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没・Karma Gear Story  作者: D.D
組み込まれた歯車
52/78

透明な歯車 Ⅳ

 Side:Yomikiri

「なる、ほど、そういう事だったか」

「何故隠し続けていられたんだ?」

「そう根回ししてくれたからです。あなた達のギルドマスター、アルンクレス殿に」

「ああ、スマンな自己紹介遅れた。俺は、ワールドスカイ所属銀の座のミラオスだ」

「そうでしたか。それで彼は何も言わずただ黙って黙祷を捧げてくれました」


 アルンクレス、あいつそんなシリアスなこと出来たのか

 その剣とこの箱の入手経緯と背景は分かった。後は


「どうしてです!何故私達を殺したのです!」

「仕方がなかったのです。この制御装置の関係で、そしてあなたの勘違いの暴走で」

「確かにこいつは素晴らしいものだ。描き方を変えることによって、ここまで強い遠隔装置、いや制御装置を作ることに制作したというわけだ」

「ですがそれは決定的かつ致命的な欠点があります、それは」

「「維持として定期的に生贄が必要になるからだ(です)」」

「当然といえばそうか、アーティファクトだろうが、魔道具だろうが強力なものはそれ相応の対価が必要になるわけだ」

「あいにく私は魔力の制御は芳しくなくこうするしか他ありませんでした」

「この箱の正体については知っていたんですね!父さん!」

「ええアルさんから」

「やっぱり知っていたのか」

「そしてこれを託してくれました」

「何故今まで大丈夫だったんですか、街長」

「だからです、あの二股の蛇がいたのは」

「幼体の時に同時に制御装置を設置しておいた箱を食わせ穴に埋める、そして時折定期そのまま帰らなくなった冒険者を生贄にしていた」

「しかし、ここ最近18階層に留まる方々が多くなりました」

「確かに中級昇進のために23階層まで行くことになっていたとしても、それ以降行く人はいない、ここ最近じゃニュービーも少ない」

「それに蛇が大きくなり、身を出し始めました」

「おいおいいくらなんでもおかしいだろ、なんで生きてんだよ」

「私も驚きました、せめて、生贄が整うまでの間のその場しのぎだったのに」

「資料に違和感を感じた私は父さんを問いただし、調査隊を結成しました」

「先回りして無理やり地下に埋め込みました。バレるわけにはいかなかったので」

「?待ってくれベルゴース迷宮は腐っても迷宮だ、どうやって壁や地面を?」

「20階層までは実は準迷宮なんです。壊れないわけではないですが壊しにくいのです」

「というか、数百年前は今の20階層が階層なしの地上で、地盤が変動したことでそこまでの間を掘り進めなくてはいけなくなった。そして昇降機が出来た。だから罠がなく生物しか出てこないんだ、元々はな」

「その通りです。調査隊は帰ってきませんでした何日も何日も!」

「そういえば調査隊が組まれる前に品の悪い冒険者がいたらしいな」

「18階層を牛耳っていて迷惑な方々でした。程なくして昇降機の使用を禁止しました」

「ひょんなことから何故か地面から生えている蛇を見つけ、バカ共が剣で刺してみたからか」

「結果として何らかの形で制御装置が外れ、それを拾った彼らが18階層で死亡」

「それで今に至るということですか・・・でも言う訳にはいかなかったんですか」

「ええ、それは仲間の名誉のために言う訳には、いかなかったんだ!」


 チェックメイト

 今現在箱は制御装置を取り付けている、だがなにか引っかかるな

 なんで飲み込ませたはずなのに心臓に?

 どうして蛇は生き残れた?

 話から見てまだ小さかったはずの異業種がどうやって異常種に?

 待てよ・・・元々魔物化していなかった異業種を入れたのか!

