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没・Karma Gear Story  作者: D.D
空回りの歯車
68/78

動き出す騎士

 Side:Miraosu

 三日後

 教城アルテミナ 城内

 昼の0時


「うわー、本当に入れるなんて、夢にも思わなかった あんなのより趣あるし」

「これは……壮観だな CGUCにあるのよりももっと厳かで趣味が良いな」

「ギルドに対しての嫌味をサラッと混ぜ込むのやめてくれないかな!?」


 全く……たしか派手なだけだがせめて俺のいないところで言ってくれないか

 いや居ない所で言われても嫌なもんは嫌だが


「それでも、君がいるおかげで此処にこれたからそこは感謝しないとね」

「ちょうど再洗礼の儀があったから好都合だっただけだ」

「そんな古風なのを続けているとなると名のある貴族なのようだな?」

「CGUCに来るときに勘当された上に、それっきり此処に来たのは今日が初めてだ

 むしろこんな廃れた風習を知っているお前はどうなんだ?」

「はい、やめーこれ以上の不和は私が許さないし、それよりすることがあるでしょ」


 さてと、魔道具使いがいうことが正しければヨミキリはここにいるはずだ

 手分けして探したいが俺はこの後の儀式で動きづらくなってる


「私も無理だね、できることが一切ない、ミーは?」

「周囲に魔道具探知が張り巡らされている、ここ最近取り替えたのだろう不調も一切ない」

「つまり?」

「隠蔽用に持ってきた魔道具の全てが無意味だということだ」

「お久しぶりでございますミラオス殿、いつもの手はずでお願い致します、そちらのお嬢様方は洗礼の儀ですので武器の類は全てこちらで預け賜ります」

「きゃっ!?」「なんだ!?いつの間に」

「あ、ああ、分かった、今回はどの洗礼の場なんだ?」

「誠に申し訳ありません、少しばかり事情が混み合っていましてまだ通達されておりません、それまでくつろいでいただけるよう、客間にご案内いたします」


 相変わらずいつ現れたかわからない登場の仕方をする老執事姿の案内人

 いつからこの仕事に就いているかと聞いても

「少なくとも貴方が最初に来なさった時にはおりました」

 と煙に巻く不思議な人だ

 その案内人に客間に案内される間

 小声で相談を始める


(どうする?武器を預けるのは致命的だよ)

(私に至っては丸腰になってしまう)


 再洗礼の儀を知ってるのに洗礼の儀を受けてないってどうしたらそんなことになるんだよ


(色々あったのだ、余計な詮索をするな)

(済まない、しかし困ったな、何かきな臭いし最低でも護身用の道具は持っていたほうがいいよな?)


 結局それに対しての打開策は見つからないまま客間についてしまった

 総本山なだけあって、警戒態勢は厳重だから下手に武器は持ってこれないからな

 再洗礼であっても、持てるのは刃を潰したナイフだけ、無茶にも程があるな


「こちらでお待ち下さい、必要とあらば飲み物等を用意いたしますので気軽に申し付け下さい、なおできるだけ部屋から出ることはお避けください、迷子になられてはこちらも手間がかかりますゆえ」

「ああ、わかった、一つ質問いいか?」

「なんでございましょうか?」

「本当に俺のこと覚えているのか」

「ええ、ミラオス殿6年と7ヶ月3日ぶりでございますね見違えるほど凛々しくなられて感激の極みでございます」


 おおう、しっかり覚えているな!?


「そ、そうかそれは良かった、もう一ついいか」

「いくらでもなんなりと」

「いま洗礼の儀をする余裕ないんじゃないのか?」

「なんのことですかな、本日は珍しく洗礼を希望する方が多いだけです」


 図星だな、眉をほんの少しでも顰めるとは老いはあるようだな

 一枚上回ったことに少し優越感を得つつそのまま言葉を続ける


「にしては人の出入りがひどく少ないな、記憶していた時と比べて不自然なほど」

「再洗礼の儀を所望する方が多くて、そのもてなしに」

「それはおかしいぞ、それを毎年 行えるものは各国の大貴族もしくは協会に近しい者を含めても数える程度しかいないそれほどの額だ、それに再洗礼の儀の重要性を記されている書物は某書物の初版だけだ」

