出来たのも貴方がたのおかげです」

「ありがたきお言葉です」

「こちらとしても得るものが大きかった、特に魔道具系統で」

「これから民に起きたことを話し遺族たちのために葬儀を執り行わければなりませんが、依頼ではないとはいえ何か褒美を与えなければなりません」


 4人が集まって幾分か話し合ったあとヨミキリが代表として報酬を口にした


「取り敢えず、CGUCの貸しということにしておきたいが正気の森の立ち入り許可証をくれると助かる」

「それで良いのですか?もっと良いものも」

「どっかの誰かが巻き込まれたせいでCGUCが危うい立ち位置になったのを挽回できただけでも僥倖なのです、これ以上求めるのは野暮です」

「では、正式にCGUCとの協定を後日執り行うことにします」

「許可証に関してはいつぐらいに?」

「明日にでも発行し届けさせましょう ただ正気の森に関して一つ言っておきます」

「なんでしょうか?」

「あれは天使の失敗作(・・・・・・)です」

「どういう意味だ?」

「行けば分かります逝く前にわかります、先代がそう言っておられました」


「ああ、それとミラオス殿」

「……なんでしょうか?」

「ジョージ殿は復縁を望んでいらっしゃいますよ」

「……俺はあの人の息子だと思ったことはない、唯の他人だ」


 --

 森が燃えていた、黒々と燃えていた

 絶望を燃料に希望が燃えていた、怨嗟を巻き込んで燃えていた

 全てを焼きつくす猛炎が、全てを覆う猛煙が、害悪から守っていた

 その中に人影が二人立っていた

 満身創痍で立っている人影は無表情の声で言い放った


「よう、化け物 眠らせに来たぞ」

「|―――――ッ!!!!!」


 無傷の人影が恨めしそうに怒りに打ち震えるように無音の悲鳴をあげていた

 爆炎が黒煙が剣を打ち合う二人を飲み込んだ後立っていたのは

 

  --


 Side;Yomikiri

 教都アポストル内酒場

 18:22p.m.


 日が沈み酒場が活気に満ち始める最中

 俺はこの国に秘密裏に駐在していたとあるギルダーと情報を交換している

 他の連中とはその後にここで合流することになっている

 事件の結果を報告し、頼んだ酒の杯を弄ぶ


「今回の一件は少なくない被害が出たが、最悪の事態は避けられた」


「あんたらの助けがなければここまで上手くはいかなかった、被害ももっと出たはずだ」


 あの時手渡された手配書とともに会ったもう一枚の紙

 そこに書かれていた情報が無ければ彼処に居た俺らは全員死んでいただろうな


「アレを助けと呼べるかはさておき、CGUCの飛び火が避けられたことは感謝する」


「どうやって演算系統の能力者と転生者の存在が露見できたのかは聞かないが、本当に今回の事件は事故で片付けられるのか?」


「問題ない、彼処は老朽化も進んでいた不幸な事故ということだ、枢機卿の方も事故に巻き込まれて療養中ということにしている」


 不幸……ね、人為であったとしてもあの暴走は予測できなかった

 そう考えれば事故とも言える、か


「あの少年は結局どうなるんだ?」


「中央のギルダーがお付きとして見張っている、さすがにこうでもしなければ容認は出来ないからな」


「妥当というべきか、ただ普通の人間としては生きてはいけないだろうな」


「論文に書かれていた二重人格というやつか、治る余地は」


「ないと断言はできんが、まだあの方がマシだろうさ、それよりも襲撃者の特定は?」


「ナイフとクロークか、たしかに特徴的ではあるものの情報は得られなかったが」


「が?」


「それらしき衣装をした男を見かけたという報告もある、関連性も真偽の程は知れないがな」


 衣装か、とするとかなり目立つ格好をしているな

 あのときは行動に移すのに必死だったせいで街を散策できなかったから

 あいつらに話を聞きながら俺も聞き込みでもするか


『全身鎧の男も相当目立つと思いますが?むしろヨミキリのほうが目立ちます』


「……成る程、アルにも同じ報告をしておいてくれ」


「分かっている、その前に大丈夫か?」


「もしかしなくとも……正気の森のことか」


 その問いに対し、当然顔で頷かれる

 そりゃそうか、今回来てもらった理由がこれだからだ


「我々としても何故貴様に使い潰すような真似をさせるか到底理解できないのだ」


「さあな、ただひとつ言えることがあるさ、それは人の世だろうと自然の理だろうと同じことさ、在るものはいずれ必ず滅びる、今回はあの森にお鉢が回ってきただけのことだ」


「自信はあるようだな」


「そのための人員は割いてもらったつもりだ、ところでだ」


 自信なんて有る訳がない、あんなの見せられて少人数で行くなんて頭がおかしいんじゃないか?

 それでもやるしか無いのだから、今こうしてここにいる

 依頼の遂行のためには必要なものがいくつか有る

 それを揃えるためにはまず


「なんだ?」


「依頼についてはもう少し先延ばしに打診してくれないか?こちらとしても情報の集まりが芳しくないんだ、それに教皇の言った言葉が気になる」


 あの時彼は俺らに対して

あれ(・・)天使の失敗作(・・・・・・)です」

 そう言った


 天使とは、神の使いで人を導く、正しき存在

 またある時では罪人を罰し、終末を迎える笛を吹くものたち

 その誰もが美しくその背には猛禽類の白い翼を有している

 全知ではないにせよ人知の及ばぬ力を持つ存在

 そして

 この世界では悪魔と同じく忌み嫌われる滅びた存在

 その力に驕り、支配を目論見そして神罰によりただ一人も世界から追放された

 ここの宗教ではそう記されている

 いや、ここだけでなく双肩をなす神殿連中も同じことを言っている

 唯一つ、とある宗教を除いて

 それはさておいてだ


「それを元締めでもある教皇が口にするのは些か疑問を付さないといけないか」


「そうだ、そしてそれを知っているのであれば何故この国であの森を保有することになっているのかも調べないといけない、そのためにも時間が必要だ」


「それと我々か」


「そうだ、過去の文献、童話や神話、おとぎ話のたぐいでもいい、そうじゃないと対策が立てられない、それで何だが」


 ギルドに仕事を頼む、ましてやギルダーという冒険者とは一線を画している連中に依頼するということは当然金が必要となる


「そうだな、片っ端から書物を漁るということであればそれ相応の額が必要だな、赤金貨を幾らかとまでは言わない青で小判2枚でどうだ?」


「どうだじゃない、これでも相当絞っているんだ小判一枚だ」


「天使に関する情報の大半は教会が握っている、向こうのあいつも使うとしてもさっきの金額でも不足しているんだ、一枚と45枚」


「なら、探しているときに見つける副次情報が手に入るなら一枚十でどうだ」


「話にならん、その分労力が増えるんだ、人手も足らん1と30だ」


「……それでいい、前金で半分、納得行く内容なら残りも、デタラメなら前金だけだ」


「いいだろう、その任務受けた ああ、それとだ

 前金も何も要らん、既にお前のとこのマスターに請求しておいた、ヒーヒー言ってたぞ」


 いや今決めた代金どうやって請求した?

 それどころか依頼内容もさっき決めたと言うのに

 だが後ろの方で金がどうたらとヒーヒー呻いているやつがいるから想像が容易いな


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