第3幕 0の加法②
暗転して教授と生徒が現れる
教授「0とは加法、つまり足し算をしても数字が変わることがないという不思議な数なんだ」
生徒「茶番だ―!!!というかそれは当たり前すぎますよ。なんで不思議なんですか?」
教授「0とはつまり存在しないと言う事。古い時代には存在しないものを足すと言う
感覚にどうも違和感を持ってしまったんだ。ピタゴラスと言う偉人も、0と言う数字の概念を認めたがら無かったらしい」
生徒「数字の概念ですか、少し難しいですね」
教授「ならば数字について少し面白い話をしてあげよう。何でもいい、3桁の数字を思い浮かべて見なさい」
生徒「何でも?なら666で」
(6が3つ現れる)
教授「随分と不吉な数字だが、まぁいいだろう。ではその3桁の数をもう1つ横に
書いて6桁の数にしてみたまえ」
生徒「つまり666666ですね」
(6が3つ増える)
教授「それではそれを7で割って余りを出してみてくれ。出た余りの数だけ諭吉をあ
げよう」
生徒「本当ですか!?666666割る7は」
÷と7が登場
教授「ん?どうした?」
生徒「95238、割り切れました」
95238登場
教授「ほう、そうか。ならば諭吉はやれん
な」
生徒「まさか、これどんな3桁の数字でもなるんじゃないですよね?」
教授「当然じゃないか。そうでないと私が諭吉を失う羽目になるからな」
生徒「今思ったらこの6桁の数字って、最初に考えた3桁を1001倍した数じゃないですか」
666、×、1001、=、666666が並ぶ
教授「そう言う事だ。1001は7で割ることが出来るからな。どんなふざけた3桁であろうが結局割り切れるんだ。そもそも諭吉を出すなんていう条件を出した時点で気付きたまえ」
1001、÷、7、=、0が並ぶ
生徒「騙しましたね」
教授「世の中そう甘くは無いのだ。シリアルコード入力で適当な数字を入力しても当たらないのと同じだ。あれもれっきとした法則を使ってちゃんとした数字しか当たらないようになっている。身近なもので言えばクレジットカードなんかそうだ」
生徒「クレカですか?」
教授「Luhnのアルゴリズムと言うもので、正当な数字以外を跳ね返すシステムが
採用されている。興味があるなら調べ
て見なさい」
生徒「へぇ、凄いものを考える人がいるんですね。そういうものって凄い勉強しないと作れないんですよね」
教授「それは当然だが、世の中には独学でそれをし、ほぼ直感とも取れる計算で偉業を成し遂げた人物もいるんだ」
生徒「そんな人がいるんですか?」
教授「あぁ。彼の名前はラマヌジャン。インドの魔術師とも言われた数学者だ。彼は32年と言う短い生涯の中、325個もの数学の公式を導き出している」
生徒「そんな大量に!?」
教授「彼の凄いところは計算力と、鋭い洞察力にあった。彼がかの有名なケンブリッジ大学に招待されるのに、あるエピソードがあるんだが、それを見ていくとしよう」