出会う歯車 Ⅳ
8/15 7:21a.m
「今日は、先にメタルズギルド所属ギルドによる」
「順番が逆な気もするが」
「俺もそう思うが状況が状況だ、主な報告はそっちがやってくれ」
迷宮の地形が変わったり、魔物の居るべき階層が変わったりしている異常事態
前代未聞だ
ギルド サンドヘイブン
「いらっしゃい」
「メタルズギルドから来たヨミキリだ」
「ワールドスカイ銀の座のミラオスだ」
「ああ、中央から来ると行っていたなカード見せてみな・・・・・確認した。こちらが支度金だ」
「どうも、それともうひとつ」
「他に用があるのか?」
「大至急CGUCにベルゴース迷宮の冒険者探索の一時停止命令を求む」
「な!?どういうことだ!」
「昨夜にかけて探索した結果、魔物が通常よりも多く出始め、5階層から地形がかわり、13階層から罠を多数確認、15階層では地形が変化しているのを確認した」
「ありえない!」
「だがありえている。この状況を無視することは出来ない」
「だが・・・あんた達が嘘を付いている可能性は・・・」
「それは「俺達はこの迷宮の異変を早急に見つけ、解決するために来た。嘘を付いている暇もなければ、理由もない。ここで手を打たなければ余計な犠牲が増える」
黙っているんじゃないのか
それにその言い方だと
「俺らが死ぬって?」
「それを確かめるために死ぬ必要はないだろう」
「そんななめた格好してる奴らに言われたくねえな」
「何だと?」
「砂漠の迷宮はたとえ地下に入ったとしても暑さは変わらねえ、そんなこともしらねえのか?なあ騎士様よ」
知らないわけではない、だからこそ温度調整のエンチャントがかかっている、全身鎧で付いていると重宝するエンチャントは強度増加、行動力増加、そして温度調整だ
それを2つ付いているこの鎧は超がつくほどの高級品だ。強度増加がついていないとはいえ、売られれば3赤金貨は下らない
だが、ヨミキリのはどうなんだ?
それを差し置いても傍から見たら馬鹿にしている格好と言えなくはない
「新人ごときが、この迷宮をどうこうできると思ってんじゃあねえよ」
「なら、こんなところで燻っている馬鹿者はこの異常をきたした迷宮をどうにかできるのか?」
「何?」
「ギルドで出来るちゃちな嫌がらせしか出来ない輩が誰から見てもおかしくなっている迷宮を生き残れるのかと聞いてるんだ」
「ここで喧嘩するな続きは練習場でしてくれ」
「いいぜ。ついてきな」
「で、どうするんだ?」
「くくくく」
「何を笑っている」
「正直言うとアイツは仲間に入れたいくらいの強者だ」
「わかるのか?」
「嗚呼こんなことが起きてさえいなければ、いい酒飲み仲間だろうに」
「あんなのがか」
「あんなのだからだよ、それと意識してないだろうから言うが、冒険者というか他の連中に対して嫌悪感丸出しにするな」
「本当か!」
「銀の座は比較的といった理由はこれか・・・凱旋を多々やればいいんじゃないかな」
「しかしお前も言ってたじゃないか」
「ちゃちな嫌がらせしか出来ないの部分か、そりゃそうだろう自分の知ってる迷宮があんなにも変わちっゃな、分かっていても理解したくないんだよ」
これからのためにこの迷宮はどうにかしないといけない、たとえたった二人の足掻きでも
で、どうやったらあんな身軽な動き出来る?
何も見えなかったぞ
冒険者共が手を出そうとした瞬間に背後に回りこみ跪かせやがった
ところどころ傷があるが、アーティファクトなのか?
「大至急連絡を頼む」
「もうした・・・来た、読み上げるぞ『報告ありがとう、要請通り、貴殿ら、ヨミキリ及びミラオスを除いて、ありとあらゆるものがベルゴース迷宮に立ち入ることを禁ず。
早急に調査解決を願っている』」
「アーティファクトか?」
「そうだ、ついでにこれからは乱闘は避けてくれ」
「了解じゃあ行くぞ、っとその前に寄っておきたいところがある」
「あ、ああ」
8/16
15階層
11:23a.m
「塞がってるな」
「代わりに二手に分かれている」
「ひとつおかしな点に気づいた」
「何だ」
「普通迷宮ではどういうわけか宝箱若しくはそれに準じたものが設置される」
「武器とか使い捨ての魔道具、消耗品が入ってる、だったか」
「そう、そして時折アーティファクトも入っている」
「それが無いとなると・・・攻略継続力がなくなるということか、では今まで迷宮の地形及び魔物の配置が変わった例は?」
「余りそういうのには詳しくはないが、無いはずだ。通常では」
「人為的だとでも?」
「分からない、あると噂されているが実物を見たものはないとされる品なら可能だ」
「・・・今日は戻るぞ、情報集めだ」
8/20
18階層
2:30p.m
本来18階層は比較的広い部屋が多く戦いやすくなっている地形だ
20階層には苦労して作られた昇降機が取り付けられており、その近さもあって人気の稼ぎ場だ
だが今では変わり果て、周りに壁一つ無い大部屋になっている
そして俺たちを取り囲んでいる、蠍、蠍、蠍、蜘蛛、蜘蛛、蛙、蛙、蛇
辺り一面に居る、ところどころ変異種も居るそしてそのどれもがでかい
変異種は体が赤く、目が濁ったように青い、魔結石も純度が高く大きい
その分難易度は高く物理的でも魔力的にも強い
そんなのが見ただけども6匹はいる
っとそんな時にヨミキリは楕円形の物体を一番密集してるところに投げた
「伏せときな」
「どうしてだ」
「こういうことさ」
地に響くような音がした後、そのあたりに残っていたのは変異種のサンド・スコピリオスだけだ、爆弾か!
