第7幕 マイナス✖️マイナス①
生徒が舞台袖から歩いてくる。遅れて教授が後ろ歩きで登場する。
生徒「何をやってるんですか?」
教授「後ろ歩きでは前歩きとは使う筋肉が違うらしいと聞いて、試しているんだ」
生徒「前と後ろで逆の筋肉でも使っているんですかね。逆と言えば従姉妹がこの前中学生になったのですが、マイナスの計算でなんだかよくわからなくなってしまったらしいんですよ」
教授「中学校になると文字の導入や負の数、マイナスが出てきたりと小学校に比べて思考の幅が広がるからのう」
舞台横にX、Y、➖1が現れる。
生徒「僕としてはむしろ小から大の引き算ができるようになったり、方程式使えば式を楽にたてられたりして嬉しい限りだったのですが」
教授「うむ、それで従姉妹さんは何が分かりずらいのかな?」
生徒「どうやらマイナスにマイナスをかけるとなぜプラスになるのか、というところらしいです」
舞台横に➖1、✖️、➖1、=、➕1、が並ぶ。
教授「符号の管理は確かに慣れるまでは難しい」
生徒「学校ではマイナスを掛け算すると符号が変わるって教わったらしいですが、そもそもマイナスをかけるという感覚がわからないんだそうです」
教授「確かに操作としては掛け算割り算、つまり乗除の計算において負の数が奇数個なら答えはマイナス、偶数個なら答えはプラスになる。だがその事実を知っていても、マイナスの乗除を説明しろと言われるとうまく言葉にするのは難しい人がいるかもしれん」
生徒「できるとわかるは違うって聞いたことがあります。この場合、計算はできるけどなんでそうなるかは分かってないってことですよね?」
教授「その通りだ。ではマイナスの乗除について、少し見ていこう」