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没・Karma Gear Story  作者: D.D
空回りの歯車
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見据える騎士

 Side:Miraosu


「賛成多数でロイヤルにいる全ての騎士をその爵位並びに名を剥奪することに決定する」


 何だこの茶番は?

 俺らはヨミキリを捕らえるために来たんだよな?

 なのに既に捕まっていて、更にはそれを成し遂げた直属護衛騎士隊がどうして弾劾されているんだ?

 なぜ俺らがここに喚ばれたんだ?

 彼処に立たされている教皇が偽物?本物がアレ?

 どうしてそうなるんだ?

 それにどうしてヨミキリは犯行を認めもしなければ否定もしないんだ?


「……も、もう一度質問をしてもよろしいですか?」

「むっふ、良いですぞ」

「どこで教皇様を保護なされたのですか?」

「むっふ嗚呼!何とお労しや!聖下は言うにも憚るところに監禁されていたのです、我々が気づき可及的速やかに救出せねばどうなっていたところか!」

「してセドリック殿、私にも聞かされておらんことではあるがその場所は?」

「むっふ聖下が、ショックで声が出来ぬなんてそのような場所などわかりきっているではありませんか?」

「もしや・・・・彼処か!?」

「むっふ、左様其処です」


 いや、何処だよ?

 勝手に二人で通じあっているんじゃない


「セドリック大司教、その場の名は?」


 何処のどいつか知らないが、よくやった


「神聖教国の最大の汚点である彼森、正気の森ぞ!」

(なあ、ミラこれどう思う?)

(帰って寝たい、再洗礼も無碍になったし)

(なーんか、ヨミキリが完全に白になっちゃってる気がするの私達だけ?)

(みたいだな、どいつもこいつも人の話を聞きやしない、何のための裁判だ)

(全くだ・・・・ん?裁判ってなんのことだ)


 3人で話していたはずなのに……

 幻聴・・・か?


