表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没・Karma Gear Story  作者: D.D
空回りの歯車
59/78

止まらぬ歯車 Ⅲ

 魔物の行進、通称氾濫

 各所において魔物が多数出没し始める

 これだけ書けばまだ対処は可能と思われるかもやしれない

 要は、堅いだけの奴らだからだ

 だがこの中にはこう含まれている

 北から現れ南下していくに連れ密度、範囲、個体強度、変異数が増加する

 更にこれらは種族関係なく群れで行動を始める

 この群れは人間が多数いるところにめがけて移動を始め襲い、合流しまた別の所を襲う

 これを繰り返す災害だ

 対抗策は、早期発見による早期討伐、そして群れに一体だけ存在する頭の討伐

 リーダー格を討伐すると、散り散りになりながら北へと逃げるらしい

 この対抗策を終わるまで続けることで抑えられる

 もっとも、それを維持するだけの物資がないから常にたんこぶ状態だ

 ちょうど今、その兆候というべき、混生魔物群が発見されたという報告が先日CGUCに発布された


「所詮は魔物、練度は取るに足りない、だが物量と持続力は馬鹿に出来ない、実感したんじゃないかい?どうだったんだい?一人で戦う無力さは《・・・・・・・・・》?ここからはうちの話だからミラオスくんちょっと席を外してくれ」


 ミラオスは何かと言いたげな顔をしながらしぶしぶ部屋から出て行く

 たしかにこれは、他ギルドが聞いていい話ではない

 現地で見たものしか知ることの出来ない事実も含んでいるからだ

 それを見送ってから、意味が無いとわかりつつもアルを睨みつける


 混生魔物群が発見された

 この情報は、情報系のギルドは既に掴んでいるらしいが公表はまだされていない

 ましてや、出没区域以外の地域は話題に登ってすらいない

 にも関わらず、情報を受けてから行動するこのギルドがいち早く知っているのは


「詳細な規模、発生推定場所、発生推定時刻そして被害規模が書かれた調査報告書はよく読ませてもらったよ、これに関してはご苦労さまというのが妥当だね、お騒がせ二人組とヨミキリ」

「確かに毎度毎度似たような事にはなってるけどその呼び方は不本意極まりないよ?」

「うぐ・・・・否定出来ない」


 全部あんたの仕業だからでしょうが、とミルスは頭を叩きながら言った


「と言っても君達以外にも複数名送っていたんだけどね

 まあ、でもその中でも君達が一番詳しく書かれていたことは確かだし、それに関しては感謝してるよ」

「言いたいことは山ほどあるが、口にしたところで無意味なのが腹立たしいな」

「んじゃ、一応形式だから口頭で説明してくれ」

「合わせて報告しよう

 被害村数及び街数は6郡と2都市

 軽傷者387名中重傷者158名死亡者26名、なおこれは現時点での被害数だ

 現在大きく4つある中規模及び大規模魔物群は報告書の通りその場で待機、それ以上の動きは見られていない、以上だ」

「他の調査隊を合わせるなら総被害者数は1000人を超える、相当大規模になっているみたいだな」


 更に今回は今までの時期から考えて、規模の拡大するスピードが早いらしい


「各所連携ギルド及びクランに呼びかけるべき?」

「もう連絡してある、後のことは彼らに任せればいい」

「以上か?」

「ああ、そうだ―――それと君たちに伝えるべきことがある」

「?」

「自身の命を最優先で大切にしろ、さもなくば周りが先に死ぬ、肝に銘じろ」

「当然だ、命あっての物種だからな」「でも周りを助けるのが私達の仕事だけどね」

「了解した」

 

「意外と遅かったな、何の話だったんだ?」

「前の仕事の結果報告だ」

「結果報告って・・・・普通は受付じゃないか?」


 中央ギルド、職人ギルドや情報ギルドなど多くのギルドは依頼の結果報告は受付で簡単に済ませることがほとんどだ

 手間や経費を鑑みて見るならば、その方が圧倒的に得だし楽だからだ

 だが、中央ギルドや内部不透明の評議会ギルドを除いた3ギルドは、請け負う仕事の種類が特殊であるがゆえに、直接報告しに行ったりすることが多い

 とはいっても、ワールドスカイに関しては部隊で行動することが多いから部隊長が報告するだけで、賢魔書庫もよほど特殊な依頼でもなければそういうことはないと聞く

 だがここメタルズギルドは、主に国家が介入しにくい若しくは出来無い迷宮探査や魔物の大氾濫の沈静、国が鎮圧できないほど暴徒化した内乱の鎮圧など、規模の大きい依頼を解決に当たるため、一つ一つを正確に把握しないといけないため、直接報告の義務が生じる

 更に言うと次ギルドが抱えている支部ギルドやクランは定期連絡会時に報告している

 そんなことをミルスが噛み砕いて説明すると


「なるほど、たしかにここはかなり異質な依頼を請け負ってるらしいしな、それに他ギルド連携もたまにとっているからそういったことも連絡しないといけないのか」

「結構パーティ規模ならこちらが雇って解決するのはあるんだけどね、どちらにせよ一人若しくは今回のような事例で少数メンバーで事にあたるのは結構珍しいよ」

「ミルス、珍しいというほどのことでもないぞ、現にヨミキリもそうだし、ジョーたちやゴブリン爺さんたちもだぞ」

「その少数って、規格外連中のことだよね・・・・ジョー達然りマスター然り」

「その4人組今日はいるみたいだからそこで消耗品買ってから、各自必要な物を揃えるか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