 それが魔物化、更に偶然が重なり異常種に

 そして誰かが埋め込んだ?だれ


 〈危ない!〉


「ん!?」


 反射的にのけぞり見たのは、剣の残像だった

 のけぞった結果、そのまま倒れこんでしまう

 銃は咄嗟に取り出せない


「ちっ!抵抗されたか・・まあいいや、ご名答。御二方(おんふたかた)

「ミラオス!」

「わかってる!皆は外に出てください!」

「させるか!―――カン! 邪魔すんじゃないわよ、生体が!」

「銃弾を見きっただと!?」

「ハハハ!舐めてんじゃねえぞ坊主、俺を誰だと思ってやがる」

「俺はチョーメイだ」「私はキキ」「ベルクだ!」


 多重人格者だと!?どうなってやがる!

 牽制として撃っても全て弾かれる


 〈彼を助けてくれ御方(おんかた)


「弾が切れたか」

「もらった!」


 すさまじい切り上げでミラオスの盾が弾かれ、後ろで彼を援護していた俺に肉薄する


「俺のを使うのは癪だが!まずお前だ!」


 いくらなんでも生身じゃ勢いのついた剣を受けることは無理だ

 だから左手で思いっきり剣を受ける、金属と金属がぶつかる、そして裂ける音

 剣がガントレットを切り裂く、だが切れない


「義手だと!うぐぁ!」


 怯んだ隙にマジックアローを打ち込み、訳あって仕舞ったショートソード、いや今受けている剣のもう片方を取り出しおもいっきり打ち合う


 〈全くもってすまねえ助けてやってくれ〉


「それは・・・ドナウの!」

「今持ってるだろうがこの怨霊が!」

「違う!アレだ!」


 なるほど今あの剣(ベナ)彼のせがれ(ベナ)が持っている

 何故ベナは部屋から出て行かなかった!


「ヨミキリ!」

「ちっ!止まれ!」


 完全に狙いはベナに向かってやがる!部屋全体にミラージュを!


 〈お願い!〉〈頼む!〉〈どうかあいつを〉

 〈〈〈助けてやってくれ!〉〉〉


 黙れ思考の邪魔すんな!


「発動!」

「御方よ!邪魔をするな!」

「断る!」


 幻術を切っただと!?術式は甘くなったが切れるものなのかよ!

 ドナウが跳躍してベナに!

 リロードは終わったが、もう間に合わないか!


「そこまでだ、ドナウ。いや彼剣(かのつるぎ)の怨霊よ」

「!・・・・アルの旦那か!邪魔をすんな!」

「地にひれ伏せ、者共よ、我が盟友のために!グラビテーション」


 勢い良く開け放たれたドアとともに一本の線がドナウの剣に吸い込まれ剣を弾く、長いマントを羽織った革鎧のアルがガントレット型のクロスボウに矢弾を再装填しながら入ってくる


「ぐっ!ギルドマスター、どうしてここに?」

「キキか、ヨミキリくんが箱を回収したと聞いて早馬で来たんだよ」

「御方にはいつも感謝してるが俺達にはしなきゃならないことがあるんだよ」

「すべきこととは何だ、チョーメイ」


 剣の怨霊?一体・・・どういう意味だ

 待てよ、さっきの話には可怪しいところがあった

 踏み潰されたもしくが、突き刺されたのどちらにせよ、外的損傷が見られなかった

 いや語弊がある、切り傷以外見受けられなかった

 ドナウが嘘をついていた?