「くく、くくく、あははははははは!!何だこの茶番もう無理反吐が出る、あはははは!」


 騒然としている場でヨミキリは笑い始める

 ようやく収まったと思うとおもむろに立ち上がった

 つけられていた手枷もいつの間にか外れており、壇上につかつかと上がっていく


「ダウトだ、誰か嘘を見破る奴いるならわかるはずだ、こいつは今日ようやく嘘をついた」

「黙れ下手人、何故貴様が生かされているのか分からんのか?」

「何故ってどの故だ?俺が今生きているのは別にお前に生かされているからなんかじゃない、俺が生きるべきだと判断したからだ、其処に神だの運命だのが入り込む余地はない」

「何を戯れ言を」

「お前らこそ何戯けてんだ?そいつが本物だって、そんな詭弁簡単に潰せるだろ?それとついでにさっき決めた取り潰しも」

「ほう?貴様ごとき戯言聞かずにここで断罪しても良いのだぞ?」

「出来ないことほざくなよ程度が知れるぞ、それとも一介の聖職者ごときが私刑を執行していいとは大層な教えだな、ん?」

「何が言いたい?」

「簡単な話だ、よく見ておけ」


 さっきまで持っていなかったはずの左手に到底人に向けていい威力ではない拳銃を持っていたのを発見してしまい行動よりも先に口が動いてしまう


「あ!?いつの間にそんなゲテモノ持って居やがった!?それを人に向けんじゃねえ!!本当にそんなことしたら個人の問題どころの話じゃなくなるぞ!」

「ミラオス黙ってよく見てな、今から証明してやるから」


 その言葉に反応して咄嗟に武器をヨミキリに構える俺達と一拍置いて反応した直属護衛騎士隊はその後に響く轟音によって竦んでしまう

 その火を吹く銃の先にいた偽物と断じられていた教皇は何処にも傷はなかった

 代わりに明後日の方向へ飛んだ弾丸は天窓を容易くぶち破った

 そのガラス片が教皇の元へ降ってくるが、周りに落ちるだけで不自然なほどに際立った一線を境に一欠片も落ちていなかった


「教皇はその死期を悟るまで絶対に死ぬことのないだったか?」

「そんな…あり得ない、先代のそれとは性質が全く違う……」

「うっわー……絶対ど叱られる程度じゃ済まされないでしょ……」

「さて、しっかり狙ったはずの弾が逸れて更にその二次被害すら一歩も動かず回避したこいつと」


 フルフェイス越しでもわかる明確な敵意をそれに向けながら不機嫌にその言葉を紡ぐ


「一度だけ問うぞ其処に無表情で突っ立って居るそいつ、どっちが本物だと思う?答えろ」


 最早明白だ、傷一つ付いていない彼が教皇だ

 その事実に誰もが閉口しているほか無かった、大きな茶番だった

 結局何がどうなっているのかわからなくなったが、この一件は落着だな


「ふぅ、肝が冷えたぞヨミキリ、なんだってこんなことになったんだ?」

「何を言っている、まだ終わってないぞ」

「そうじゃよ、不埒漢よ 上手く出来た舞台だったようじゃが、そこのものは偽物じゃよ

 儂が保証する、と言うより外れの地下牢獄にて発見したのはほかならぬ儂じゃからな」

「何が言いたい?さっき起きたことをよく見てなかったのか、ありゃどう見ても」

「黙るがよい、飼い犬無勢が、誰の許しを得て口を開けておるのじゃ、閉じよ

 卿よ、我らが聖下は地下牢獄で拷問にあっていたセドリックはそれを勘違いしたのじゃろう、それを含めてもあのモノらはあまりにも醜穢、今ここで罰するべきじゃの」

「……」


 やばい、やばいぞ

 俺でも今喋ってる奴が誰かわかる

 ここにいる中で最も発言力が高いサウル枢機卿

 その言葉は教皇に匹敵するという

 その人が其処のアレを本物というならそれが正しいということはなるほど

 それだけの信用があるってことだ

 どうする?

 ヨミキリはどうするんだ、って欠伸するな!?


「ふわぁ…ふーん、で?」

「何じゃと?」

「それが万一それが本当ならおかしいなぁ」

「何が言いたい」

「だってそいつ誰がどう見ても別人じゃん、そうだろミー?」

「気安く呼ぶな、屑鉄」

「…ミーティアさん、この人どう見ても別人ですよね?」

「おいおい、瓜二つだろどう見ても やはりその仮面前見えてないんじゃないのか」

「命乞いにしてももっとうまい言い方あるよね?」

「俺の仲間が俺に厳しすぎる……泣いていいか?」

「見苦しい、だがそうだな魔道具で顔の認識を弄っているという意味ではそうだな別人だ」

「なっ!戯言は止せ!」

「そして、シャネム教皇」

「はい?なんですか、名義上大罪人ヨミキリ」

「……何でしょう?」

「はいここでお前対応に考えたな?応えるべきか悩んだな?そして答えたな?」

「何が言いたいのかのう?其処のものらも所詮下手人の仲間、引っ捕らえるべきじゃな」

「そう急くなよ狸、本当に拷問されたというなら、ここに来ることなんて常人ましてや善意の塊である教皇なら、俺を見た途端に使い物にならなくなる、そうだろう?」


 話には聞いたことがある、戦争に帰ってきたものの中には刃物が見れなくなるというらしい、心が弱い奴がよくそうなるとも聞いた

 そういった荒事を周りから護られていた教皇なら、あるいは……


「ほかの理由を幾つか述べると、拷問という割には目立った外傷が見えない」

「見えない部分を傷つけたのだろう?楽しむために」

「すまんが男は守備範囲外だ、大体内部の傷なら其処に立つことさえ困難だろう?」

「それは、教皇が治癒魔法を掛けることを我々にお頼み申したからだ」

「!」

「あっそ、第二にミーティア、この部屋の中に切れかける程古い魔道具もしくはいる魔道具は?」

「さんをつけろ、ガラクタ……全部正常に稼働している新品だ、だが一種だけ警戒から外されている魔道具がある、偽装系だ……そうか偽装系で武器を持ってけばよかったのか」


 それはそれで止めようか、問題ない状況だったらバレたら色々とやばいから


「…………だそうだ……、ではここで一つお披露目しようミラ、お前なら覚えているだろう?」


 その手に持っているのは……ベルゴース迷宮の一件で回収していた制御装置

 その効果は一級品のアーティファクトですら効果を打ち消す

 だがその代償として定期的に生け贄を必要とする

 本来なら使えないそれは、以前吸い取っていたあの大蛇で賄われているはずだ


「すまないが、立場上それをさせる訳にはいかない」

「解ってるさ、だから好都合だ、よーく見てろよ」


 その装置が一体何かを知っているのは俺だけでそれを振りかぶろうとするヨミキリを誰もが凝視した

 そしてその頭が、

 …………へ?取れた?なんで?

 まさか本当に人間じゃなくて鎧が本体だったのか!?


「ま、またぁ!?」

「まて、ここの魔道具が……!?」

「二番煎じサイコー、だが今回はこっちも着込んでんだよな」


 バラバラに崩れた鎧から目を離し声が聞こえている方向には全く同じ姿のヨミキリが

 左手には銃、右手には掴み取った魔道具が、そして銃口の先には

 教皇と同じ背格好の黒髪黒目の少年が立っていた


「さて、今回の事件はクライマックスだ、で大嘘つきは誰だ?」

「見っけ、あなたですね」


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