「このまま続ければ!」
「後一発しか残っていないし埒が明かない」
「退路は断たれているぞ!」
「わかってる・・・こいつならどうだ」
昨日使った・・・銃を取り出し、変異種に向けて発砲する
7発の発砲音の後ようやく倒れた
「関節狙ってこれか」
「とりあえず突っ切るぞ」
「分かった」
19階層
「はぁ、はぁ、はぁああ」
「・・・ぷはぁ」
「何とか落ち着いたな」
「HORNETでもキツイとなると余り使いたくないな」
「あるならとっとと出せ」
「対魔物用試作型大口径アサルトライフルVOLV」
「今度は狼か」
「反動がキツイだろうし、試射もしてないから使いたくないし、まだ早いと思ってたが」
「四の五の言ってると死ぬしな」
「・・ああ、了解」
「何がだ?」
「!?ビー!」
『どうもはじめまして、鎧の精もといAIのビーです以後お見知り置きを』
「また蜂・・・」
「はぁ・・・秘密にしておいてくれ」
「ああ、AIってなんだ」
「平たく言えば人工知能、深く言えば人に出来るだけ模した自立型思考頭脳」
『感情が理解できないという致命傷がありますが』
「代わりに毒舌・・・お前が食ったのが来るぞ。」
「ジャイアントアナコルダ・・・」
Side;Yomikiri
アナコンダ、元の世界では最大9m体重250kg、胴回り直径30cm以上
最も重い蛇で有名、締め付ける力が強く自分より大きい生物すら丸呑みする、
湿地を好む生物のはずだが・・・ここでは乾いた土地を好むようだ
試し撃ちと行くか
この銃は特殊な形状をしていて溝に脇を差し込んで腰溜め撃ちする
セーフティを外し、照準を合わせる
ようやく気づいてこちらに来るが遅い
爆音が響かせた後、緑色のフレアが吹き出し、反動で75°上がる
鋼鉄が足りなかったんだ、仕方がない
結果はひどい有様だった
狙い通りの場所には当たった、対象は頭が消し飛んだ
それはそうか、おもいっきり口を開けて跳びかかっているのを銃口を口めがけて引いたんだ
変異種だったらホーローポイントじゃなきゃ倒せなさそうだな
「なかなかでかいな」
「本来こいつは倒すのに時間も人出も必要だというのに」
「何方もなかったからちょうどいいな」
「よくないだろ・・・」
「遠距離武器は戦闘を著しく変える、無情なことだ」
「自分でやっといてそれかよ」
「お!宝箱だ!」
「気をつけろよ罠かもし」
「待てるか!」
迷わず、宝箱にめがけてHORNETで撃ちこむ
鍵が壊れ蝶番が吹き飛び中から出てきたのは
「何だこれ?」
「インゴット・・・いま現状としてはハズレだな」
「軽いな、知らない金属だ。鉄とは違うな」
この金属のことをよく知っている
鉄と同じく、長年工業で合金でもそのままでも使われているこの金属を
当時の日本でも硬貨として使われていたこの金属を
「アルミだな」
「!?おい、今なんて?」
「アルミニウム、純度は結構高そうに見えるな・・・・・どうした大口開けて」
「まさか、本当にあるとは・・・・」
「お~いどうしたー、大丈夫かー」
「なんで、なんでお前はそんなにも平然としていられるんだよ!」
「なんでって、たかだかアルミじゃないか」
「は!?・・・アルミニウムってお前、幻の金属だぞ!」
幻の金属?いつの話している
確かに鉱石から加工するのは手間だが、そこまでのものとは言えないはずだ
「上位金属と混ぜて使うとその物質が軽くなる特性を持っているんだぞ!」
「何だその質量保存の法則を無視した金属は?俺は知らんぞ」
「1gr添加するだけでも変わるこの金属は流通していてるのはほんの僅かで、ガラム40黒金貨はする」
「所変われば価値変わるとはよく言ったものだが、こうも極端だとは」
「一体どのくらいあるんだ?これで・・・・・・・・」
「おーいミラオス」
「どうした帰る準備か?」
「いいかげんにしろ、とりあえずあと3日間ここで探索するんだ、先進むぞ」
「・・・そうだな」
済まないな、その金属俺のPDSに使うかもしれない
この鎧もがたがき始めている
新しい鎧の設計図の制作をビーに頼んでいるが、アルミの新しい特性を知ったからには使わない手はない
この世界でのアルミニウムは宝石以外で存在しません
異世界召喚者が時折持ってくるのをオークションにかけ、国庫を蓄えている国もあるとかないとか




