回り始める歯車 Ⅰ
ぎりぎり間に合った!
もっと書くのを上手くなりたいです!
Side:Kurtz
「この人を、ですか?」
「そうじゃ、頼めんかのう」
「そうですか・・・今までの御恩もありますし、いいですよ、ええ」
「有難うございます」
フード付きのマントをかぶったフルプレートの男がそう礼儀ただしく礼を言った
エンチャントがかかっているのか顔が見えない
大丈夫か?こんなやつを載せて
「そのときは、あなた達もいますし」
「そうですが・・・」
「彼らの頼みですし、断る理由もありません」
「まあいいじゃねえかカルツ」
「それに面白そうだし、ねえカーくん」
「ああ、もう!わかったよ」
「では行きましょうか。ヨミキリさんは後ろの貨物の方に」
「分かりました」
「村の連中に礼は言わなくていいのか?」
「はい、もう済ませましたから」
「名残惜しくはないのか?」
「ええ、でもいいんです」
そう言って男が貨物の方へ乗り込んだのを確認した後、俺達はそれぞれ馬に乗り込み出発した。
しばらく男を観察はしていたが格好を除いて怪しいところは何一つなかった
いや、ひとつあるとすれば
「完全に割れましたね、どうしましょうか」
「何が起こりましたか?」
「ああいえ、車輪が割れてしまったんです」
「どうして・・・もしかして」
「いや、道中の道が険しいのに、変える変えるとか言って、修理にすら出してなかったんだ、まったく」
「?」
「ああ、この方たちとは専属契約で護衛してもらってるんです。しかし、困りましたね車輪が壊れたから先にも後にも進めません」
「替えはないんですか?」
「いったろ、こいつは自分と馬車に頓着がねえ根っからの馬鹿だ」
「バカとは失礼な、根っからの商人です」
「(半径・・・17cm、厚さ15mm) オークの木ですか?」
「ええそうです!よく分かりましたね」
「なんとか修理できます、後どれくらいですか」
「ホントですか!よかったぁ、あと3日ぐらいですね」
「それなら大丈夫です、帰ったら新調してくださいね」
「は、はは」
なんと土魔法で部品とちょうど壊れた車輪と同じぐらいの大きさの車輪を作って修理をし始めた
装飾を主に扱う魔術師でも設計図は必要だというのに
「ちょ、ちょっとまってくれ!」
「なんでしょうか?」
「そいつぁなんなんだ?」
「そう言われましても車輪と部品ですが、それが?」
「魔法で作ったの!?・・・いえ、たしかに、できなくは、ないけど」
「さすがエルフの村にいる人ですね、すごいです!」
「?、まあいいです、そこの、大柄の護衛さん馬車を持ち上げてください」
「え?ああ、いいぞ」
2時間ちょっとで修理が完了したうえに、なんか良くもわからない機械を取り付け始めた
「えーと、コレは?」
「揺れを抑えるためのものです、今回は金属が手元になかったのでそこまで効果は期待できませんが」
「そこまでひどいですか?」
この道だ無理もない
曲がりくねっている上にろくに整備されてないから凸凹でたとえ整備しても毎年の大雨でダメに成ってしまう
「なら、こっち乗るか?」
「ああ、いえそれには及びませんし、重たいので」
「そうか、なら行こうか」
「オドの使いすぎで疲れたので寝ています」
「おうよ」
この男は一体何を知っているのだろう?そしてあの魔法アースシールドを応用したものだと、そしてあの精密さと大きさで作るには相当のオドと集中力が必要だとネリスが言っていた
それに、左手が一回も動いていないのも気になるし、魔法使いなら杖など魔術具の類は持っているはずなのにそれすら無い
道中の態度で悪いやつじゃないことはわかったか、いかんせんガードが硬すぎる
今までいなかったのに急に現れたのも気になる。まるで突然現れたかのような、なんか引っかかるな
「おい」
「ああ」
「囲まれたわね」
「えー、もうすぐなのにですか?」
「もうすぐだからよ、ジョーくん」
「前方7名、後方9名、魔術師2名。あの服装からして・・・げ、盗賊団だぞ」
最近ココらへんで勢力を上げてる要注意盗賊団か
いつもは魔物か野獣が出るのに今回に限ってでないのはおかしかったしな、出るとは思っていたが予想以上に多い
「馬車と馬を置いていけ、そうすれば命だけは助けよう」
「えー、そんなこと言って、あなた達から逃げ切れた人一人だけじゃないですかー、嫌ですよ、せっかくいい買い物したのにー」
「おいおい、そんなこと言うからいつも襲われてるんだろ」
「いいじゃん、腕も鈍らないし、お金ももらえるし。でもボロっちい馬車なのに襲われるんだろう・・・」
「ココらへんをよく往来するのが俺たちだけだからだろ、来るぞ!」
「分かった、ネリスと俺は前方バークは後ろをジョーは・・・貨物ん中だ」
「「了解!!」」「えー、僕も戦いた「さっさとしろ!」はい、分かりました!」
くっ、さすが要注意といったところか郡による統制も個々の練度も高い!
