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Ⅹ.白闇の祈り蟲
シエル。
結局俺は、初めから終わりまで、祈ることしか能のない男だったな。お前は嫌いだろうが、それでもやはり、これが俺だ。
こんなくだらん男だが、どうかお前をおもうことだけは赦して欲しい。
お前をおもえば、苦痛も、悔しさも、寂しさも、恐怖も、絶望も、なんてことない。
たとえ誰に望まれなくなっても、世界から忘れ去られようと──人に容易く踏み殺される蟲のように、無惨に死んでしまおうと。
お前が光れるのなら、この身体も、魂も、全てが惜しくない。
俺はお前のように、導きの光にはどうやっても成れそうにない。頭の出来もよくねえし、馬鹿だし、そう器用でもないからな。そういう力は、きっと俺には扱いきれない。
だが、シエル。お前の光を生む闇と成って。
いつまでも、ずっと祈り続けよう。
お前が思うままに光れることを。
お前のやさしい闇に、どうか安らぎがあることを。
心から、祈っている。ここで、ずっと──
この魂が潰えるその時まで。俺の闇は、いつまでもお前と共に在ろう。




