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没・Karma Gear Story  作者: D.D
組み込まれた歯車
40/78

小さくとも大きい歯車 Ⅰ

 Side:Yomikiri

 最終日

 1:17p.m

 残り43分


「容赦、なさすぎだろ!」

「まだ逃げれるのかい」


 おいおい嘘だろ!

 全く顔色一つ変えずに追いかけてくるなんて

 PDSの補助があっても疲れが出始めているのに

 それとあのボウガン

 発射間隔が短い上に命中精度もなかなかだ

 路地が入り組んでる場所を選ばなかったら当たってるところだ

 いやわざと外されているのか?


 目の前に矢が通り壁に大きな穴が空く

 煙があたりを覆う

 さらに背中に矢が当たり勢い良く表通りに吹き飛ばされる


「くそっ!」


 逃げまわっていたと思ったら誘導されていたか

 コレだから逃げは苦手なんだよ

 しかも衝撃だけきて殺傷力がないなんてなめられているな


「おいおい、これで鬼ごっこはおしまいかい?ヨミキリ君」

「術式発動、インパクト」


 うつ伏せになっている状態から衝撃で立ち上がり、距離を離す

 それをギルドマスターである、アルンクレスは朝のジョギングのような感覚で走って追いかけている


「そうそう、さあ逃げろ逃げろ!」

『撃ちますか?』

「用意だけはしておくが、まだだ」


 23:13p.m

 残り2時間47分


「順調かい?」

「アルンクレス・・・どうしてここに?」

「いやあ暇でねぇ」

「はつど「実弾のほうが速いんだよねえ――ダシュ――・・・避けられちゃったねえ」


 術式発動しようとした瞬間ヨミキリは横に転がり避ける

 当たった矢弾は地面を砕き爆煙を巻き上げる


 んだあの威力!地面が抉れて石畳の下の土が露出してやがる

 一先ず距離を


「置いて、戦況を立て直す?最後まで考えてるねえ」

「・・・」


 いかん!読まれている

 ナイフを奴にめがけ投げるが


 ――ガツン――


 撃ち落とされたか

 だがいい、もうすぐで路地だ


「そっち逃げちゃうのか・・・・・まあいい、当たるなよ」


 発射間隔が短くなった

 どんだけ矢弾あるんだよ

 路地には入れたのはいいものの、狭い上に物が積んであって、どうにも撒けない

 ああクソ!行き止まりだ!いや正確に言うと、置いてあるものがでかすぎて、邪魔になっている

 中身は・・・小麦粉?


「さあこれでしまいか・・・うわ真っ白で何も見えないな」


 足音が近づいてくる

 中に入っている小麦粉をまき散らし見えなくしているこの隙に逃げれば


「何処に居る?」


 答える奴があるか

 ――カチャリ――


「・・・まあいいか、どうか当たってくれよ」


 何を


 言っている、と思うと同時に木が破壊される音が響いた

 余計に立ち上るはずだった小麦粉はなぜか、舞い上がらずそのまま落ちる


「見つけたぜ、新人君」

「んなのありかよ!」


 マジックアローを発動させながら横をすり抜ける

 邪魔されるとは思ったがあっさりと抜けれた


「もっと足掻け、まだ時間はある」


 1:45p.m

 残り15分


「はぁ、はぁ」

「どうした無駄口はもう叩け無いのか」

「なんで、あんたが、出張るん、だよ」

「暇だからだよ・・・まだ抵抗するのか」


 当たり前だ

 何が足掻けだ!外していると見せかけて通る場所の探知ドローン全て潰しやがって

 捜索隊の連中が逃げ出す始末だ

 しかも逃げても逃げても追いかけてくるどういうことだ!

 ああ、もう限界だ


 銃を取り出し、構える

 狙いはボウガンが取り付けられている側、つまり右肩

 ボウガンは竜の形をしており作業の邪魔をしないようガントレット型になっていて、放った瞬間に次弾装填するために弦が引かれており、矢弾を設置することですぐに打てる仕組みと確認

 さらに矢は中身が空洞になっており直撃時に矢が潰れ其の衝撃でダメージを与える仕組みだと思われる

 当たった感じで推測しているがまああっているだろう

 矢筒も特殊で一本取ると、次の一本が取り出しやすいように飛び出る仕組みと認識

 今回矢弾が小さいから取り回しがいいのだろう

 腰からチロチロ見える


 その矢弾をボウガンに装填し、こちらに向ける

 だが撃たない


「どうした撃たないのか?」

「いやあ楽しいな」

「こっちは楽しくないんだが」

「それを覚悟したんだろ」


 示し合わせたかのように互いに引き金を引く

 撃鉄が雷管を叩き、弾丸が発射される

 同時に押さえつけられた弦が戻り、勢い良く矢弾が発射される

 矢が胸部に当たる

 そして矢が潰れ、吹き飛ばす

 だけではなかった、直後に、激しい電流が体を走った


「うぐっ、は!」

「チェックメイトっと。いや、危なかった」

『キノウヲテイシシマス、メンテナンスゴサイキドウシマス』


 ああクソ!なんなんだアイツ!

 周りが真っ暗になる

 直撃したはずだ、なのになぜ喰らっていない

 はじけ飛びはしない迄もこうして軽口は叩け無いはずだ


「おーい、生きてるよな」

「・・・」

「死んだふりするな」

「・・・」

「生きてるよな」

「・・・」


 動けない

 雷に直撃した気分だよ、全く

 これ自体がアースの代わりをして中身は無事だが、機能停止してはたまらない

 喋ろうにも喋れないんだよ

 再生補助間に合ってなかったら本当に死んでいたな


「しかし、やばかったな。身代わりのアーティファクトが無かったら吹っ飛んでいたところだよ」


 だから喰らわなかったのか

 これで納得し始めている点で適応してきているな

 矢弾を装填した音だ。早く再起動を!


『サイキドウマデアト10ビョウ』

「まあこれでおしまいだ」


 残り10秒、鐘を鳴らす槌が持ち上がる


「・・・ここで本当に終わるのか・・・漂流者」


 何を言ってやがる

 動け!早く!


 頭にボウガンを突きつけられる

 ここで終わるわけには.....!

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