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第1話 プロローグ

「久しぶり、今年も来たよ。夜中に来るなんて罰当たりかもしれないけどね。」


いつものように拙い字が彫られた、墓石の前に座る。

ラズベリーのリキュールの栓を開け、空に向かって献杯をする。


ここは草原。

月明かりに照らされて青々とした自然が広がっている。

ここが元は、今の季節でも雪がちらつく豪雪地帯だと言っても信じる人はいないだろう。


「どう?湖を作ってみたんだ。と言っても急造だから小さいし、数日で無くなっちゃうんだけどね。」


僕の前にまるで凍っているかのように凹凸の無い水面が現れる。

水面はまるでピカピカのガラスのように滑らかで、空いっぱいに広がる満天の星空を映し出していた。


僕は墓石にもたれ掛かる。


いったい、どれくらいの時間が経ったのだろうか。

時の流れはこの穏やかな闇の中に溶け込んでしまい、ハッキリと認識することができない。


とても懐かしい夢を見た。

先程まで見ていた満天の星空が夢のように感じるほど、普通で、でも温かくて、もう現実に戻りたくないと叫んでしまうくらい懐かしい夢を見た。


東の空が少しずつ朱く染まってきた。

朝日は出ていない。

振り返ればそこはまだ夜の世界。


ようやく朝日が少しずつ、まるで草原を焼き尽くすように僕らを照らし始める。


湖を覗いて見ると頬に涙の跡が。


「昨年は泣かなかったのに。」


「……………やっぱり僕、君がいないと寂しいよ……」


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