第9幕 マイナス✖️マイナス③
場面は生徒と教授に戻る。
生徒「メンタルも変わりすぎじゃないですか?」
教授「何かきっかけで人は成長するかわからないということかもしれん。まぁそれはさておき、マイナスにマイナスをかけるとなぜプラスになるのかだが」
教授は-(-1)の2つの『-』を指差す。
教授「これを同じ種類と捉えると違和感が生まれる。()の外にあるのを向き、中にあるのを進み方、という発想で捉えたのが先ほどの話だ」
生徒「確かにマイナス方向を見ながら後ろ歩きすれば、結局プラス方向に進むことになりますね」
教授「そして当たり前だが」
舞台に-(+1)が現れる。
教授「これはマイナスの方向を見ながら前歩きだから、-1とやっていることは変わらないわけだ」
生徒「なるほど、同じものとして考えてたから機械的に覚えるしかなかったんだすね。僕の中学校の先生は「マイナスは線が一本、2つ合わせるとプラスになる」と言っていましたが。向きと進み方、従姉妹に話してみます!」
教授「紙の上だけが数学ではない。体も動かしながら、理解を深めていけるといいだろう。さて、私は後ろ歩きの続きをしようかな」
生徒「お気をつけて。あ、因みに先生はプラスとマイナスのどちらの向いて後ろ歩きをしてるんですか?」
教授「私か? 私はマイナスを見ているつもりだ」
生徒「じゃあプラスですね」
教授「ただ、後ろ歩きは2畳分だけだ」
生徒「ん?」
教授「2畳だけ進むと、-1になれる」
生徒「急に虚数を持ち出さないでください!」