透明な歯車 Ⅱ
Side:Unknown
鎧の二人組が来て早6ヶ月
30階層までの変動が見られなくなったからその階層までなら解禁になった
つまり、蛇を殺しアレが壊されたとほかならない
くそ!
いや、だがしかしまだ彼奴等は私のことを疑っていないみたいだ
不測の事態とはいえ、ここは穏便にしなければならない
遠隔の魔道具があの寄生虫どもに壊されるとはまったくもってけしからん
どうするべきだ
ガシャン
しまった。また来てしまったようですね。だがこの剣があるかぎり私は大丈夫です
「そうこれさえあれば・・・」
「いったいその剣に何が隠されているんですか?―――――」
「!何故あなた達が?」
「ノックをしなかったのは謝ります、事件が解決したので、その報告に上がろうと思いまして先ほど迷宮から帰ってきました。あなたの息子さんとね」
「俺も忘れるなよ」
「父さん!あなたって人は!」
「そう激昂なされないでください。ではここに至るまでのことを皆様に聞いていただきましょう」
なんと、冒険者達、ここで住み込んでいる住人そしてあの二人みな集まっている
一体どうしてだ!何故バレた!
決してばれないように振舞っていたのに!
「話は、ちょうど3ヶ月前ですね確か38階層目辺りでしょうか」
「その言い方違和感あるからやめろ」
「あいよ、じゃあ話をするか」
Conversation
そうだなあの時は
「ほんとにあの人が犯人と疑うのかよ」
「無骨もんのくせにこういう時だけ騎士ぶんなよ」
「俺は元から騎士だ!」
「分かった分かった」
「助け・・・・・てくれ」
ああ、こんな感じだったな
微かに助けを呼ぶ声が聞こえなかったら気づきもしなかった
今思うと奇跡だった
正直面倒だったがミラが助けるぞ!、と聞かなかったからな
むしろ助けるべき相手を面倒という理由で見捨てるお前もどうかと思うんだが
そんなことで見捨てられるかも知れなかったんですか!
話の腰折るな、だいたいあの階層で助けてしかも生かして戻れというのがおかしいんだよ
それはともかくとして、運良く5ヶ月間さまよっていたこの男の息子を生還させたんだ後
でたっぷり報酬いただくからな
この外道!
騎士が金に目をくらませるなよ・・・で、戻すと
「助けてくれて有難うございます。私はベナです」
「ヨミキリだ、こいつがミラオス」
「どうも、どうしてここに?まだ解禁していないはずなのだが」
「どういう事ですか?」
「封鎖していることを知らないとなると・・・調査隊か?」
「え、ええ半数は死んでしまい仲間ともはぐれ気づいたらこんなとこに、ここはどこですか?」
「ベルゴース迷宮の38階層だ」
「なんですって!早く戻らなきゃあの男が!グッ!」
「落ち着け、まだ応急措置も終わっていない。第一あの男とは」
「あいつです。―――です!」
「やはりあいつか・・・おかしいと思ったが」
「早く行かなきゃ!」
「だから待て、術式発動ヒール」
「っておい使えたのかよ!」
「詞を聞いて描くのは至難の業だった」
いつ聞いても頭おかしいよなお前
ひどいな、難しいが誰にもできるだろ?
そんな奴はお前しかおらん、で無事何事も無く帰還した我々
何事もありましたよね!アナコルダ3匹に追われたり、何故か出没したサンドゴーレムを倒したり!
そんなこともありながらも帰還した我々は、証拠を集めるため、更に奥へと向かったのです
宿屋で閉じ込められましたよ僕・・・
必要な証拠、ではなく証人なのでな
完全にモノ扱いですよね!
そんなことは置いといて50階層
結構飛んだな
ああ、予想外だったよな
危険すぎて笑えない状況だった
「また大部屋か・・・情報が少ないとはいえ、こんな情報が出回ってないのはおかしなことだな」
「ああ・・・そうだな」
『どうしましたか、いつも真っ白い顔してるのに余計に真っ白で輝いてますよ』
「それはフェイスガードだろ、それより見てみろ」
「魔人・・・嘘だと言ってくれ」
魔人が出ただと!
落ち着け、ん?魔人ってなんですかだと?
魔人とは、簡潔に言えば魔物化した人型生物のことだ。力がある上その人の技も大体は使える、正真正銘化物だ
で?どうしたんですか
今頃、風音でも鳴らしてるんじゃないか?
とても洗練されていてぜひ戦ってみたかったのだが
原因の早期究明のほうが重要なのでな射撃して頭もろともふっ飛ばした
挙句アンデッド化しないように胴体を塵芥にするほどの徹底ぶり、捜索隊の皆様お気の毒に
まあ、その前に元からアンデッド化していたのもいたから、一緒に送り届けました
「相変わらずひどい、死屍累々じゃないか」
「元からこいつら死んだと同然だろ」
「4割は探索中に死亡、4割は重軽傷ありながらも帰還、後の2割は塵か」
「そんなことよりなんでここまでこいつらが降りてくる必要があったか、だな」
「本当に彼だというのか」
「まだ言ってんのか。先に・・・待てこの音は水?」
「何処だ!さっきからのどが渇いてしかたがないんだ!」
「まあ確かに2日飲んでないのは確かだが、罠かもしれんから気をつけとけ」
「聞こえてきた、ここだな」
「地下水脈ねえ、離れとけ」
って死にそうになったんですか!冒険者としてどうかしてますよ!
いやー食料はなくても過ごせるんだが水はどうしてもな
飯も無くなってから2週間だがな
おい!さっさと続きを!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・今何階層だ」
『70階層です』
「なあ、気のせいだろうか石畳が見える」
「きっと幻覚だろう、砂岩の迷宮に保存状態の良さそうな遺跡があるはずがない」
「とても眠い」
「・・・どうやら眠れそうもないみたいだ、弾数確認・・・大丈夫だ」
「拾った盾重いな、ん?何あれ」
「ああ俺は知ってるぞ」
「なんだ?」
「あそこに居るのはゾンビーだ」
「どっちかというとスケルートンだと」
「スケルトンだろイントネーションおかしい」
「お前が言うな」
「目視確認3体仮称ゾンビとする」
対人戦の中では最も危険だった
大盾を構えたゾンビが2体を上手に隠し、内1体が気づいたら後ろにいた
挙句回復魔法で元通りってなゾンビなのに、なあ―――――
一体何のことでしょう?というか何の話でしょうか
まあいい、お蔭で死にかけたんだからな
俺は見た目以上に軽い盾手に入れたからいいんだが
ゾンビ、しかも魔物化していなかった3体いや3名
何が言いたいのですかね?お二方
名はキキ、チョーメイそしてベルク、それぞれの得物に名が刻まれていました




