こころの歯車 Ⅰ
Side:Yomikiri
【やっほ~】
頭がいたい、なんなんだ・・・全く
【君が全く起きないから、こうして夢の世界まで来て起こしにやってきたのに】
「起こすなら夢の中じゃなく外だろうに」
そう言いながら左手を頭に当てようとした
しかしその手が触れることはなかった
「あれ?」
【君の左腕なくなったんだよ、忘れた?】
「・・・ああ、そうだな」
サラを咄嗟に助けようとして、ででかいのにブッ放してそれで・・・
【そ れ は、いいとして、おめでとう~】
「何がだ・・・」
【何って、君のスキルが目覚めました~( ゜Д゜ノノ☆パチパチパチパチ】
「顔文字つけるな、気持ち悪い。で?どんなのだ?」
【それも忘れちゃったの?仕方ないな~】
「どんなのだ?」
【膨張と圧縮合わせて一つね名前は・・・まあ自分で考えてね】
ちゃんと教えてくれるとは親切、なのか?
「どういうものをだ?」
【それは君が見つけ、身に付けるべきものさ】
「リスクは?」
【見たところ、身体的みたいだ・・・オドの暴走も見受けられる、使い方を誤ったら死ぬね】
「えげつないな」
【それを言う?君はそれを一番最初にやったんだよ】
たしかビーがアーマーの縮小がどうとか言ってたなということは
「・・・」
【完全に暴走状態だったよ。コレだから漂流者は・・・】
「な?!良く無事だったな」
【よく言うよ全く。これからは身の程を弁えた使い方をしてくれよ、こっちがヒヤヒヤする】
「ああ、というか未だにやり方がわからんが」
【何となく分かるさ、それと】
「なんだ」
【能力は人に言わないほうがいいよ】
「ああ、ありがとう」
【感謝されるのはやっぱり気分がいい。じゃあねぇ~】
目の前が白くなる
「ん、目の前が真っ赤だ」
『当たり前です。血吐いてたんですから』
「あとで洗わなきゃな」
「ん、んん~、おはよう?」
「ああ、おはよう」
「って起きたの!?」
「まるで、ずっと寝てたほうが好都合という言い方だな」
「そんなわけないじゃない、ご飯作ってくる!」
何を焦っているのか、ものすごいスピードで外へ行った。台所近くにあるのだが
『ちなみに3日寝てました』
「まあ、妥当なとこか」
「リハビリと行くか、と言いたいとこだが」
『どうしたんですか?』
「練習と制作だな」
『何をですか?何のですか?』
「義腕と固有能力のな」
『?1つ目はわかりますが・・・』
「潜在的だったのが目覚めたらしい」
『誰からですか?あなたの妄想からですか?』
「時の神によるご信託」
「それはそれは良かったですのう」
起きた直後にこいつか・・・妙に怖い笑顔だな
まあ予想はしているが
「なんのようだ?」
「まず、言わせていただきたいのが、」
「?」
「自惚れるなよ小童。」
「・・・」
「こうして生き延びれたからよかったものの、途中で矢が尽きてたらどうするつもりじゃ。
武器が壊れたらどうするつもりじゃった、群れの数匹が他の奴らに向かったらどうするつ
もりじゃ、サラからも聞いておったが、群れの長がもっと速く動いておったらどうなっ
ていたんじゃ!えぇ?答えてみぃ」
「・・・確かに、今回のことは悪かった」
「悪かった?全く、何を考えているのか分からんのではなくてなにも考えておらんではな
いのか?」
「・・・そう、だな」
その通りだ、俺は何も考えてない、考えれない、考えたくない、あの日から
「多勢に無勢じゃったらすぐに逃げて立て直すのが普通なのではなかったのか」
「其の通りだ」
「はぁ・・・まあその罰はすでに受けているがな」
「?ああ、この腕か」
「うむ、それとこいつをやろう」
そう言っておもむろに木材を俺の近くに投げた
「コレは?」
「お主が切ろうとしている木の昔の残りじゃ、それで作るといい」
「・・・ありがたく頂戴する」
コレを削って義手でも作るか
?どうやって削れば
この木まさか!?あの野郎・・・見直そうかと思った矢先にコレかよ!
まあ方法はあるんだが、まずは設計図からだな
結論から言うと作れた
難航したが、いろんな人の協力もあって何とか完成にもっていけた
メインフレームは御神木、芯と関節に当たる部分は鋼鉄製の針金を使っている(銀とミ
スリル!配合)、オドを通しやすくするために銀装飾を施し、魔法行使率が向上、内
部にテレキネシスの魔法陣を施して、ある程度動かせるようになったらしい。
手のひらにはマジックアローの魔法陣、手の甲には2つの魔法陣のために多重制御陣が施
されている、ある種の魔道具だな
一番難しかったのが木を削る時だな、見た目以上に重いし、硬すぎる、2週間ぐらいかけた
記憶がある、肝心の動かしやすさだが、全くといっていい程動かない、付け心地も微妙、
改良の余地あり、御神木ももうすぐ切り倒せそうだ、だが妙に引っかかる。何故だ?




