預言書 第2話
火野「なにこれ」
XX年8月26日
中学校の同窓会が開かれ、清水、矢田、平沢、原が、タイムカプセルを開ける。原、預言書を持ち帰る。
XX年8月26日
タイムカプセルを掘り起こした後、向かう方向が同じ、矢田、平沢、原と、清水に分かれ、別々のタクシーに乗り込む。清水は、自宅に向かう途中、タクシーで追突事故に遭う。
XX年8月27日
原、興味本位でこの預言書を読む。
XX年8月27日
原、清水がタクシーで追突事故に遭った事を知る。
XX年8月28日
原、預言書を矢田、平沢に見せる。矢田、預言書を持ち帰る。
XX年8月28日
元アイドル〇〇が、過去、アイドル△□、当時13歳に猥褻行為を行っていたことが週刊誌によって報道される。
XX年8月29日
矢田、火野に連絡を試みるも、連絡手段が分からず、火野を除いた中学校のクラス全員に電話をする。火野の連絡先を誰も知らず、仕方なく、卒業アルバムに載っていた自宅の電話番号に電話をかけ、火野の父親に、会いたい旨を伝える。
XX年9月1日
火野、カードゲームショップで瀬能、皇、剣、星と会う。火野、瀬能、カードゲームで遊ぶ。
XX年9月5日
フィリピン沖でマグニチュード8.2の地震が起きる。九州地方に30cm程度の津波到達。
XX年9月13日
矢田、火野と会う。火野、預言書を持ち帰る。
火野「なんなの、これは?
ちょ、ちょっと、待ちなさいよ?・・・地震。地震。地震。あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、地震、あった、あった。ニュースになってた。
アイドルのスキャンダル?・・・、待て、待て、待って、待って、グーグル先生、グーグル先生、あ、あ、あ、ああ、あああ、あああ、あああ。これだ、これだ。確かに。
何かの冗談?冗談にしては手が込み過ぎている。・・・預言書?馬鹿げてる。
そもそも付き合いのない、バーザムがこんなイタズラをしかけてくるハズがない。じゃあ、これは、いったい、なに?」
XX年9月18日
火野、瀬能、皇、焼き肉を食べる。
XX年9月18日
火野、預言書の中身を見る。
火野「今日の事が書いてある。今日、私がした事が書いてある。・・・私に向けた預言?・・・メッセージなのは間違いがない。じゃあ、いったい誰が何の目的で、私に預言なんてメッセージを送る必要があるの?おまけに、この『預言書』が正しいって言いたいが為に、わざわざ、地震とか、アイドルのスキャンダルみたいな私に関係ない、時事ネタまでぶち込んできてる。・・・ご丁寧にどうも。」
XX年9月18日
泉三丁目公園 桜の下から、遺体を見つける。
火野「桜の木の下から、遺体を見つける?・・・今日?これから?
要するに、遺体が見つかれば『預言書』の勝利確定。予言が正しいと認めざるを得なくなるって言いたいわけ?。・・・確実に私に喧嘩、売ってきてる。
どこの誰?
言っちゃ悪いけど、この段階じゃあまだ、『預言書』に信憑性があるなんて思えない。未来予知なんて、ミスターマリックだって、ナポレオンズだって可能だもの。まだ手品の域を出ない。私が言いたいのは、何故、私なのかっていう事よ。私に『預言書』を見せて、何の、得があるの?
