組織の力
警察、公安も交通規制、カビの封じ込め作戦に動き出した。
AI工場は即刻生産中止になり、各配送大型トラック、貨物エレベーター全室停止。
国が「逆回転」指示。
時を戻すように、工場に近い場合は工場へ戻り、検出部隊を主要道路に配置、検問開始。
一方、御影家のAIイクシオスが対策に乗り出した。
民間空港、民間人配送車を筆頭に、外国人、日本人を含めた全ての顔データ、体格、歩き方を照合開始。
顔データは対策可能だが、歩き方までは対策は不可能。
歩き方の指紋は演技不可能であり、個別により全く異なる。
大阪国際空港。
民間待合広場。
白人のビジネスマンが、別の黒人ビジネスマンとすれ違い様に時計型スマホを寄せ合わせ、そのまま通り過ぎた。
その一瞬の不自然な動きをイクシオスは見逃さない。
照合開始。
5秒経過、〈ピ〉出た。
ビジネスマンの黒人情報。
アメリカ国籍細菌研究第一人者の秘書を務める黒人の行き着け酒場の〘飲み友〙という肩書きのこの男性、米軍デルタ出身、クライという偽名で通る、やり手の〘傭兵〙だ。
正式な名前等、当の本人ですら分からないだろう。
ビジネスマン白人の情報。
ヒズボラ、イスラム教徒最後の生き残りと言われるチームがある。
ナハウェイと呼ばれる団体だ。
そこのやり手と言われている組織ランキング3位の〘宗教家〙である。
名前はサルムルームという。
一見白人に見えるが、変装だという検証結果。
この二人が何らかのデータ交換を行った事実。
2人をそれぞれAI追跡開始。
スマホハッキング、開始。
3日後。
マンションリーダーが話している。
御影ルービックキューブ型のホログラムPCからのビデオ通話中。
通話相手はイクシオス。
イクシオスは渋い男性という設定であり、ゲームのスネイクからのモデルリングと言われている。
イクシオス「結論から言えば、カビの感染は北海道の旭川市内と青森、岩手、秋田、そして、福岡空港、沖縄空港、華国空港、名古屋湾内だけで抑えられた」
リーダー「そうか、こちらも大将は無事に広告中だ、チームにも1名怪我人が出たが、既に完治して、任務に復帰している」
イクシオス「王が産まれた事により、世界は慌ただしい、王が優秀となれば、ますますそうだ」
リーダー「……ハッキング能力については感づかれたか?」
イクシオス「心配するな、何も〘教えちゃいない〙、我々は、ただ、カビを一生懸命に防いだだけって事になってる」
リーダー「ふ、無事に丁寧に送り届けたか?」
イクシオス「勿論だ」
リーダー「……」
イクシオス「……」
イクシオス「ヒズボラがアメリカを裏切ったらしい匂いを含ませておいた、メールだよ、カビのレシピをアメリカと敵対しているフーシ派に送っておいた、そいつの隠しメルアドからな、既に3日経過している、中東は広い、またアメリカはあらゆる手駒組織から、〘選ぶ〙羽目になるだろう」
リーダー「おー、それは親切だな」
イクシオス「そうだろう?裏切りを教えてやるんだからな」
リーダー「アメリカは何の成果を得られず、金を掛けた手駒組織を失い、手駒を〘掃除〙して、また新しい手駒組織を探し、また金を掛けて育てる」
イクシオス「アメリカが片付けてくれる、わざわざ我々が掃除する必要はない、我々はそういう事がある度に危機感を得て、国を強化する大義名分を得る」
リーダー「実に親切だな」
イクシオス「winwinの関係さ、アメリカとはこのまま〘仲良し〙でありたいね」
リーダー「そうだな、さて、通信終了だ、お疲れ」
イクシオス「お疲れ」
〈ヴゥン〉
〈カシュ〉ノンアルコールビールを空けた。
リーダー「……こちらには版図を広げるつもりは毛頭無いと示し続けなければならない、力の責任って奴だな〈グビグビグビグビグビグビ〉ぷは〈グシャコ〉」
88階建てのマンション内。
5階にある大規模図書館。
一般人向けから、禁忌まで幅広い。
無論、琉刃は今は禁忌の部屋に居る。
白狼学園内において、琉刃の道を塞ぐ者は潰えた。
しかし、逆説的に、琉刃は孤独になった。
訳ではなかった。
〈ブチュ〜〉 相も変わらず琉刃に後ろから抱きつき、首や頬にキスしまくるビビアン王女。
琉刃「伊織」
伊織「へい」
琉刃「ビビアンと二人きりで話をしたい」
伊織「へい」
伊織は8m離れた。
琉刃「さて、ビビアン王女、私の横にお座り下さい」
ビビアン王女「はい!」
長いソファを回り込み座った。
ビビアン王女「はい!何でございましょう?」
琉刃「あなたは私を好きですか?」
ビビアン王女「はい!大好きですわ!」
琉刃「……何故ですか?」
ビビアン王女「あなたが良い人だからです!」
琉刃「私は良い人、優しい人ではありませんよ、私は帝王学を地で行くようにと染み込んでいます、時に大虐殺を厭わない、それが私です」
ビビアン王女「その時、あなたは孤独になりますか?」
琉刃「え?」
琉刃は驚いた。
琉刃は滅多に驚かない、どれもこれも予想の範囲内に収まって来た歴史。
琉刃「え、えー?えーっと」
ビビアン王女「その時、私が側に居ります!居させて欲しいのです!」
琉刃「大悪党ですよ?」
ビビアン王女「はい!!」
琉刃「あなたも命を狙われますよ?」
ビビアン王女「はい!!」
琉刃「酷い事沢山されるかも」
ビビアン王女「はい!!」
琉刃「あなたの家族が人質に取られるかも」
ビビアン王女「はい!!」
琉刃「…」 視線を上にやり、悪魔との契約場面が描かれた天井を見渡す。
〈ぴと〉ビビアン王女は肩を密着してくる。
ビビアン王女「私、第三王女です、気楽です、だから、お嫁さんに行けます」
琉刃「(恋愛は気の迷い、全ては幻、か、迷言だな)……」
天井の悪魔と人が指を合わせている絵が描かれている。
悪魔は人を見ている筈なのに。
琉刃を見ているように見えた。
顔をビビアン王女に向け、ビビアンの目を見る。
ビビアン「?」
琉刃「ビビアン王女、正直に仰ってください、私が世界から迫害され、指名手配になったら、あなたはどうしますか?」
目を見つめー。
ビビアン王女「一緒に死刑になります」
即答、目が全くブレない。
琉刃はビビアンに口づけをした。
ビビアン王女は固まり全く動かなかった。
琉刃「あなた程の盲目ならば、きっと、あなたが目覚める事は無いのでしょうね、これから宜しくお願いしますね?」
ビビアン王女「きゅぅぅ」 〈ドサア〉
ビビアン王女はソファに倒れた。
琉刃「ナンデ!?伊織!伊織い!?」
end