後ろに押されている
「しまっ!後ろに行ったぞ!」
「今手が離せねえよ、後一人雇えばよかったのによ・・・!」
「だって、お金が・・・ってヨミキリさん何処へ行こうとしてるん、ですか?」
なに!?寝てたんじゃないのか、しかも外にでるつもりか!
「あんちゃん、今戦闘中だぞ!中に」
「ええ、わかってますよ。だから私も手伝います」
「こっちは魔術師一人やったわ!多分もう一人は後ろよ!」
何処だ!いない・・・逃げたか?それとも・・・
「へへ、兄ちゃんもしかして奴隷かぁ?」
「いや、道中で載せてもらった旅人だ」
「へへぇ、じゃあし、ぐはぁ!」
持っていたモーニングスターで襲いかかってきた盗賊を得物ごと吹き飛ばした、そしておれが取りこぼした盗賊の頭を掴んで地面にたたき落とした
「よそ見とは余裕じゃないか」
「今忙しいんだ、邪魔するな!」
「な!」
近づいた長身の盗賊を切り伏せる、お前を相手してる場合じゃない
後ろを振り返ると男が襲いかかってきた盗賊にマントをかぶせて貫手をしていた
いくらガントレットをつけているからといって貫くか普通・・・
「ヨミキリさん、後ろ!」
「しねえ!ライトニングボルト!!」
雷・・・相当の手練か!彼は土属性が使えるが間に合わない!
だが術式展開はできたみたいだ、これなら
「おい!早くしないと!」
「物は試しということだな、術式発動、リフレクション」
物は試し?一体なにを・・・
電撃が彼に当たる直前術式が凄まじく光を発し、電撃を・・・跳ね返しただと!
跳ね返った電撃が魔術師に当たった、あの威力だおそらく即死しただろう
「こっちは終わったぞ!」
「こっちもよ!」
「あ、ああ俺もだ!」
「ッ痛!さすがに完全とはいかなかったか・・・(ああいや幻肢痛だ)」
「何だ何だ!すげぇじゃあねえか!今の」
「今のって?」
「え!ああ、ライトニングボルトを跳ね返したんだ」
「は、跳ね返した!そんな魔法知らないわ!」
「そうですか、良かったです」
「なぜ?」
「堂々と私が作ったと言えます、言いませんが」
「「作った!?」」「やっぱりすごいですね!」「助かったぜ!」
「どどど、どうやって」
[ネリス、近い、彼が困っているぞ」
「え、ええと、術式を書いただけですが、それが?」
「どのくらいの期間?」
「1ヶ月ちょっとですかね?」
「魔法習ったのは?」
「2かげ・・・10年と2ヶ月ですね」
「やっぱり、実は有名な魔法使いだったりするの?」
「いえ、ずっとこもっていたので」
「ネリス!」
「え?ああ、ごめんなさい取り乱しました、すみません」
「いえいえ、にしてもすごいですね」
「え?」
「あれだけ激しい戦闘なのに、死者を出さずにしたんですから、でも私は・・・」
「・・・いやまだ生きてる、ギリギリだが・・・まあ助かった。お互い様だ」
「そうですよ、ザークさんには感謝ですね」
「そういえば、マント汚れちゃいましたね~」
「洗えば落ちるでしょうか?」
「貸して、洗浄魔法あるから」
「お願いします」
「にしてもおめえ、すごいカッコだな」
「フルプレートなのは分かりましたが、顔までもですか」
「しかも、隙間がない、複合型機動鎧、アーティファクトか?」
「そんなもんです」
「はい、出来たわ、にしても前見えるの?」
「ええ、ばっちりと」
「へぇ、・・・ねえねえ!それも魔法?」
「い、いえ・・・近いです」
「あ、ごめん」
遠視魔法の類か?だが、あそこまで状況把握は無理だ、それに、魔法の多重行使は単独ではヒュマンでは不可能、オドの問題もある
「どうかしましたか?」
「ふと疑問に思ったが、いくつ属性が使える?」