遺体?・・・遺体なんて見つけて、何が面白いのよ?冗談じゃない。」
瀬能「冗談じゃないのは、こっちのセリフですよ。なんでわざわざ、こんな時間に呼び出されて、公園の穴掘り、やんなきゃならないんですか?」
皇「なぁ、明日にしようぜ?」
火野「さっき、『預言書』見せたでしょ?今日、公園の桜の木の下に、死体が埋まっているから、掘り出せって。」
瀬能「そういうのは預言って言わないです。命令って言うんです。」
皇「あ、それは言えるな。」
火野「死体が出てこなかったら、これ、インチキって事になるじゃない?」
瀬能「出てきたら、どうするんですか?」
火野「まぁ、・・・そん時はそん時よ。だいたい、昼間、公園で、木をほじくり返していたら怪しまれるでしょ?」
皇「夜だって十分、怪しいと思うけどな。」
火野「それに、シャベル、持ってるの杏子しかいないじゃない。」
瀬能「ヘルメットもありますよ。・・・金像印のメーカー品です。」
皇「お前、物持ち、いいよなぁ。」
瀬能「シャベル、貸しますから、あとは御影だけで掘って下さい。私、関係ないんで。」
皇「あ、そんな事、言ったら、私だって関係ないぞ。」
火野「あのさぁ、一人で、公園行って、木の根元、掘る?みんなでやればすぐ終わるでしょ?」
瀬能「その、みんなに、私を混ぜないで下さい。」
火野「ほら、もうすぐだから。」
瀬能「嫌ですぅ」
皇「なんか、向こうで、声が聞こえないか?」
瀬能「夜中なんだから、近所迷惑も甚だしいですね。」
火野「なんだろ?」
皇「夜中に騒いでいる奴なんてロクな奴がいねぇよ。」
瀬能「御影、言われてますよ?」
男A「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
瀬能「ん?」
男A「出た!出た!出たんだ!死体!死体!死体が出たんだ!」
火野「死体?」
皇「おい、行くぞ!」
瀬能「ええぇえ?」
男A「やめろ!やめた方がいいって!知らないぞ?俺は知らないぞ」
皇「おい、どうしたんだ!」
男B「あああ、あああああ、ああああ、死体、死体、死体だ、死体が出たんだ!」
男A「おい、近づかない方がいい!」
火野「あああ、ホントだ。」
瀬能「・・・骨ですね。ナンマンダブ、ナンマンダブ・・・」
皇「ねぇ、あんた達、警察に電話した?」
男B「え?」
男A「いや」
皇「早く、電話しろよ!」
男B「あああ、ああああ、はい、はい。・・・電話、電話、電話、・・・・」
男A「俺は、俺は何にも知らないぞ?俺は関係ないからな」
男B「おい、待て!・・・待てって、逃げるな!」
火野「ちょっと、待ちなさいよ!」
男B「俺も何も知らない!うああああああああああああああああああああああああああああ」
皇「なんなんだよ、もう、あいつ等はぁ。」
瀬能「とりあえず警察に電話しますよ?」
火野「・・・確かに、遺体を見つけた。『預言書』の通り。」
瀬能「ドロ掘る、必要がなかったのは良かったですが、どうします?私達、警察に、確実に疑われますよ?」
皇「・・・若い女が、夜中に、スコップ持って公園にいて、掘られた穴から白骨死体か。どうするよ?」
火野「・・・どうしようか?・・・逃げる?」
瀬能「もう電話しちゃいましたよ。」
火野「ですから、私達、何もしてないんですって。」
阿久津「いや。そう言われても。死体遺棄事件だからね。れっきとした、ね。」
瀬能「みんな、この女が悪いんです。私達は、この女にそそのかされて。」
火野「はあああああ?」
皇「はぁ。確かに。私等二人はやめようって言ったんです。それなのに、こいつが無理矢理。公園に行こうって言い出して。」
瀬能「私には、お前はシャベルを持っているから持ってこい、って命令してくるんです。」
火野「ちょお、ちょおおっと待てって。おかしくない?ねぇ?杏子!瑠思亜!」
皇「私達は事実を言っているに過ぎません。」
瀬能「早くこの女を逮捕して下さい。私達は脅されていたんです。・・・見るからに、私大好き地雷女です。」
火野「あんたねぇ!」
瀬能「いやん、怖ぁい!」
皇「でも、お前、自分の事、大好きだろ?」
阿久津「まぁ。まあ。まあ。そうケンケンしないで。」
火野「刑事さん、さっきも言ったじゃないですか、私達が来る前に、男が二人、居たって。防犯カメラとか、何かに、その二人が映っているはずです。探して下さい。」
阿久津「ああ、ええ。あなた方の供述の通り、誰か別の人がいた形跡はありましたけどね。」
火野「じゃあ、早く!」
阿久津「まぁ、今、探していますけど、も。すぐには見つかりませんよ。・・・仮に、ですよ。仮に見つかったとしても、あなた方が、死体遺棄の容疑者であることは、変わりませんよ?」
瀬能「そりゃ、そうですよね。」
皇「・・・ほら、早く自首しろよ?」
火野「だから、なんでよ!あと、あと、あと、ほら!あれ、現場にスコップ?スコップが落ちていたと思います!」
瀬能「ああ、御影の!」
火野「ちがうわ!・・・ほら、先に来てた男二人、あれが掘った形跡ですよ。二人分、スコップが落ちてたでしょ?刑事さん!」