「復讐だよ、こいつのな」

「とう・・・さん?」

「ようやく喋ったわね、坊や。直ぐに名前つけてあげるからとびっきりいいのをね」

「無駄と言っておろうに、発動」


 剣を床に突き立て立ち上がろうとしていたところをアルが拘束魔法で拘束する


「くっ!魔法が使えないとは厄介な体だ」

「復讐・・・それはその剣のせいであろうに」

「たとえそうでもこいつさえ拾わなきゃこうならなかった」

「どういうこと・・・何ですか?」

「さも本当かのように言っていたがあいつは俺らを殺したんだよ!」

「それは俺が記憶を改竄したからだ」

「そんなの関係ないわ!」


 〈彼を責めないで!〉

 〈悪いのは彼の異変に気付こうとしなかった〉

 〈俺達なんだ!〉


「ふぅぅぅはぁぁぁぁ」

「どうしたヨミキリ君?」

 《いつまでそんな奴らに乗っ取られてんだてめえわよぉ!》


 〈お前はいつだって自分を抑えていてよぉ、俺達にさえ悩みを打ち明けてくれなかったとしてもな!〉


「ヨミキリ?」

 《御前はそんなとこで折れるような輩じゃねえだろ!》


 〈それでも御前は自分の剣で戦ってきたじゃねえかよ!〉


「なるほど、そういうことか」

「どうし、たんですか?」

 《あなたはいつだって私達のリーダーよ!》


 〈いつまでも誇らしいリーダーよ!〉


「ミラオス!剣を奪え!両方な」

「あ、ああ」

「いや、いい少しの間貸していただけだ。大丈夫だ」

「・・・・・・」


 一体どういう原理で魂が宿っているんだ?


 動かなくなったドナウからその剣を引き抜き持っていた剣と合わせる


「お、おいヨミキリ」

「それでいい」


 分かれていた2つの剣が元からくっついてたかのように継ぎ目が消える

 剣自体が持っていた情報やその所有者と切られた対象の情報がゆっくりとだが頭のなかに入ってくる

 なるほど、この剣はそういうことなのか、胸糞の悪い剣だ

 人が作りしアーティファクトか、馬鹿馬鹿しい


「そいつはお前のものだ大切にするといい」

「銃がメインなんだが」

「状況によって変えるんじゃなかったか?」

「・・・わかった」

「ドナウ」

「・・・・・はい」

「この度お前のやったことはひどく人道に逸れる行為をした、その罪はお前がよく知ってるだろう」

「はい」

「よってお前に罰を与える」

「はい」

「お前の息子ベナをこの街の長とし、お前はその一生を持ってして彼を支えよ」

「は・・・い」


 まったくもって甘い男だ

 どいつもこいつも


「暑いな」

「それを言うな暑くなる」

「そんなことより疲れた」

「<そろそろ私達使ってくれてもいいんじゃない?>」

命令(オーダー)、俺がよしとするまで喋るな、それと周囲の気温を数度下げろ」

「なんでくっついたら喋るんだその剣」

「俺が知るか、そういうアルこそなんか知ってるだろ」

「俺も知らん、これを造った輩なんて会ったこと無いからな」

「というかちゃんと守ってくださいよ!」

「うるさいぞジョー、前向いて運べ」

「ひどいよカルツさん」

「まあこれで金も増えたし、どうするか」

「そういえばある国で内戦が起きそうだなぁ」

「てめぇが行けこのイカれたマスター」

「せめてイカすと言ってくれないか」

「イカマス」

「ガハハハハ、こりゃ最高だ!」

「イ・・・イカマス、くくく」

「おい!お前ら!」

「ああ、後砂も集めさせてもらうぞ」

「いいですけど、何故?」

「ガラスが必要になるからな」

「鎧にですか?」

「ああ」

「後で作り方教えて頂いても」


 設計図はもう出来た、後は材料を集めるだけ

 先の戦いにて、鎧の行動機能のほとんどが逝かれた

 修理若しくは作りなおさないといけない

 それで今は脱いでマントで日差しを避けている

 後何日したら帰れるのだろう


「なあ、ミラオス」

「どうした?」

「どっちが本当だと思う?」

「・・・・・俺は彼の話を信じたい」

「そうか、俺もだ」

  

 Side:???

「彼がまた鍵を見つけたそうよ」

「左様ですか」

「楽しみね、その鍵が壊れるか耐えるか」

「よろしいのですか?」

「当然よ、それで壊れたら元からダメだっただけの噺よ」


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