「更に言うと、ここアルテミナ城でもその事実を知るものは限られているはずだ」


 洗礼の儀に比べ再洗礼の儀にかかる費用は桁二つは違うからな

 そうやすやすと行えるものではない、それこそ事前にコツコツ6年間貯めるとかしないかぎりな

 それに傍から見ればあることは知っていてもただの金食い虫にしか見えんからな


「……博識ですな」

「案内人、アンタが全て教えてくれたはずだぞ、忘れたのか」

「運良く、その初版に巡りあって調べていた時期があったからな」

「……何が起きているのか知っていてわざわざ?」

「そうだ」

「そうですか、なら今回の儀は後日に立て替えておきます、ご武運を」

「何か知っているのか?」

「では失礼します」

「ちょっと待って!」


 踵を返してそのまま立ち去ろうとする案内人をミルスが呼び止める


「何ですかな、答えられることはもうございませんが」

「……この空気で言うのも何だし再洗礼の儀が何かは知らないけど……ホットミルク、もらえない、かなぁ?」

「……承知致しました、係りの者に申し付けておきます、それでは1時間ほどにまた」


 英気は養わないとな、この後は案内人がお膳立てしてくれるだろう

 一体何が潜んでいるかわからないが、おそらく場所は

 

 Side:Mastermind


「首尾の方は如何に?」

「事前に予約されていたミラオス様と他二人の冒険者には中止についての知らせが届かなかったようで、既に城内に 更に、教皇が誘拐されたことも知っている模様です」

「ちっ、ロイヤル共め余計な仕事を増やしてくれおって、民の混乱は避けねばならぬというのにそれさえも分からんのか、私が取止めさせなければ麻痺していたところだぞ」

「誠に然様でございます、更に報告がいくつか有ります」

「今度はなんだ!」

「まずは、冒険者の一人にかの家の娘がおりました」


 かの家……ああ、あの没落した貴族のか

 何のためにここへ来たのやら、事が終わったら楽しませてくれるわい


「他は?」

「ロイヤルと教皇それと今回の囮(ヨミキリ)の行方がわからなくなりました」

「何をしておる、あの役立たずはともかく教皇と囮はしっかり見張っておけといったであろう」

「ですが、冒険者達の態度から見るにここに来ると予想できます」

「それは真か?」

「御意に」


 探知のたぐいか

 漠然としておるからわかったというわけか

 この後引き込めばよかろう

 上手くいけばあの野蛮連中を好きに扱えるであろう


「以上か?」

「ええ、全てが終われば貴方のものでございます、では失礼します」


 くふふ、あの小生意気の若造が教皇なぞおかしいにも程が有るわい

 長年枢機卿を務めていた儂に、さっさと譲ればいいものを

 この計画のために一体どれだけの月日と金を費やしておったと思う?

 全く手間を掛けさせおって、最初の計画すら回避しうるあの小童の運もここに尽きたりだな


「ぐふふ、全ては私のもの、神よ見ていてくだされいずれ私は!」


 監視用の魔道具の類はわざと経費を削り、マナを少しずつ乱し、儂の力によって暴走した魔法陣の転移先を固定し、刺客を送り込む

 それでダメなら助けたやつを誘拐犯に仕立てあげ、更にこのような失態をロイヤルに追求し失墜させ、傀儡と教皇をすげ替えれば良い

 民に教会について嗅ぎ回れないように根回しもした、冒険者も余計なのが入ったが立ち入りも禁じた

 誠に儂さえも惚れ惚れするような完璧すぎる計画じゃな

 失敗する余地などあるまい

 どれ、少しおびき寄せてみるか


「のう、案内人よ、居るか?」

「なんでございましょうか、枢機卿猊下」

「枢機卿と大司教たちを招集せよ」

「場所は何処に致しましょう?」

「言うまでもない」



「初代教皇が建てなさったこの教城の謁見の間に決まっておろう」

「……かしこまりました」

 ―――

「初代教皇が建てたとされるこの城の謁見の間だな」

「はぁ!?なんで?」

 ―――

「アンタのご先祖さんが建てた城の謁見の間へな」

「いや別に教皇の座は世襲制じゃないですけど」

 

 ~~

「それは?」

「私は復讐のためにCGUCに入った」

「復讐か」

「幼いころに、私の家族を奪った貴族を私は許さない、あの腐った国の!」

「アンタのところのマスターはそれを」

「もちろん知ってるわよ、知っても尚止めようともせず入れてくれた、それには感謝している、でも彼は何も協力しない、後ろ盾だけ、私がそう望んだから」

「……何処の家なんだ、場合によっては」

「ジョージ・フォン・ベラルバルドフェルツ、それだけは覚えている

 あいつがやったように末代まで報復する、必ず、あの子のためにも」

「!?……確か、アーラスの」

「そいつに近づくには、名誉が必要、だから私はここに入った」

「……そうか、叶うといいな、できれば赦すのが一番だがそれは望まないだろうから俺派なにも言わない」

「礼は言わない、他言も許さないから」

「ああ、俺は寝るとする後は頼んだ」




「末代まで、か できるならやってくれ、その方が楽になれる」


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