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没・Karma Gear Story  作者: D.D
空回りの歯車
72/78

無垢なる混沌

 Side:Marionet

 わかる

 ただただわかる

 あれがおれとにていることを

 すでにおれたちはまけたことを

 ぎゃくてんはもうない

 けれどまだだ

 まだなにかできるはずだ

 てきいをむけているそれが

 さっきではないそれが

 おれをほんきでころすきでないならば

 ただはったりをかましているのであれば

 れんびんのめでみているのであれば

 おれのたちいちにどうじょうしているのであれば

 はっぽうはできないはずだ

 いきのこることはできるはずだ

 にんげんはつづいているみちからそれるのをきらうどうぶつだ

 そしてすくいをもとめているのならうてようはずもない

 せかいをこえようともそれはおなじだ

 ふへんてきなりんりかんなのだから

 もし、ほんとうにころすきできていたとしても

 かれにはどちらがほんものかかくしょうできているはずがない

 のーだめでいきのこるじしんがあるはずだ

 なぜならおれはそういううんめいをもっているからだ

 じゃあ、なんでおれはてをふるわせているんだ?

 どうしてそのじゅうからめをはなせないんだ?

 なんで、おれはあとずさりしているんだ?

 わからない、かれはどうしてふきげんなんだ?

 いやだ、まだおれは


「裏で動くのは得意のようだが表に出たのが失敗だな

 もう狸共のお遊びの時間は終いなんだよ、俺らはこの舞台の主役じゃないただの闖入者だ

 だからこれだけは言わなきゃいけない、人のサイコロで勝手に自分の駒進めてんじゃねえよ、タコが」

「むっふ、そ、そんな!まさかあの者、いやあのお方が!」

「サウル卿、たしか我らを呼び出したのは卿だったそう記憶しておるぞ」


 皆が誰かを問い詰める

 どうでもいい


 うてるわけがない、うてるはずがない!どうほうだろ!


「ぐぬぬ!ま、まだ療養中なのだ!だから致し方なく」

「特に気に入らないのは、見据えたフリして逃避している大馬鹿野郎だ」


 言い訳が聞こえてくる

 どうでもいい


 そんな、やめてくれ よみきりさんはおれたちのあこがれで


「もっとちゃんと転生してればこんなことにならなかっただろうにな、《賢者様》」


 だれか、あのひとのくちをふさいでくれききたくない


「未だそんな戯言を吐くか、白々しい」

「抜かすではないわ!大罪人が!この者を刎ねよ!」

「させるか!教皇の救い人に、その凶刃一振りも通さぬわ!」


 周りの衛兵がヨミキリに襲いかかるが、それをロイヤルたちが阻む

 そんなことどうでもいい


「誰が大罪人だ!こちとら、いきなり巻き込まれるわ爆発されるわ追いかけられるわで散々なんだよ!」


 しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、し

 にたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しに

 たくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにた

 くない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたく

 ない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくな

 い、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない、しにたくない


「一つ、先代教皇が指名する!二つ、その目は魔眼である!三つ、その者は指名するまではたとえどんなことがあろうともその死を回避する!四つ、異世界の魂は教皇になることは断じて無い、そうだな!」

「ええ、そうです、そして私の目は嘘を見抜く、サウル卿何か言いたいことは」

「卿よ、刺客を今更送り込んでも無理だぞ、彼の者の仲間と我がいる限り何人足りとも、我らが教皇を触れさせぬ」

「ええい!ヴァリウス、なぜ其奴に与するお主は反教皇派ではなかったのか!」

「黙れ、外道!私は反教皇派ではない!何度も言っているが先代教皇派だ!貴様聖下を支持しておきながら斯様な企てをするなど腐りおったか!」

「ぐぬ、お、おい!その力もう一度見せよ」


 醜い老人が少年に命令するがもうその目には恐れしかなかった

 銃口を向けているその鈍色のその男に、ヨミキリに

 元の世界での憧れの、あの英雄が

 仲間にならず敵になっていることを拒絶し最早理性が崩壊していた


「うそだ、そんな筈が、何のために僕は、可笑しいだろ!?だって俺は、そんな?主人公じゃ」

「残念だな、そんなメルヘンなドラマやファンタジーなテールじゃ無いんだよ」

「無理だ無理だできるはずがないだって人殺しはいけないことだって!」

「ご生憎だが、そのセリフを聞くのは数年遅いんだよ」

「英雄が、狂人から救ったあの英雄がこんな……!?」

「黙れ、俺は英雄じゃない、そしてアイツを狂人と呼ぶな」

「まだ、まだだ、始まってないのにこんな!僕の物語が――――ァッ!」


 けたたましく響く破裂音の後に少年は右肩に強烈な痛みを覚える

 其処には在るべきものがなく、赤いどす黒いものが吹き出していた


「え、あ・・・・?う、腕が、腕がああああああああああっ!」

「スマンな、元同胞だとかそんなのは知ったこと無いがいい加減その薄汚い虚像は見るに耐えん、どうした?どうせこの程度じゃ死なんのだろう《賢者様(転生者)》は」

「ヨミキリ!何してるの!もう終わったでしょう!」

「なにをしておる、早くその力を使え!儂のために」

「むっふ、黙るのです!威張り腐っている枢機卿を後腐れなく打てるのはそうめったにありません!」

「セドリック殿、貴殿そんなことを」

「むっふ、卿のことではありませんぞ!此奴のことです」

「止めろ!ヨミキリ、殺す気か!」

「鉄屑!その子を止めろ!命を奪ってでも!」


 最早まともな思考ができず暴走していた感情がその少年に力を使わせようとしていた

 秒数を重ねるごとに雑音を増すその鼓動に何も聞こえなくなりついに放たれたその力の名は


「…………〈ケイオス〉」


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