阿久津「ああ、ええ、そうですね。現場にスコップが置いてありましたね。」
火野「ほら、調べれば、そこから指紋が出てきますよ!・・・私達は濡れ衣です!」
皇「よく暇人がいるよな?夜に公園行って、穴、掘って、どうするつもりだったんだよ?なぁ?」
瀬能「まぁ。お前達が言うな!って話ですけどね。あはははははははははははははは」
火野「笑いごとじゃないでしょ!」
瀬能「遺体損壊遺棄、恐喝の犯人のくせに、何か言ってますよ?」
阿久津「えっ?損壊までしたの?・・・ちょっと、待ってよぉおお、仕事、増やさないでよぉおお」
火野「いや、だから、してませんて! だいたい、私達のシャベルに泥、ついてなかったでしょ?掘ってないんだから、ついてないですよ!」
皇「スコップもシャベルも、紛らわしいからどっちかで話してくれないかなぁ?」
火野「あんた、警察側の人間じゃないでしょ!」
瀬能「マリコが調べれば、一発ですよ!」
皇「あんなFBIみたいな捜査する科捜研なんて、ある訳ないだろ?」
瀬能「じゃあ、誰が星を上げるんですか!ほぉしぃをあげぇええるうう!」
阿久津「それは、捜査一課長だから別の奴だよ?」
瀬能「あ?そうでしたっけ?あはははははは あははははははははははははははは」
火野「ちょっと、もう!あんた達、真剣に考えなさいよ!」
阿久津「すいません。」
火野「だからおかしいのよ。まだ、春先で桜が咲く時期なら、バカが穴、掘る可能性はあるけど、こんな残暑厳しい季節に、お花見なんてする?する訳ないでしょ?」
瀬能「映画版だと、」
皇「映画版?」
瀬能「よくのび太が0点の答案用紙を隠そうと、穴、掘ると、物語が始まるじゃないですか?きっと、逃げた二人のどっちかが、のび太だったんですよ?」
火野「じゃあもう一人が、」
瀬能「ドラえもん」
皇「んな訳、あるか!・・・確実に人間だっただろうが!」
火野「そもそも死体は白骨化してたじゃない?白骨するまでどれくらいかかるの?一年や二年で、白骨化なんてしないでしょ?」
瀬能「じゃあ、随分昔からあそこに眠っていたと。・・・ナンマンダブ、ナンマンダブ、あなたの眠りを妨げたのはこのサブカルクソ女です。呪うならこの女一人にして下さい・・・」
火野「嫌よ!あんたも一緒に呪われなさいよ!」
瀬能「嫌です」
皇「でも、どうしてあそこに埋められていたんだ?」
阿久津「ああ、それは今、調べているから。」
皇「遅っっっそいなぁ。」
阿久津「・・・あのですねぇ。昨日の夜、あなた達が掘り出して、それを警察が回収して、しかも、回収しながら現場を捜査して、それで、それからですよ?その遺体の事件性とか、そういうの調べるの。早い方ですよ?分かってます?」
瀬能「ほら、コナンだとすぐ分かるじゃないですか?あと、相棒のほら、鑑識の人、ああいう人、いないんですか?」
皇「マリコ!マリコ!マリコ!」
阿久津「いる訳ないでしょ!ドラマ!あれはドラマ!コナンはアニメ!あのねぇ、そんな簡単に、分かる訳ないでしょ!警察だって、それにかかりっきりじゃないんだから!」
火野「土葬するたって、おかしな場所だし。たぶん、殺されて、埋められたのが正解じゃない?」
皇「そうとも限らないぜ?泉三丁目公園は、地名になっている泉。あれは、川に近い、水辺が地名の由来だ。川の近くなら、土葬をやっていた時代なら、あり得なくもない話だ。公園の側、川があるだろ?」
瀬能「川の近くに埋める風習ってありますからね。ここがそういう場所かどうかは知りませんけど。」
阿久津「じゃ要約すると、あなた達が殺して埋めた、それでよろしいですか?」
火野「よくない!・・・私達が殺して埋めたなら、何歳で殺して、埋めた事になるのよ?十歳?十歳で殺人犯?」
瀬能「・・・米花町ならあり得ますね。」
火野「あんたねぇ?私達、殺人犯に疑われているのよ?」
瀬能「アトロコポイシンで子供に化けている可能性もあります。」
皇「・・・アポトキシンな。」
火野「あのさぁ、なんで、殺す時に子供になるのよ?大人のまま殺した方が都合がいいじゃない?」
瀬能「刑事さん!いま、コイツ、自供しましたよ?ほら、早く、逮捕して下さい!」
阿久津「ええ?じゃあ、そのアトコポコロケ?シンだっけ?それ、出して。そうしたら、事件解決だから。物的証拠だから。」
瀬能「ほら、シェリー?」
火野「クスリ出しちゃったら、私、黒の組織に命、狙われるじゃない?」
皇「と言う事は、刑事さんがジンのアニキの可能性が・・・」
阿久津「僕が黒の組織の人間だったら、こんな話、聞かないで殺してるよ。」
皇「今のは自供と取って、よろしいでしょうか?・・・現時刻、10時37分、逮捕!」
瀬能「・・・かつ丼、食うか?」
阿久津「・・・そうだね。まぁ。そうだね。うん。一旦、解散しよっか。うん。また、事情を聞くから。・・・僕も疲れたし。」
火野「パトラッシュ、お疲れさん。」
皇「いや、ネロだろ。」
※本作品は全編会話劇です。ご了承下さい。