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没・Karma Gear Story  作者: D.D
組み込まれた歯車
39/78

動き出す歯車 Ⅳ

「どうなってる?アン・・・デッドか?」

『失礼ですね、中には誰もいませんし、腐ってもいませんよ』


 辺りがざわつき始める


「おいおいあそこ、アンデッドも雇い始めたのか?」

「死臭もしないしそれはないだろう」

「変則的なオートマトン?」

「あれってヨミキリさんじゃないですか~」

「あの野郎、やっぱり行きやがったな」

「見せしめ?」

「いや違う、そんなことよりさっさと始めるぞ」

「「「了解」」」


「おいおい兄ちゃん?いやお嬢ちゃん?かどうかは置いとくとしてこりゃ何のトリックだ」

『トリックではありません彼の言ったことを再生すると

「マントについては完全に盲点だった有難う、だけどマントが一着しか無いって誰が言ったんだ?今度会うときは酒をちゃんと奢ってくれ。トリックかどうかだって?んなもん言う奴が何処にいる」

 だそうです』


 豆鉄砲を食らった顔をして、しばらくした後、急に笑い出す男


『どうかしましたか頭が煮立ちましたか?』

「くはは、いや、まんまと騙されたねぇ」


 何がおかしい?完全に騙されたくせに何が余裕そうなんだ


「つまりあんたは、無防備ってことかい?」

『そうなりますね・・・ついでに誰にも着せませんよ』

「でも奴はここに来るだろう。捜索隊共!開始しろ!」


 たしかに俺はこいつを取りに行かないといけない

 でも接触はできないわけだ


 続々と捜索を再開し野次馬たちが去っていく


『私が見えない鎧ということをお忘れですか?』

「たしか見えない時はマントを隠すんだったか?」

『ええそうです』

「だけどあんたはさっき頭を転がしていたな、中はどうやって消すんだい?」


 そうきたか

 いくら擬態できようといくら透明化できようと

 内部はさすがに見える

 それに動体視力と勘が良ければ、直ぐに見破られてしまう


『困りましたね』

「だろう?」


 くくくと男は笑う

 彼がそんなに余裕なのはそれ以外にもあり、辺りに鋼糸を張り巡らせていることもある

 ビーの方もそれを理解しており、動こうにも動けない状況にある

 だからどうした?

  

 Side:Vee


 困りましたね

 全く動けません

 鉄球に扮した小型機ミニヨンで解除にとりかかっていますが数時間は掛かりそうですね

 これは別の方を先にやったほうがいいですね


「嬢ちゃんはどうすんだい」

『賞金稼ぎさんも其処にいていいのですか?』

「首無しのアンドリューだ。いいんだよ、大穴でここに来るかも知んねえじゃねえか、だろ?」

『トラップの仕掛けすぎで動けないだけじゃないんですか』

「くく、どうだろうな。いいのかい!鎧の!このまま何もせず黙ってみるのかい!」

『無駄ですよ、今必死こいて逃げてるでしょうから』

「それじゃあ囮の意味ねえな、くくく」

『さっきから笑ってばっかりですね、本当に頭がオカシイんですか』

「お前こそそれしか言ってねえじゃねえか、脳無しか?」

『頭も脳もありませんから、なので眠ってください』

「何が眠れって・・・」


『解除が面倒くさいから大本から経ちました』

『殺してないだろうな』

『ええ、スタンガンでバシッと』

『何処でオノマトペで覚えたんだか・・・』

『では回収よろしくお願いします』

「了解」


 ようやく大量の木箱が置かれている資材置き場から、マントで全身を覆っている変質者もといマスターが出てきました

 マントの効果によってその体を直視することはできないが、普通の人が見たら不審に思うに違いない格好ですね

 ああ、服はちゃんと着ているはずですよ


『見ていたんなら助けてくれても良かったでしょうに』

「無理言うな、第一あそこから出た途端、バラバラ死体になってたしな」

『この鋼糸はどうします?』

「放っといてもいいだろう」

『相変わらず・・・ですね』

「なんか言ったか?」


 いいえなんでもありませんよ


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