透明な歯車 Ⅰ
サンドヘイブン
入ってきたと同時に下卑た目や恨みのこもった目で睨まれる
嘲笑も聞こえてくる
関係ない、見慣れた光景だ、そう見慣れた光景だ
「いらっしゃい、おお!あんたらか生きてたのか、逃げ帰って来たか?」
「おかげさまで「こいつが出た」
「!・・・・青目、異常種か、とても澄んでいるな」
くすんだ青目は死後その魔力に応じて澄んでいく、傷が少なく、より大きく、より澄んでいれば高値で売買される
「ジャイアントアナコルダ15メルス級変異型異形種が20階層を占領していた」
「・・確かに、この目はジャイアントアナコルダの目だ・・・大きさは12メルス級から15メルス級と認識できるが・・・」
辺りが騒然とする、それもそうだ最低でもギルド単位で動くはずだろあれ
それでも疑いの眼差しを向けてくるのも居る
「尾が二股で片方が太く片方が細い異形種で何故か弱っていたのが要因だ」
「なんだって!」
「いくら異形種とはいえ、二人で勝てるわけ無いだろ!」
みなが口々にそう言うまあ普通に考えればそうだよな
最初の攻撃もあまり効果はなかった
「まあこれで昇降機が使えるようになったらしいな、こいつらが言うことが正しければな」
「受付、本部と筆談させてくれ」
「・・・・・いいだろう、だがあんただけだ」
「結構、いってくる」
「わかった宿で待ってるぞ」
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ヨミキリだ。応答せよ、というか最初も思ったが石版に石筆なんだな
アルだ。命令形じゃなくてもいいんじゃないか
原因は見つけ出した
原因は、か
発端は以前不明
原因は何だ?
お前の予想通り、躍る屠殺場
この間十数秒の間
そうか、で何階層だ
20、異常種のジャイアントアナコルダの異形種の心臓内部にあった
よく勝てたな
蛇のオドともう一つ異なるオドを発見した
人為的なものだと
そうだ。古いものだが。おそらくこの街にいる
何故そう思う?
勘だ
そうか、しかしそのアーティファクトはほとんど確認されていない
だからと言ってほっとくわけにもいかない。作れる可能性もあるだろ
本部からより命令、禁止令はそのまま、迷宮に入り調査を続け、犯人を見つけ出せ。今までそのせいで死んでいった者達に報いさせろ
了解 報酬の増額を希望する
前向きに検討する
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「戻ったか、ってなんだよこの量の資料」
「10年前の最終到達深度達成から今日に至るまでの資料だ」
「全部読めと?」
「終わったら30階層を目指す」
「おいおいもう終わっただろ」
「犯人を泳がすためにな」
「まさか本当に人為的な事件だと思っているのか?」
確かに可能性としては1割にも満たないだろう
だがこれがほんとうに偶然だというのならばなぜ20階層でどうしてあの二股の蛇にあんなものが埋め込まれていたのか
18階層に少しだけ目に入ってきた光るものも気になる
「そりゃ、偶然昇降機に偶然異常種のジャイアントアナコルダが挟まっていてそれが偶然異形種だなんて都合は良すぎるが何分証拠がないしな」
「だから今探してるんだろ」
「どれどれ?75階層到達者没ベルク、没キキ、没チョーメイそれと・・・おいおい」
「なんかあったか?」
「75階層到達者にドナウ街長がいるぞ」
「ふむ功績が讃えられ、街長に就任、か」
「だが生きて帰ったのは彼一人だけらしい」
「その時の魔物情報は皆無だな」
「これは・・・4ヶ月前の探索チームの資料だが」
「・・・・・・・その後に18階層のパーティーが行方不明になっている」
「話とぜんぜん違うな」
「それもそうだが、75階層に何があった」




