第12話 円周率③
生徒と教授にスポットライトが映る。
生徒「同じ2点を結んだ直線と曲線が同じ長さになるわけないですよね?」
教授「その通りだ。感覚的にも曲線は寄り道してる感覚だろうし、どうしても長くなるはず。だがこの場合、なぜ同じにならと思う?」
生徒「円周率を3で計算しているから、ですね。これが3.14でやっていれば少なくとも0.14分の長さに差が出るはずです」
教授「円周率を3にして簡単にしたはずが、思わぬところに矛盾が生じる。この話で同じになってしまう矛盾が生まれることから、円周率は3より大きいことを証明できる。こうやって最初に作った条件から色々と性質を考えた結果、あり得ない矛盾に突き当たった場合、最初に作った条件が、間違っていたことが説明できる」
生徒「背理法ですね。今回は円周率を3と決めてしまったことが間違いの始まりってことになりますね」
教授「背理法は他にも√2が無理数であることの証明にも使われるし、何かと便利な証明方法なのだ」
生徒「証明って苦手な人も多いですよね。僕的には証拠を集めて条件クリアするのが探偵みたいで好きですけど」
教授「読解力と論理的思考力は同一だとする研究者もいる。まぁ慣れるまでは型にはめてたくさんのパターンになれることが、先決だな」
生徒「学ぶという言葉も『まねぶ』が元になったと聞いたことがあります。まずは真似からですね。よーし、僕もフリスビーをちゃんと真っ直ぐ飛ばせるように、上手な友達の真似から始めよう!」
教授「諦めずにコツコツと積み上げていきなさい。千里の道も一歩から」