失われた歯車 Ⅲ
牽制として突撃してきた一匹に撃つ
弾が眼球に直撃し、うめき声を上げながら倒れる
『さすがに効きますね』
「じゃないと困ったことになる」
やつらが怯んだ隙にサラが矢を放ち、一匹を口ごと串刺しにし、もう一匹を地面に縫い付けた
ボス格は・・・動揺はしてるものの逃げたりはせず動きもせずか、なら
しまった横からか!速すぎる!
「なっ!?サプレッサーが!」
何とか後ろに避けるが、右手の銃のサプレッサーが切断された
完全に気を取られたな
今はそんなことより
「うらあ!」
顎を思い切りヒザ蹴りし、撃ち抜く。消音器の無い方で森のなかに鳴り響く発砲音、見通していたかのように現れる群れ
まだいるのか!
「多すぎる!」
くそっ!こんな時に
総数33匹拙いな
右手の銃を肩にかけ、まず近くにいたウーボアを腰に提げていたモーニングスターを振り
落とす
その間に近づいてきた一匹に左手の銃で撃ち抜く
モーニングスターを無理矢理引き抜き
森の主に撃とうとした時に横から強い衝撃を受け
思い切り木にぶつかる、そして衝撃で片方が壊れる
追撃はサラの放った矢のおかげで来なかった、残り5本
鎧の方はまだなんとかなる
ふらふらになりながらも立ち上がりマガジンを抜いて銃を近くにいた相手にぶつけて接近しモーニングスターでぶっ飛ばす。
サラに向かってくるやつを成り損ないのマジックアローで目を潰す
余裕ができたとこでモーニングスターを腰に提げ直し両手で銃を構え周囲を掃射
残り18匹、多すぎる
頭が全く追いついてない、が今のとこ何とかなってる
サラの方も魔法と短刀で何とかしている
「はぁ、はぁ、残り一匹か」
「そう、ね、こっちは、矢が尽きたわ」
「こっちは残り一発だ」
モーニングスターは柄が折れ銃のほとんどは壊れたVP-70は弾切れ
残るはコンテンダー1発、
その間、統率者は佇んでいた。こうなることが予定調和だったかのように
しかし、コンテンダーまで出すことになるとは・・・
周りを再確認しもう一度視界に収めようとするが
いない?どこだ? 居た!
クソ!狙いはサラか!もう2m無い!
間に合え!!!
『異常発生!パワードスーツが変形縮小してます』
知るか!
周りがゆっくり動いている、走馬灯のように、だが一つだけ違うのは彼だけは今までよりも早く走っている
サラに突き飛ばし至近距離からコンテンダーで撃ち抜く
目の前にあるのは大口を開けたウーボアと目の前を焼けつくフレア
何も聞こえない、いろいろな音が交ざり、何も聞こえなくなる
ただ聞こえるのはふたつの絶叫だけだった
Side:Leader of the Forest
声がする、野太い声のニンゲンと若い声のニンゲン
ニンゲン・・・ヤツラが憎い!最愛の息子を殺したヤツラが憎い!!
挙句!男の象徴である牙を折るという屈辱を与えおった!!!
さぞ痛かったろうに・・逃げることもせず、矢が突き刺さっても戦う誇らしい我が息子だったのだ
居た、匂いでわかる!あのニンゲンが我が子を殺したやつだ!
隣の金属のやつからは息子の匂いがする、多数で嬲ったのか!この外道め!!!
他は逃げ出したが後で喰らう!喰らい尽くしてやる!!
「グルルゥゥ!」
征け同胞よ!若き指導者の仇を取ろうぞ!!
森の長が誰であるか思い知らせようぞ!
息子の友であった同胞が勇猛果敢に突撃し、ヤツの首を刈り取ろうとしたが、卑怯にも飛び遠具を使ってきた
轟音で我含め同胞たちが怯んでしまった
だが、構わん!殺れ!!!!!
「グルォォォォォォン!!!」
応援もきたがあの2人組がしぶとく皆が殺られてしまった
皆誇り高く気高くそして強き同胞たちだった
それに対しヤツラは狡猾で卑怯だった
それなのに我は動くこともできなかった
我が力は、動くことはできぬが同時にヤツラに気づかれることなく一咬みで殺すことが出来るものだ。
コレのお蔭で我はここまでいて、ここにいてそして、これからもいる
そしてやってきた。ヤツラが目をそらした!今だ!!!
「グルゥアァァァアアアア!!」
死ねニンゲン!貴様を必ず殺す!!!!!
「どけ!サラ!」
周りがゆっくりになる
そうか、我は死ぬのか
ああ息子よ、すまん
だが、コヤツだけでも
死んでも食らいつく!
最期に見たものは命を賭して守る鋼だった




