歪んだ歯車 Ⅰ
Side:Yomikiri
脈拍が上がって体が熱い
弾も切れた為す術がない
右腕が動かない完全に折れている
どうしてこんなことになった
なんでこんなことが起きた
なぜこうならねばいけなかった
数時間前
「にしても暑い」
『快適温度のはずですが』
「40度超えでか」
『15度です』
「…気分的に暑いんだよ」
確かに温度は15度だ。だが気温は43度、ヨーロッパにしては暑すぎる
「ほんとにここは西欧か?」
『座標的にそうですが、問題でも?』
「いや、改めておかしいなと」
『おかしいのはあなたの頭でしょう』
「俺が思うに一番おかしいのはお前だよ・・・」
『そうですか』
「………」
口の聞き方が悪いのは考えるのはよそう
『ちなみに口の聞き方が悪いのはあなたのせいです』
「………………」
心も読まれてる気がするが気のせいだ
『大体道の真中で金属の塊が平然と歩いていて尚且独り言とか何ですか?痛い人ですか?いたいけな人ですか』
「第一に独り言ではないし周りには聞こえてないし、いたいけではない!!」
『周りに音声流しましたけど』
「マジで?」
『マシンジョークです』
「お前のはマシンガンだろ」
『なぜいきなり機関銃になるのでしょうか?説明をお願いします』
「とりあえず黙れ」
彼女?は自分で言ったとおりマシンである、と言うか・・・AIつまり人工頭脳
そんなの当たり前か
ちなみに金属の塊と言われたが俺は人間である。パワードスーツを着ているだけである
と言うかなぜ説明したのだろう
「後5分位か」
『ですね』
「目的の場所まで徒歩で行かなきゃいけないとは面倒極まりない」
『特例で機械持って来れたのに我侭ですか?』
「独り言だ。ほっとけ」
――――――ッ!?
『どうしました?ヨミキリ』
「痛ッ!頭が急に」
『ついにそこまで・・・』
「くっ・・ちげーよ」
『まだ痛いんですか?薬をあとで処方しましょうか?』
「いらん。そんなことより」
『ええ、なんででしょうね』
「…ふぅ、痛みは収まったがなんでだろうな」
見えていたはずの目的地が突然消えて景色も著しく変わり更には
「『人が消えるとかホントにこの星お終いかもしれない(ませんね)』」
それから15分後ぐらいか、歩き続けている
『あれ、何でしょうか?』
「さあ?なんだろうな、あれ」
トコトコ歩いているのは体が犬で頭が猪で大きさゴールデンレトリバーぐらいはあるだろうか顔もいかつく牙が長く謎の動物が見える範囲で1匹
「それでいて自然的にマッチしているとかキモいな」
『しかも囲まれてます』
「相変わらず高性能だn」
金属が裂ける音と骨が折れる音が響く
「―――!? ガハッ」
『大丈夫ですか?ヨミキリ!』
彼女・・・ビー(VEE)はパワードスーツを操作し謎生物から距離をとった
「ぐっ高速移動か?いや気配を消した?」
左太ももの装甲からリベレーター型の拳銃を取り出し、撃つ
3発全部が変な生物に命中する
右腕が完全に折れていて響くが気合で何とかする…無理だ
「すまねぇな、大丈夫…じゃねぇ」
そう言い倒れたであろう犬豚に視線を戻すと頭に血を流しているがピンピンしている
Gosh!何なんだあいつ
「あれ?なんで動けんだあれ」
『もっと撃って早く!』
連続で撃つ衝撃が骨折に響くとてつもなく痛い
もう一度3発撃つ今度は片目に集中して撃つ
「っ痛」
『我慢してください』
「わかってる」
計6発食らったからさすがに倒れたか
残り4発ちなみに排莢及び装填は手動で行わなくてもいいように造ってある
構造上22口径にする必要性が出たが
と……今はそんなこと考えてる場合じゃない
『囲まれてますね』
「索敵範囲内で10m内に3匹50m先に8匹、装弾数残り4発マガジン無し足りるか?」
『追加で4匹無理ですね』
「一人相手にさすがに多すぎだろ、落としたのを拾う暇もないか」
『知りませんよ、彼らのやり方なんて』
「『とりあえず逃げる(ましょう)か』」
近づくアレの足に撃ちながら逃げる。だが弾は尽き視界も歪んでいる
脈拍が上がって体が熱い
弾も切れた為す術がない
右腕が動かない完全に折れている
どうしてこんなことになった
なんでこんなことが起きた
なぜこうならねばいけなかった
その直後風を切る音がする
俺の進行方向から矢が飛んできた、見えてはいない当然だ、風切音が耳に残る
視界が急に下がり衝撃が走る
無理が祟って倒れたようだ体が重い
「+*}{_?!」
ああ、矢を射った人か・・・なぜ弓?しかもデカイな、まぶたも重いな
そう思いながら俺は意識を手放す。