第16話 数学をなぜ学ぶか②
教授「例えばこんな式があったとする」
3+3+3+3+3+3+3+3=
教授「答えは?」
生徒「24です」
教授「ほうほう。どうやって計算した?」
生徒「どうやってって、そりゃ3が全部で8個あるから3×8をやりました」
教授「それはおかしいな」
生徒「おかしい?」
教授「私は足し算の式を提示したのに、君がやったのは掛け算だ。ルールが違うだろう」
生徒「えーまぁそう言われるとそうですが、3を8回足すって、3に8をかけるってやった方が早いですよ」
教授「そこじゃ」
生徒「はい?」
教授「『この方が早く解決できる』と言う、方法を導き出すことが、数学を学ぶ理由の一つだ。君は足し算の問題を出されたが、掛け算を使うことにより、早く正確に解く知識と技能をもっている。それが真髄だ」
生徒「えーでも当たり前じゃないですか? これが真髄なら小2で勉強終わっちゃいますよ」
教授「もちろんこれで終わりじゃない。ただ問題に対して、早く、簡単に、正確に、どんな時でも。つまり『はかせどん』の思考をもつことが数学を勉強する意味なんだよ」
生徒「あ、小学校の先生がなんか言ってたような、、、」
教授「中学校以降だと、簡潔明瞭的確と、表現されるの。ともかく、解くだけではなくその解決法にも思考をめぐらせる訓練をするのが、数学じゃ」
生徒「足し算でも解けるけど、僕はより良い方法を知っていて、それを利用した。と言うことですか?」
教授「その通り。まぁそのより良いと言うのが、一般的なわかりやすさにつながるか、学問的なわかりやすさかは、ちょっと齟齬があるかもしれんがな。代数学、幾何学、解析学。さまざまな分野の中で数学が使われていくが、数学と言う道具を使って、思考力を養っているわけじゃ。極論、数学で飯を食うことを目的にしているわけじゃない」
生徒「問題を解決する力を高めているわけですか」
教授「ただ、昨今の日本の教育は『問題解決能力』の育成に特化していて、『問題発見能力』に弱いと出ている」
生徒「何が違うんですか?」
教授「聞かれていることに答えることは得意でも、何が聞かれるかを見抜く力が弱いとのことだ」
生徒「え、でもそれって国語的な読解力の話では?」
教授「研究者の中では読解力=論理的思考と捉えている者もいる。例えば『あかいえんとつのある家』と聞くと、どんな家を想像する?」
生徒「え、そんなもの普通に煙突があって、それが赤いんですよ」
教授「ふむ、こうするとどうじゃ?
『あかい、えんとつのある家』」
生徒「え、、、あ! これだと赤いのは家であって、えんとつは赤くない!」
教授「その通り。日本語特有の面倒な表現でもあるが、そこを思考するにはやはり、論理的な思考がまだ必要になる。奥が深いな」
生徒「数学の話がなんだか広がってきましたね」
教授「結局のところ中学校レベルにおいて、一つの分野だけ専攻していても知識が偏る。知識とは繋がるもの。何がきっかけになって困難をブレイクスルーできるかわからない。まずは広く浅く知識を得る。深化させるのは、その後で構わん」
生徒「今は多くの知識に触れることが大切。早速従姉妹に言ってみます!」
教授「まぁこの考え方も知識の1つだ。なるほど、と思う者もいれば、別に、と思う者もいる。これが正解でもない。正解は人それぞれが見つけるものだ」
生徒「はい!」
教授「それでは君たちの学問の道に幸おおかんことを」
少しでも算数数学に興味をもってもらえたら幸いです。よろしければ感想、評価等よろしくお願いします。




