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騎士になった日



僕の名はグランヴェール・ド・シュヴァリエ。

僕の父はとても偉大な人だ。

代々王家に仕えてきた名門貴族、シュヴァリエ家の16代目当主にして帝国騎士団の指揮官。

シュヴァリエ家の当主は国王陛下直属の護衛も任されていて、今は父がその任を担っている。


僕も父の様な人でありたい。

威厳と厳格を持って、常に真っ直ぐと高みを見据える様な人でありたいと思った。

何より、父の国への厚い忠義心と騎士道に憧れていた。


それでも僕は父の様にはなれない。

どんなに頑張っても僕には足りないものがあった。


「何だその眼は…」


僕の左眼に映った父の眼差しはとても冷たかった。

僕は生まれつきオッドアイで、一族の人間からの風当たりは冷やかだった。

シュヴァリエ家の人間は皆、紅い髪に深紅の瞳を持つ。

僕だけ何故か左の眼だけ金色で生まれてきた。

そんな僕が現当主の息子であることの意味が分からない様な歳でもない。

血統を重んじるシュヴァリエ家にとって、イレギュラーである僕の存在が受け入れられるわけがなかった。


でも父は…左眼を隠している時だけは優しくしてくれた。

幸い剣の才能だけはあったようで、僕が強くなれば父は褒めてくれる。

剣だけは皆僕のことを認めてくれる。

ただ愛されたくて、僕を見てほしくて、無我夢中で鍛練し続けた。



鍛練以外の時間、僕は庭を見て回るのが好きだった。

風にそよぐ若葉、ふわりと舞う花の香りや鳥の囀り。

自然の声に耳を傾けているとひどく心が落ち着いた。

今日も庭に出て、そっと目を瞑って声を聞いていた。


草の上に寝転がると若草の薫りがすっと胸の奥に吸い込まれていく。

鳥達の囀りが近くなり、頬をくすぐったいものがかすめる。

自然と笑みがこぼれて、体を揺らすと鳥達は慌てて飛び退く。

そうしてまたおそるおそると近づいてくる。

其れを繰り返しているうちに次第に襲ってくる睡魔に身を委ねる。


それが僕の、一日で一番愛しい「時間」だった。




鍛練中のこと、暇があれば父は僕の相手をしてくれた。

正直越えられるとも思ってないし、超えたいとも思っていなかった。

だからだろうか、いつまで経っても父に勝つことはない。

その日も僕の剣がとばされて勝負はついた。

けど、その後はいつもと違った。


乾いた音が響き渡った。

じりじりと熱を持った頬に、叩かれたと気付いたのは数秒後。


「お前はふざけているのか?それとも、私相手に本気を出すことはないとでも?」


「違…っ」


いや、本気を出してないという意味ではその通りだろう。最も、其処に含まれる意味は違うが。


「お前が私に勝てぬ理由が分かったよ。

他ならぬ私を倒そうという意志、殺意そのものがないのだからな」


そういって父はまた、あの冷たい眼差しで僕を見下ろした。


「私はお前の過大評価しすぎていた様だ。

戦いにおいて手を抜くなど、騎士としての最大の侮辱。騎士道を犯したも同然。

いくら剣才があったとはいえ…それではまだ戦えずとも立ち向かおうとする農民共の方がよほど立派だな」


「…っ」


「お前が私に本気で剣を交えることが出来る日まで…私はお前を騎士とは呼ばん」


それっきり何も言葉を交わさず、父は僕を見向きもしないで去って行った。

父の言葉が胸に突き刺さったまま、僕はしばらく動けずにただ茫然とその背小さくなる中を見つめていた。




その翌日。

庭で真っ赤に染まった小鳥の無残な死体が転がっているのを見つけて、僕は後悔した。

愛しかった時間はあかに染まり、歯車は壊れる。

嗚呼、これがシュヴァリエの業であるならば…。


その日僕は初めて父に意志を以って斬りかかった。




end

パパったら…ツンデレなんだから←


話のぶっ飛び具合が酷いですが、要はグランは

父には憧れていたけど騎士に憧れているわけではない。

平和が好きでお庭で遊んだりするような子なので、

剣も単に認めてもらえるような特技が欲しかったからやっていただけ。


パパ的には才能を認めているし、むしろ自分のとこまでのし上がって来い的な

感じなので本気にさせる為に鳥殺しちゃった☆ってことです←


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