「使える?限られているんですか?」
「限られてるってどういうこと?」
「もしかして、属性適性とかあるんですか?」
「え?それはもちろん」
「?属性才能ではなくて?」
「何の話をしてるんだ?」
「才能って・・・もしかして全部使えるとか?」
「高いのが無、土で低いのが光と火ですが」
「私は火だけよ」
「適性?才能?おい何の話だ????」
「ああ、脳筋だからバーくんは知らないのね、カーくん頼むね」
「分かった。って俺も聞きたいんだが」
「どうせ理解できないでしょ、ね?」
「・・・たしかにそうだが、分かった」
Side:Neris
そんな・・・こんなことって
魔術ギルドにいた時でもこんなこと知らなかったのに・・・
まさか上がわざと教えなかったというの?
もっと早く知っていれば、もっと早く会っていれば・・・・
「魔法開発が進んでいたのにぃ」
「で、でも、適性という面にも利点はあるでしょう」
「例えばどんな!」
「え~と、一つだけの属性を使っていればその分だけ成長も早いでしょう?」
「ええ、そうね」
「極めれば、もっといろんなことができる様になりますよ」
「・・・例えば?」
「そうですね、火が燃えにくくなる時ってありますか?」
「あるわよ、それがどうしたの?」
「どういう時ですか?」
「そうね・・雨とか水に濡れてる時とか、烟ってて息が続かない時かしら」
「息が続かない、つまり空気が薄い時ですね」
「ええ、あ!あと山の頂上でもそうなるわ、どうしてかしら?」
「つまり、火が燃えやすくするには空気が必要になるようですね」
「そう、いうことになる、わね」
「そういう時に、何らかの方法で空気が大量に入ったら?」
「!大量の火が空気を求めて・・・」
「「大炎上する(!)」」
「それだと、風魔法が必要になるわね・・・」
「水中の依頼とかあるんですか」
「あるけど・・・行かないわよ、というか使えないわよ、火だから」
「いや、水中用に使う・・・空気玉のようなのってありますか?」
「そうね!それを使えばいいってことね!・・・でも、どうやってそういう状況に」
「それを火でできればいいんでしょうけど・・・」
「うーん、空気を薄くするには、どうすれば」
「あ!二人共いい案があります!」
「何?ジョーくん?」
「さっきのヨミキリさんみたいに土じゃなくて火で檻を作ればいいんじゃないでしょうか」
「なるほど、そうすることで内部の酸、じゃなくて空気が薄くなりますね」
「でも問題はどうやって檻を作るの?」
「戦闘中に檻を想像するのは無理だよね」
「そうよ・・・それに消費オドも多くなる」
「相手一時的に囲う魔法ってありますか?」
「うーん・・・たしか、賢魔書庫の大図書館の二階の第六二列にそういう系統の魔法辞典があったはず」
「それとファイアウォールと合わせれば」
「生憎だけど無属性魔法は習ったことないわよ」
「いえ、術式を組み替えるんです」
「組み、変える、ってなんですか?ネリス」
「組み替えれば、無属性から火属性に変わる、私にも使えるようになるのね!」
「でも、肝心の魔法書が」
「そうなのよね、あそこには入れないし」
「何故ですか?」
「ちょっとね、あはは」
「おーい、こっちの説明終わったぞ―」
今、どうやって魔術ギルドに潜入するかいいとこなのにー
「じゃあ、行きましょうか」
「ぬー、仕方ないわね」
でもなんで彼、いろんなことを知ってるのかしら
それに術式の書き換えとか普通は考えもしないのに
10年魔術の研究してたのに魔術ギルドや拘束魔法について知らないのはどうしてかしら?




